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#幽霊
凛道桜嵐 新
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#日常
がくじゅつてき・あかげ
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わーい
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高麗人参がやっと届いた。いろいろ調べて、結局、俺が前に仕事した多田漢方薬局の粉末高麗人参が、一番手頃で質も確かだったので、そこのやつ。
さっそく、千歳に高麗人参を渡した。
「はい、医薬品グレードの高麗人参。料理に入れられるけど、粉薬みたいにそのまま飲んでも大丈夫」
『へえー、粉だとこんななのかあ』
千歳は高麗人参入りの袋をまじまじと見た。薄いベージュの細かい粉、これだけ見たら高麗人参とはわかんないよな。
『じゃあ、料理作り分けるのめんどくさいし、もうそのまま飲もうかなあ。一日にどれくらい飲めばいいんだ?』
「まあ、漢方薬準拠なら一日に3gとか4gとか、そんなかな。この付属の小さじが一杯1g」
俺は、多田さんが初回購入のおまけに付けてくれるプラスプーンも千歳に渡した。
『じゃあ、この小さじで一日3回飲む』
「そうだね、そんな感じで」
そして2日後。朝起きた千歳に、『またちょびっとだけ治った!』と言われた
『ほら、ちょびっと姿変えられるようになった』
千歳(朝霧の忌み子のすがた)はボンと音を立て、下半身だけ黒い一反木綿の尻尾になった。
「ちょびっとだねえ」
『まあ、前もちょびっとだったし、ちょびっとずつ治るんだと思う。なあ、この姿ならぎゅーしてくれるか?』
「え」
俺は面食らった。いや、その、今抱きしめたら千歳の胸とか密着して、いろいろダメだろ!
「い、いや今はまだだいぶ女の子だから……完全におばけか、ちっちゃい子か、あと男なら……」
『くそー、まだだめかー』
千歳は露骨にがっかりした。
「おばけか子供か男になれたら、いくらでもぎゅってしてあげるから」
『まあ、おとなしく高麗人参飲み続けるか』
千歳は下半身を元の人間の姿に戻した。うーん、そんなに俺に抱きしめてほしいの? まあ、俺も千歳のこと、いくらでも抱きしめたいけど……。
『高麗人参飲んでから、力だけは溢れてるんだ。これで峰家の仕事もバリバリできるぞ』
千歳はボクシングみたいにしゅっしゅっとパンチを繰り返した。
「元気なのはいいことだ。まあでも、あんまり無理しないでね」
梅雨が明けたら暑くなるだろうしなあ。生活してるだけで厳しい季節到来だ。千歳が元気で、俺も体調を崩さず仕事できれば、とりあえずそれでいいかな。
コメント
1件
ああ、このエピソードすごく良かったです……!千歳さんが「ちょびっとだけ治った」って嬉しそうに報告するところがもう、愛おしくてたまらなかったです。それでいて「ぎゅーしてくれるか?」のくだりは、思わず「してあげて!」って叫びたくなりました(笑)。おばけか子供か男になれたら、っていう条件付きの約束がまた切ないというか、二人の距離感の絶妙さが出ていて好きです。高麗人参で少しずつ治っていく過程、ゆっくり見守りたくなりますね。