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このお話好きすぎます! 無意識あざとい💛可愛すぎでした😭 ぶりっ子💛に実は弱い️🩵、当たりの強い︎🤍、💛に甘い❤️、すべてが解釈一致でもっと5人の会話も見たくなりました!ありがとうございます😊
楽しく拝読させていただきました。 🩷さんの重めな愛がありながらもチームのやりとりにはクスッとして楽しい作品でした。
後編お待ちしておりました。素敵なお話ありがとうございました🙏嫉妬し合ってて可愛い。巻き込まれる3人の図も楽しかったです。🤍くんの「引っぱたきたくなる」には爆笑でした。さすが💛さんには辛辣な男!笑
後編
真野を見送り、一人になって夜風に吹かれながら歩く帰り道。吉田は頭を抱えたくなった。
(……『食われる覚悟』って、マジでなに…。怖すぎるだろ。)
デジタルデトックスと称してSNSを意図的に遠ざけてはいるものの、界隈で「まのじん」なるワードが一人歩きしていることくらい、嫌でも耳に入ってくる。バラエティ番組や真野の料理番組でも、定番の盛り上がりとしてそのフレーズが使われているのも知っている。
真野のことが嫌なわけではない。
人見知りでなかなか友達ができない自分に対して「友達」と認めてくれたのは素直に嬉しかった。こちらのトーンに合わせて話してくれる落ち着きや、丁寧な生活を好む趣味の合い方。年の差もニ個しか違わないのに大人の余裕を感じさせる佇まいや、しっかりとした体格、スマートなエスコート。
……そして、自分の頭を撫でてくる筋張った大きな手。
……自分を見る時のあの優しい目が、佐野とどこか似ていて安心するのも事実だった。
真野は自分とは真逆だ。
もし自分が女性だったら、こういう男に落ちるのだろうなと思う。正直言って、自身の精神面を守ることを最優先にしてしまう自分は、男女の付き合いすら上手くいった試しがない。自分を守ることに必死で、相手に嫌われるのを恐れて深入りを避けてしまうからだ。
今やお茶の間に浸透したM!LKというグループの看板を見て、下心や打算で近づいてくる人間も多い。だからこそ人に対して余計に警戒心を強めてしまう。
『俺と仲良くなって、どうするつもりなんだ?』と。
メンバーや家族、信頼できるスタッフ達は自分の性格の難しさを理解してくれている。だが一歩踏み込んで関係性を変えた時、その先の未来が絶対に壊れないと、誰が保証してくれるというのだ。
……なんて。
(…優斗くんと勇斗といると腹立たしさと、ほんの少しだけ甘えたくなる感情が混ざる。)
それもこれも、あのバカのせいだ。
(……勇斗は誰にでも優しいし……彼女ができたら上手くやるんだろうな。アイドルという手前、大っぴらにはできないし、簡単な付き合いなんて望めない。……それでも、勇斗のことだ。あいつはこの人だと決めたら絶対に曲げないし、ファンにも真摯に向き合う。なんたってM!LKイチ猪突猛進で有言実行の男だから。)
……そんな日が来るのは寂しいなんて、絶対に口が滑っても言ってやらないけれど。
頭の中でぐるぐると論理武装を繰り返しながらも、結局思い浮かぶのは佐野の顔ばかりだった。
そんなある日、吉田は自身のソロの仕事で、偶然にも佐野が主演ドラマを撮影しているのと同じ大型スタジオを訪れていた。
出番を終え、廊下を歩いていた時のことだ。
前方のスタジオの扉が開き、佐野が主演女優と一緒に談笑しながら出てくる姿を目撃してしまう。別れ際に、相手に合わせた柔らかい笑顔で親密そうに手を振り返す佐野の横顔。
「あ、勇……」
思わず声をかけようと踏み出しかけた足が、ぴたりと止まる。
自分が見たこともないような佐野の柔らかい表情と、二人を包む親密な雰囲気。そこに立ち入るのが急に恐ろしくなり、吉田は静かに声をかけるのをやめて引き返した。
(……どうして。)
胸の奥がゾワゾワと泡立つような、胸焼けに似た不快感が広がる。
自分には見せないような表情や距離感に、無性に腹が立った。
ソロの仕事を終えた吉田は、夜からグループ仕事のため真っ先に楽屋へ入る。
誰よりも早く楽屋入りをするのはいつものことだ。一人きりの空間でパイプ椅子に座り、先ほどのモヤモヤを抱えたまま待っていると、ニ番目にドアを開けて入ってきたのは佐野だった。
