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前置き
※言葉の使い方が間違っている箇所が多々あると思いますがこのお話を授業で書いた当時は中1だったので大目に見てください。
※このお話のエーミールは金髪翠眼です。
※原作の数年後のお話です。
※BL要素超薄いです…
本編
彼の部屋に忍び込んだあの日から数年後のある日、僕の耳に報せが入った。
あのエーミールが進学のために一人で異国へ 旅立つというのだ。
近所の住民や彼の友人は今度の日曜日、合格祝いと餞の会を同時に行うらしく、もちろん僕の家も招待されていた。
しかし母は、あの日僕がやったことに負い目を感じており僕に内緒でその招待を断り、エーミールがいなくなることは黙っていよう、そう考えたと言っていた。
母の行動は正しかったのかもしれない。
僕はあの日のことが忘れられずにおり、 この数年間一度も彼と話せていなかった。
話せる機会は何度かあったのだが、
「あ…エーミー…!」
話しかけようとする度に、あの彼の軽蔑したような目が脳裏に蘇ってしまい猛烈な寒気が僕を襲った。
挨拶はおろか、目を合わせることすら、しなかった……できなかったんだ。
僕は今、隣の家の庭にいる。
つまりはエーミールの家の庭だ。
彼に最後に一言でもいいから声をかけようと思っていたが、一度断ってしまったパーティーに入る勇気もなく、窓から様子を伺っていた。
エーミールは学友たちと話していた。表情こそ変わらないが、心做しか楽しそうだった。
幼馴染の僕も知らない彼だった。
「……!!」
僕が覗いていた窓の近くに彼が来てしまった。僕はさらに息を潜めた。
綺麗に髪を整え、しわひとつないシャツに身を包んだ彼がこちらに振り返る。
…目が、合ってしまった。
普段表情を崩すことの少ない彼の翠色の目が見開かれていく。
焦りに焦った僕はここに来た目的なんて忘れ、一目散に逃げた。
(目が、目が。彼の瞳だ。変わってなかった。あの翠色の目。こわい )
僕は息せき切って走った。とにかく走った。
そのまま家に帰った僕は、パーティーの騒がしさを遮るようにベッドに入った。
(恐ろしかったけど…でも美しかった。まるで吸い込まれそうだった…)
そんなことを思いながら眠りについた。
窓から覗く僕を見て、彼は一体何を思っただろうか。同情?嫌悪感?軽蔑? 分からない。
明日、彼は出立する。輝く希望を胸に。
続く