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「もし有事があれば……行ってしまうのでしょう?」
「…………そういう決まりだからな」
うっすら目に涙の見える菊を抱き締め、俺は言った。
「お前も分かってるだろうけど……韓国は平和なようで、平和じゃないんだぜ。あくまでもあの国とは、停戦状態だからな。いつ再び戦争が起こっても、おかしくないんだぜ。だから兵役があるわけで」
「…………ええ」
「確かにあの国は、年々きな臭くなりつつあるんだぜ。でも……そんなに容易く戦争を起こすような、頭の悪い国じゃあない筈なんだぜ」
だから当分は、大丈夫だと信じるんだぜ。そう告げると、菊はふるふると首を横に振って。
「分からないじゃないですか、未来のことは……現に起こっている戦争は山ほどあるのに……」
「…………」
「我儘なのは分かってます……でも私は貴方に、死んで欲しくないんです……」
ごめんなさい、と、涙を流す菊。俺はそんな菊の頭を撫でつつ、額にポッポを落とした。
「確証は無いけれど……大丈夫なんだぜ、菊。もし有事があったとしても……必ず生き延びてやるんだぜ、 約束するんだぜ」