「……あ、仁人。相変わらず早いな。」
長時間の撮影の疲れを見せつつも、吉田の姿を見つけてどこか嬉しそうに話しかけてくる佐野に対し、吉田はぷいっと顔を背け、あからさまにツンツンとした態度を取る。
「……別に。普通だよ。」
「な〜んだよ、今日の仁ちゃんはご機嫌ななめですか?」
明らかに機嫌が悪い自分に対して揶揄うような余裕めいた言い方にいつも以上にカチンときて低い声が出てしまう。
「あ? 別に何も?……あ、そういえばさっき女優の〇〇さんとすごく楽しそうにお喋りされてましたね。仲良しなのは結構ですけど、アイドルとしての自覚を持って行動した方がいいんじゃないですか。ちゃんと気を引き締めないと、世間からどう思われるか分かりませんよ。」
皮肉たっぷりに刺した言葉に、さっきまで笑っていた佐野の目つきがガラリと変わった。
「……は? それ、お前が言う?」
「なっ……何よ。」
「おっまえこそ、真野がいる方が楽しいんじゃないの?ベタベタベタベタしよって!まのじんだか何だか知らんけど、そのキュルキュルしたお目々で周りを惑わせてんなよ!!」
「はぁーーー!?!!!何言われてんのか全然意味分かんないんだけど!?キュルキュルとか気色悪いこと言ってんなよ!!てかそっちだってあの女優さんとデロデロに鼻の下伸ばしてたくせに!!」
「伸ばしてねぇわ!!俺が好きなのはお前だけだわ!!」
楽屋中に響き渡る大声で怒鳴り合う二人。
その瞬間——バタン!と勢いよく楽屋の扉が開いた。遅れてやってきた残りのメンバーたちだ。
「……外にまで聞こえてるでええ加減にせぇや!…自分ら結局いつ付き合うん?!」
「無自覚で周りを巻き込むの、いい加減やめてもらっていい? 笑」
「勇ちゃん、素直に『仁ちゃんのこと独り占めしたい♡』って言いなよー!」
入り口に立っていたのは、あきれ顔の塩﨑、山中、曽野の三人だった。
まさか廊下にまで丸聞こえだったとは思わず、「ち、ちがう!!」と耳まで真っ赤にして全力で否定する吉田と、恥ずかしさで一気に脱力する佐野。
塩﨑がニヤニヤしながら佐野の背中をバシッと叩いた。
「ほら佐野さん、覚悟決めーや。ようやく自覚したんやろ?」
逃げ場を失った佐野は、ハァと大きなため息をつくと、真剣な眼差しで吉田の腕を強く掴んだ。真っ直ぐに吉田の目を見つめるその瞳は、ただひたすらに余裕のない一人の男の目だった。
「……仁人。俺以外の奴と、あんな近くにいるな。俺以外の奴に、そんな可愛い顔見せんな。……俺の側から離れないでよ。」
「…仁人が好きです。俺と付き合ってください。」
先ほどのドタバタが嘘のような本気の熱量とストレートな言葉。
吉田は一瞬で耳まで真っ赤になり——。
「む、無理!!!」
「「「あ、勇ちゃん(勇斗)フラれた。」」」
「待て待てぇ!!早すぎだろ!!お前0.1秒で告白断るなよ!!」
「だ、だって!無理だよ!勇斗分かってる!?俺たちそもそもアイドルだし、男同士だし!?」
「関係ねぇよそんなの!!」
「あるわ!!!一番大事なとこだろ!!それに俺の性格分かるでしょ!?もし付き合ったとして、その先どうなるか分からないし……そんな不確かな未来、怖すぎるもん!」
(……『もん』って。よっしーあざてぇぇ。)
「は!? 俺から別れるって言うと思ってんの!? そんなわけねぇし、一生添い遂げるつもりだから!!」
「わ、分からないじゃん!!人の気持ちなんて!グループの関係じゃダメなの!?ずっと一緒にいるのはこれからも変わらないじゃん!!」
「仁人を誰かに取られるのが嫌だって言ってんの、俺は!!」
「と、取られるって何!? 今までそんな素振り見せたことないじゃん!それに恋愛なんて不確定なものをしたら絶対俺はだめになる!…は、勇斗のこと、一時の感情で振り回したくない…。」
大きな目をうるうるさせ、半泣きになっていく吉田。
小動物を見ているような気持ちになり、見ていた四人はグッと胸を鷲掴みにされた。
(これ俺らいつまで聞いてればええんや?)
(勇ちゃん、仁ちゃんの可愛さに押し切られそうになってんなぁ。)
(これも外まで聞こえてたらおもろすぎる。TikTok用に動画撮っていいかな?)
