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第48話 〚雨の朝、向き合う覚悟〛(りあ視点)
朝から、雨が降っていた。
昇降口に響く足音も、いつもより重たく感じる。
りあは、濡れた前髪を気にすることもなく、教室に入った。
すでに何人かのクラスメイトがいて、視線が一瞬だけ集まる。
——逃げないって、決めた。
胸の奥がぎゅっと痛む。
でも、昨日のままでは終われない。
りあは、自分の席に向かわず、教室の前に立った。
「……みんな、少しだけいい?」
ざわっとした空気が、静まる。
雨音だけが、窓の外で続いている。
「今まで、私……白雪澪のことを悪く言ってました」
「三軍だとか、調子に乗ってるとか……」
言葉にするたび、喉が詰まる。
それでも、止めなかった。
「全部、私の嫉妬です」
「誰かを下げないと、自分が立てないと思ってました」
りあは、深く頭を下げた。
「本当に、ごめんなさい」
誰も、すぐには何も言わなかった。
その沈黙が、責められるよりも重い。
りあは、顔を上げて、澪を見る。
「……澪」
「昨日も謝ったけど、もう一度言わせて」
一歩、近づく。
「あなたを傷つけて、ごめんなさい」
「本気で、悪かったと思ってる」
澪は少し戸惑いながらも、りあをまっすぐ見返した。
「……分かった」
小さく、でもはっきりした声。
その一言に、胸が熱くなる。
その時、担任が教室に入ってきた。
りあは、視線を逸らさずに前に出る。
「先生」
「私、クラスの雰囲気を悪くすることをしていました」
悪口を言ったこと。
周りを巻き込んだこと。
自分が間違っていたこと。
全部、正直に話した。
担任は静かに頷き、言った。
「謝るのは、勇気がいることだ」
「その勇気を、無駄にしないようにしよう」
雨はまだ止まない。
でも、りあの中では——
昨日より少しだけ、
前に進めた気がしていた。