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7秒で素直になれる俺ら

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7秒で素直になれる俺ら

1 - 7秒で素直になれる俺ら

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2023年06月18日

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チッチッと時計の音が響く静かな部屋。

適当にスクロールする動画アプリに流れてきた1本の動画。

某人気関西アイドルのリーダーのセリフが本人の声とともに文字に起こされている。


『なぁ、知ってる?7秒見つめあったら、恋するらしいで。……試す?』


かすかすな声で紡がれる言葉。


隣に座ってスナック菓子を頬張りながらテレビに映されたゲーム画面とにらめっこしている坂田を盗み見る。

相棒でありライバルでもある、俺の好きな人。


俺の視線に気づいた坂田はこっちを見て小首を傾げた。


「なに?」

「ん、なんも」


ふーんと興味なさげに返事をして視線が元に戻される。


『7ビジュ見つめあったら、恋するらしいで』


さっき流れてきた動画のセリフが脳内再生される。


あれ、ほんとなのかな……。

もし、本当なら……。


もう一度坂田を見る。

すると坂田はすぐに視線に気づいたのか、ゆっくりとこっちを見る。

ゆっくりと、焦れったく視線が絡む。


チッ 、 チッ 、 チッ 、……


壁にかけられた時計の秒針が、俺の鼓動に合わせて音を立てながら数を数える。


どれくらい見つめあっていたのだろう。

ふはっと2人の同時に笑い出す。


「なんでこんな見つめあってんだよ俺らw」

「いや、うらさんがなんかすんごい熱い視線送って来たから!w」

「えー?いやいやいやw送ってねぇよw」

「いや、めっちゃ送られてきたね。うらさんがこっち見た瞬間から熱っ!ってなったもん」

「なんだよそれ!w」


坂田が顔を逸らしてコーラを煽る。


「うらさんさぁ、俺のこと好きなやろ?」


からになったコップを持ったまま俺を指さしてニヤリと笑う。

その意地悪めいた笑顔に、顔が熱くなる。


「そ、そんなわけねぇよ……」


今度は俺が顔を逸らした。

そのまま立ち上がろうとすると、腕を引かれてソファーに……いや、坂田の胸に倒れ込む。


「さかた……」

「うらさん……」


ゆっくり坂田の顔が近づいてちゅっと唇が奪われる。


「うらさん、好き」


顔を離した坂田は、俺の頬を撫でてそう言った。


「うらさんは?」


俺の返事を促すそうな優しい問いかけに、胸がキュンと鳴る。


もう、無理だ……


そう思ったら、ずっと閉じ込めていた想いがポロッと口から零れた。


「坂田のこと、好き……」


ふふっと嬉しそうに笑った坂田に優しく押し倒される。


「もっかいキス、していい?」

「……うん」


小さく頷くと、もう一度唇が重なる。

好き好き同士の、優しいキス。

重なった俺らの影は、永遠とも一瞬ともとれる時間の中、離れようとはしない。


陽射しの差し込む静かな部屋で、俺らは静かに恋に落ちた。

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