呆れつつも、塩﨑が吉田に向かってポツリと声を掛けた。
「……じゃあ仁人はええんや。この先、勇斗がいずれ知らん女と付き合っても。」
「え……。」
「もしかしたら、お前みたいな性格のクソめんどくさツンデレ男かもしれへんし。まぁ女か男かわからへんけど勇斗のことや、いずれ絶対素敵な人と結婚するで?そうなったら文句言えへんからな? 俺らやったら勿論結婚式も出るやろうし、なんなら馴れ初めのスピーチかてするかもしれん。家族同士の付き合いもするんやから、一生顔突き合わせることになるんやろなぁ。」
まさかの塩﨑の助け舟に、佐野はポカンと口を開けた。
さらに畳みかけるように、塩﨑は口角を上げて意地悪く目を細める。
「勇斗に子供生まれたら、お前『仁人おじちゃん』って呼ばれて休日に遊んであげなあかんねんで? 勇斗と奥さんの横で愛想笑い浮かべながら『パパに似て可愛いね』とか言うん? 奥さんが焼いたホットケーキ食いながら『美味しいですー』とか言うん? 勇斗の幸せそうな家族写真を、お前一生特等席で見せつけられるんやで。」
「っ…あ…」
生々しすぎる未来の情景を突きつけられ、吉田の顔からみるみる血の気が引いていく。想像しただけで胸が押し潰されそうになり、目元が再び熱く潤んでいった。
「ちょっとちょっと太ちゃん…言いすぎじゃない?」
「ちゃうって。仁人が勇斗のこと断るって言うならこの先待ってる現実を教えてあげてんねん俺は。」
「……な、なんで太智、そんないじわるなこと言うの……。」
佐野の告白からいっぱいいっぱいになった吉田の目からポロッと涙がこぼれ、手をキュッと握りしめて胸元に寄せる。
その無自覚な仕草に、塩﨑と山中が同時に頭を抱え曽野は「仁ちゃんかわええなぁ」とにこにこと呑気に微笑む。
ちなみに佐野は吉田の顔をガン見しながら真顔である。
「……もーーー!!!! やめぇや!!! こんのぶりっ子!! 頼むからそんな顔は勇斗だけに向けぇや!いつもはオラオラしてるくせになんや!!その肝心なところでのビビり癖、ええ加減になんとかしぃや!」
「そうそう。そんな顔するのがすでに答え出てるでしょ? よっしーのそのメンタルクソ弱ネガティブなところは、勇ちゃんが全部受け止めてくれるんだから安心して飛び込んでいきなよ。あと、そろそろマジでひっぱたきたくなるからその子犬みたいな顔すんのやめてね。」
「仁ちゃん、勇ちゃんのこと一番信じてるやん。だから大丈夫やって!もし万が一勇ちゃんのこと嫌になったら俺がおるで、胸貸したるから泣き!!」
「……舜太以外、ほぼ悪口なんですけど…。」
「おい!!舜太の発言だけ見過ごせねぇんだけど!?」
メンバーからの呆れ混じりの温かい言葉(ほぼ悪口)に、吉田はふーと息を吐いた。
正直、まだ恐ろしい。もしこのまま佐野と特別な関係へ踏み出したとして、その先に待ち受ける未来など誰にも予測できない。
ファンへの影響は?知った時事務所や家族、友人たちはどんな反応を示すか。
誰にも明かせない秘密や不可解なリスクを抱え込んだ時、果たして自分の精神的な平穏は保てるのだろうか。バランスを欠いた時、己の自我を維持し続けられるのだろうか……。
――……でも、信じたい。そうだよ。俺は……誰よりも勇斗を信じてる。それだけは、絶対に揺るがない事実だ。
怖さは拭えない。けれど、一歩を踏み出してみたい。
塩﨑の容赦なく愛があるか分からない煽りのおかげで、これまで過剰に張り巡らせていたネガティブな防衛本能が、少しずつ解きほぐされていく感覚があった。
自分以外の誰かが佐野の隣を独占する未来への強い拒絶感。それと同時に、胸の奥底で燻っていた欲求が浮かび上がる。
佐野の隣に自分が一番にいたい、独占したいという感情だけ。
(…素直になれ!吉田仁人。俺はM!LKのリーダーだろ…。)
吉田はぐっと鼻をすすると、まだ涙で湿った瞳で佐野を真っ直ぐに見つめ直した。
「……俺を置いて、他の誰かと幸せになったりしたら絶対に許さないからね。」
「仁人……っ!」
「……責任、取りなよ。俺のこのめんどくさい性格、一生面倒見るって言ったんだからね。許さないって比喩じゃないから。」
ぽろぽろと涙を零しながら紡がれた言葉に、佐野の顔が一気に破顔した。
「〜〜〜っ! 当たり前だろ!! 仁人ぉぉおお!!」
泣きそうな顔で勢いよく抱きついてくる佐野を「重い! 力加減しろ!!暑苦しいってば!」と押し返そうとしつつも、吉田の腕はしっかりと佐野の背中に回されていた。
