つぼ浦の誕生日まであと3日に迫っていた。警察署員達でプレゼントをコソコソ相談している。
「らだお先輩知らないんですか?つぼ浦の欲しい物。」
「んーなんだろ…欲しい物…?」
「らだおが知らないんじゃ誰も分かんないだろ。」
「てか本人に聞いてみれば良くない?『つぼ浦ー?』」
「『はーいなんすかー?』」
「『ちょっと本署来れる?』」
「『りょうかーい!』」
え、大丈夫なの?と署員達が心配している間につぼ浦が扉から入ってきた。
「うーす、なんか用すか?」
「今皆で話してたんだけどつぼ浦の欲しい物って何?」
「欲しい物?どうしたんすか急に?」
「なんかそういう話題になってさ、これ買うのを目標に仕事頑張ってる!みたいな。」
「あーなるほど。欲しい物か…ロケランの弾、グレ、俺専用ライオット…」
「いやそういうんじゃなくて、プライベートで欲しい物無いの?」
「うーん…特に思い付かないすね。まるんは何かあるのか?」
「俺は欲しい高級車あるよ。」
「我は妃が欲しい。」
「皇帝のは物じゃないだろw俺はヘリかな。」
「へぇ、皆あるんすね。俺別に乗り物そんな興味無いからな…」
「別に乗り物じゃなくても何でも…あ、ユニオン来た。『らだおヘリ出しまーす。』」
青井が欲しい物を探る担当になったがこれ以上直接聞くと察してしまいそうだ。会話の中からヒントを拾ってみる事にしたが難航していた。
「え!?こんな時間にE5バーガー開いてるぞ!?」
「あ、俺も行きたい!乗せて。」
「おっしゃ行くぞー!」
これは絶好のチャンス!と助手席に乗った。かなり気の知れているE5バーガーの面々ならつぼ浦の欲しい物も知っているかもしれない。
「よぉ!来たぜ!」
「いらっしゃいませー。あれ今日はお客さん連れて来てる。」
「どうもねー。」
「俺も客なんだが?」
「あ、そうだつぼ浦聞いてくれよさっきさー…」
早速雑談に花を咲かせる2人をよそに注文を終えた青井。
「先食べてるぞー。」
「え、アオセンもう頼んだのか。じゃあ俺もいつもので頼むぜ。」
「いつものね、今日はどれにしよう…これとこれだな。はいどうぞー。」
「サンキュ!これを選ぶとはタラオもやっと分かってきたか。請求してくれ。」
「それっていつものなの?なんか違くない?w」
「ん?何がすか?」
「お前が良いなら良いか…w食べよ、いただきまーす。」
席に座って食べていると当然のように隣に座ってくる従業員達と話し始める。
「どうなの最近は?警察忙しい?」
「まぁいつも通りだな、この通り暇だ。」
「お前そういう事言うなwまぁ実際今日はチル寄りではあるか。」
「確かに今日は店の外騒がしく無かったっすね。」
「ふーんなるほどね…お花摘みは取り締まってるの?」
「あーまぁほどほどじゃないか?よく分からんが。」
「ほどほどか、今は?張り込みしてる?」
「なんか探ろうとしてない?これから行くんすか?w」
「いやいやそんな、そんな訳ないじゃないですかぁ!目の前に2人も警官の方がいるのにねぇ!」
「そうすよ、椎名さんはもう罪償ったんだから。おいタラオてめぇだけだ荷物検査させろ。」
「急に俺にくるじゃんやめろw」
じゃれ合いながら話していると店の奥からまた従業員が出てきた。
「いらっしゃいませーお、つぼ浦じゃん。珍しい人も来てる。」
「邪魔してるぜ加藤さん。」
「丁度良かった。聞きたいんだけどヘリに詳しい人知ってる?買おうか悩んでて。」
「おっと?ここに航空機ディーラーがいますよ?」
「え、そうなの?色々教えてほしいんだけど。」
商魂たくましい青井がやれこのヘリは初心者向けだ、このヘリが速い、このヘリは丈夫だと丁寧かつ力強く説明した。
「俺のオススメはバザードすね!」
「バザード?なんか特徴あるの?」
「プロペラの音がめちゃめちゃ良い!1回聞き比べると分かるすよ!」
「それだけかよwまぁ色々聞けたし参考にもうちょい考えるわ、ありがとう。」
「いいえー、お買い上げの際はぜひ鳥野エアーでお願いしますね!…俺達はそろそろ帰るか。」
有益すぎる情報を手に入れた青井はつぼ浦と警察署に戻った後、事件の間を見計らってこっそりバザードを買いに行った。
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