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気が付くと家の前にいた。自分がどうやって家に帰ったのか覚えていない。ドアを開けると行きと変わらず誰もいない部屋にほっと息をついた。リビングの机に昼食が置かれてあったが、お腹が空いてないため、申し訳なく思いながら冷蔵庫にしまった。自分の部屋に入って着替えようとした瞬間、視界が真っ白になりそのまま床に倒れこんだ。酷くなっていく頭痛と自分から吐き出される熱い息に危機感を感じたが、強烈な眠気に抗うことはできず、そのまま意識を失った。
「…たく、りょ…涼太くん!!」
「っ…?」
「しっかりして!!」
「…」
目が覚めると、3人が慌てた様子で俺を覗き込んでいた。外はもう暗い。
「…ぅぁ…?」
「涼太くん、俺らのこと分かる?」
「…わか、る…」
「よかったぁ…」
「とりあえずベッドに運ぼ。めめ、よろしく。」
「うい。」
床に倒れたままだった俺を蓮兄さんはそっと抱えてベッドにおろした。
「涼太くん、学校行ったの?」
「…うん。」
「何で言ってくれなかったの?」
「…止められる、て、思った、から…」
「…確かに止めてたかもね。でも涼太くんが体調よかったら俺ら止めてなかったよ。」
「…え?」
「学校に行きたいって思えたのはどんな理由であれいいことじゃん。」
「…」
「学校行きたいって思えるようになったのは嬉しいよ。…でも、まだ体調が良くないときに俺らに何も言わずに学校行ったのは怒ってる。」
「…ごめん、なさい…」
「…反省してるからいいよ。次はしないでね。」「…うん。」
「んで、体調はどう?」
「…頭痛い、のと…寒い…です…」
「何で敬語なの…」
「じゃあ薬飲んで横なろか。」
3人が慌ただしく準備をしている。その様子を眺めているといつの間にかまた眠りについていた。
外の明るさで目が覚めた。時計を見るともう昼だった。まだ少し怠くてふらふらする。頭痛は大分なくなったかな。みんな仕事行ったかなと思いながらリビングに向かってる途中、インターホンがなった。
「…はい。」
「あ、涼太。俺、翔太。」
「え…!?」
びっくりしながら玄関のドアを開けると、私服姿の翔太がいた。
「翔太…何で…?」
「照から昨日涼太学校来たけど熱が出て早退したって聞いたから。お見舞いに来た。」
「え…学校は…?」
「今日休日なんだけど。」
「あ…そっか。」
「とりあえずあがっていい?」
「あ…うん、どうぞ。」
「お邪魔しまーす。」
そう言って家に入った翔太と一緒に俺の部屋まで行った。
「散らかってるけど…」
「いや、大丈夫。お前の部屋初めて入ったわ。」
「俺も初めて3人以外を入れたよ。」
「ほー…何か置いてあるやつのせいで病室に見えんな。」
「…確かにそうかも…」
「否定せんのかい。」
そう言って翔太は笑った。
「体調は?」
「あぁ…まだ少し怠いけど、頭痛も大分引いてきたから大丈夫だよ。」
「大丈夫、なのか…?」
そう言って首を傾げる翔太が何か面白くてふふっと笑うと、翔太はむすーっとした表情になった。
「何で笑うんだよ。」
「ごめんごめん、何か面白くて。」
「まぁ別にいいけど…」
「ふふっ…っぅ…」
「どうした?頭痛い?」
「少し…でも、大丈夫だよ。」
「お前の大丈夫は大丈夫じゃねぇから。大人しく寝とけ。俺もそろそろ帰るから。」
頭痛に思わず顔を歪めると、翔太は心配そうな顔をして立ち上がった。
「…ごめんね、気を使わせて。」
「気なんて使ってねぇよ。はやく治して学校来いよ。」
そう言って翔太は家から出ていった。遠くでドアの閉まる音を聞いて、そのまま眠りについた。