「「「はぁ〜……。」」」
やれやれ、と呆れ顔で息を揃える塩﨑、山中、曽野の三人。
相変わらず面倒くさくて手のかかる二人だと心底思いつつも、お互いを思いやるがゆえにこじれていた大切な仲間が綺麗にまとまったことに、胸の奥でほっと安堵の息をついていた。
数日後。
佐野の主演ドラマが、無事にクランクアップを迎えた。
オールアップの歓声と拍手が響き渡るスタジオの片隅で、佐野は先ほど受け取った花束を持ちながら真野のもとへ歩み寄った。
「……真野さん。あんたには一応、言っておきます。仁人と付き合うことになりましたんで。」
真っ直ぐに自分を見つめてくる佐野に、真野はどこか面白そうに眉を上げた。
「……へぇ。それ、俺が聞いていい話なのかな?」
「あんたは大っぴらに言うことはないと分かってるのと、仁人にちょっかい出されるのも嫌なんで。完全な牽制です。」
「ふふ、そうなんだ。おめでとう、と言いたいところだけど……大変なのはここからじゃない?」
佐野の鋭い視線にも動じず、真野は相変わらず余裕のある笑みを浮かべる。
「仁人くん、頭撫でるだけで顔を真っ赤にするし、そういうことにかなり疎そうじゃん。」
「……あんたなぁ……。」
「せいぜいジタバタするといいよ。彼の性格上無理強いしたらすぐ逃げ出しそうだしね。まあ、ライバルからのこれくらいの意地悪は言わせてよ。」
「……いい性格してますね、ホント。ちゃんと大事に進めますよ、そこは。……あと、もし逃げたとしても、絶対に連れ戻すんで。」
「……いい性格してるのはお互い様じゃない?」
バチバチとピリついた視線を交わし合う二人。
その時——廊下の先から、主演女優の明るい声が響いた。
「おーい!二人とも!打ち上げ行くよ〜!あれ?いつ間にそんな仲良くなったの?」
「「なってません。」」
二人の声がハッキリと重なり、真野は楽しそうにクスクスと笑う。
やっぱり双子見たいだよ、とケタケタ笑う主演女優の方に向けて歩き出しながら花束を抱え直し、佐野は遠くを見つめた。
(……あーあ。早く仁人に会いたい。)
そして後日。
真野から吉田のスマホに『佐野くんから聞いたよ。俺は振られちゃったか〜笑。でも楽しかったよ、ありがとね。これからも友達としてよろしく。』と余裕の漂うメッセージが届く。
一応真野から告白もどき?を受けた吉田としては不誠実がないように佐野へ共有するが、それを見た佐野は「なんだこの余裕ぶった文章は!! 悔しい!!」と画面越しに真野へ嫉妬を爆発させていた。
「もう!勇斗うるさい!離れて!」
「やだ!仁人は俺んだから絶対に離さない!!」
楽屋のひとつの椅子に二人で身を寄せ合って座り、佐野は後ろから吉田の体をすっぽり抱きかかえて、その肩に自分の顎をちょこんと乗せている。両思いになっても相変わらずべったりと騒がしい二人を見て、塩﨑、山中、曽野の三人は呆れ果てたように肩をすくめた。
「結局、付き合っても何も変わらんのかい。」
山中の冷ややかな呟きに、曽野も「やんなぁ。なんか勇ちゃん粘着質が急上昇しとらん?仁ちゃんのこと逃がさんようにロックしとるやん」とため息をつく。
「つーか仁人!!お前も『離れて!』とか言いながら全然本気で払いのけてへんやろ!な〜にキュルキュル嬉しそうなお顔してんねん!ちっとも隠せてへんねん!」
さのじんのイチャイチャには普段から一ミリも興味がなく、基本的にスルーするか「もう飽きたわ」と投げ出すのが日常茶飯事な塩﨑だが、あまりにも視界の真ん中で見せつけられると黙っていられない。
塩﨑の容赦ない指摘に、吉田は「ゔっ……!ち、ちがっ……! これは単に勇斗の力が強くて……!」と顔を真っ赤にしてドギマギし始める。
「太智ぃ、俺の仁ちゃんに余計なこと言うのやめてあげて〜。」
「やめてぇや!!誰が『俺の』や〜!めっちゃ痒いねん!!楽屋でバカップル空間作んなや!まじで一ミリも興味ないねんけど目ぇ入ってくんねん!ええ加減にせえよさのじん!!」
塩﨑の叫び声が楽屋に響き渡り、山中と曽野は「まぁいつものことか」と顔を見合わせて笑う。
結局、付き合おうが付き合うまいが、M!LKの楽屋の賑やかさは相変わらずだ。
けれど、深まった絆と少しだけ甘くなった二人の空気感に、今日も楽屋は温かい呆れ声と笑顔で満たされている。
末長くお幸せに。
(おまけに続く。)