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「敵襲! 敵襲!」
斥候に出ていた村の若者たちが数人。前方から走ってくる。穴掘り以外の者は斥候だったようだ。
「本当に戦わなきゃ!」
渡部が剣を振り上げた。
「よーし! 頑張るぞ! 相手は黒い霧。殺人じゃない!」
角田は大剣を握りながら、絶叫する。
「いよいよだな! わしも戦うぞ!」
ディオはボロ衣のシャツの懐から、白い城から借りた一丁のピストルを取り出し、穴掘りをしていた村人の一人からサーベルを手渡された。。
村の人。ジュドルや蒼穹の戦士たちは、2千3百名もの大軍で一斉に戦いやすい、私を中心にしたVの陣を敷いた。
これから、本当の戦を体験しなければならない。しかし、リアルだが夢の事だ。
「ディオ。どこにトラップがあるのか。俺たちは知らない!」
「案ずるな。黒い霧しか引っかからん。赤羽くんはそこを絶対動くな!」
前方から見る見る間に、真っ黒な黒い霧の集団が赤い舌を出して、まるで黒い気体をまき散らした様に目前に広がりだした。その数は広大な森の様……。
「赤羽さん!死なないで……。どけやコラー!」
渡部が脇から巨大な黒い霧へと突っ込んで行く。
「赤羽くん! 死ぬなよ!」
角田は雄叫びを挙げ、猪武者よろしく巨大な黒い霧に吸い込まれた。
「今こそ、この悪夢に終止符を!」
ディオもピストルを撃ちまくり、巨大な黒い霧へと消えた。
細い棒を持ったジュドルを先頭に、蒼穹の戦士たちは私を置いてVの字型に全速力で走り出す。ただし、私のいたところの正面は、扇型でかなりの間隔があるのだが、誰も近づかない。
私は恐怖を跳ね除け正面の黒い霧の大軍に片手を向け続ける。数分で数百体もの大量の血の雨が降りしきり、黒い霧と私との間隔がみるみるとあいてきた。
数十分後……。
段々とだが黒い霧が舌を出し、私との距離が近づく。
私の脇のVの字型になっている蒼穹の戦士たちは、ゆっくりと黒い霧を霧散しながら前進しているのだが……。
私一人。どうしても、覚醒した力だけでは押し切られてしまいそうになってきた。
「ディオ! 何とかしてくれ!」
私は敵味方入り混じり、只でさえ薄暗い夜なのに黒い霧たちで真っ黒になっている。そんな戦地で私は叫んだ。 辺りは人肉が撒き散り、鮮血が雨のように降り注ぐ。