テラーノベル
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〈うたい視点〉
「………」
「…見てた?」
ニグさんの声に、僕は目を開ける。
「…うん。」
「千里眼…使いすぎないようにね。うたいさんに負担がかかるんだから。」
「ん…気をつける。」
千里眼…僕は半径1km以内なら、目を瞑るだけで見たり聞いたりすることが出来る。
でも物凄く疲れる。だから普段はあまり使っていない。
「…さもさんは、もう大丈夫かな。」
「どうかな…あの凸さんとおどろくさんが集まってたってことは、まだ何かあるのかも…」
「いやでも間に合ってよかった…おどろくさんが言ってた黒パーカーの男。まさかさもさんが一年の時のクラスメイトだったとは…」
廊下でおどろくさんが騒いでいたのが気になって、千里眼で三人の会話を聞いていた。
さもさんの元クラスメイトは、さもさんに嫉妬していたらしい。
ニグさんにさもさんの家の近くで見張っていてもらい、捕まえて警察に無事引き渡したってわけ。
「…人って、やっぱり怖い。」
僕の呟きに、ニグさんが俯く。
「…帰ろっか。今日はカレーにするよ。」
「やった。肉多めね。」
「はいはい。」
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