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第五話:中国の知恵とルーナの隠れた才能
アメリカでのパーティから帰国したソルグとルーナは、自宅で中国からの連絡を待っていた。
数日後、ソルグの携帯に中国から連絡が入った。
🇨🇳「もしもし、ソルグさん。中国です。先日は失礼いたしました。ルーナ殿の件で、是非お話したいことがありまして」
☀「中国さん!いえいえ、こちらこそすみませんでした。ルーナは、少しずつですが、元気になっています」
🇨🇳「それは何よりです。実は、ルーナ殿の指揮能力について、我が国で調査させていただきました。我が国の海軍将校たちも、ルーナ殿の指揮能力に感銘を受けており、是非、合同演習を提案したいと考えております」
ソルグは驚いて、ルーナの方を振り返った。ルーナはソルグのそばで、不安そうに耳を傾けている。
☀「…合同演習、ですか…」
🇨🇳「はい。もちろん、ルーナ殿が無理をする必要はありません。ソルグ殿も一緒にご参加いただければ幸いです。もしご賛同いただければ、明日にもお伺いさせていただけませんか?」
ソルグはルーナの顔を見て、彼女の意思を確かめた。ルーナは不安そうな顔をしながらも、わずかに頷いた。ソルグは中国に、明日来ることを承諾した。
翌日、中国がソルグたちの家を訪れた。彼は、海軍の軍服を着用し、真剣な表情を浮かべていた。
🇨🇳「ソルグ殿、ルーナ殿。今日は、ルーナ殿の指揮能力を拝見させていただきたく、参りました。ルーナ殿、ご自身の海軍について、ご説明いただけますか?」
ルーナは固まってしまい、一言も発することができない。
ソルグがルーナを抱きしめ、優しく語りかけた。
☀「大丈夫だよ、ルーナ。思ったことを、そのまま話せばいいんだ」
ルーナはソルグの言葉に勇気づけられ、震える声で話し始めた。
🌙「…わ,私の海軍は…まだ規模は小さいけど…みんな、勇敢で…敵から国を守ろうと…一生懸命戦ってくれます…」
ルーナが話すうちに、彼女の瞳に光が宿り始めた。海軍の戦術について語り始めると、その口調は次第に力強くなっていった。
🌙「…敵の動きを予測して…最適な場所に味方の艦隊を配置すれば…たとえ戦力差があっても…勝つことができます…」
ルーナの言葉は、まるで魔法のように、中国の心を捉えていった。中国は真剣な表情でルーナの話を聞き、時折メモを取っている。
🇨🇳「…なるほど…ルーナ殿の戦術は、実に素晴らしい。緻密でありながら、大胆でもある。我が国の将校たちも、この発想には驚嘆していました」
中国はルーナの言葉を遮り、彼女を称賛した。ルーナは褒められたことに戸惑いながらも、少しだけ嬉しそうな顔をした。
🇨🇳「では、実際に合同演習をしてみましょう。ルーナ殿には、我が国の海軍艦隊を指揮していただきます。敵は…ソルグ殿の空軍と陸軍に模した仮想敵です」
ソルグは、ルーナの真剣な表情を見て、彼女の秘められた才能に改めて驚いた。ルーナは、人が多い場所では怯えるのに、戦術の話になると人が変わったように生き生きとする。それは、彼女が8年間、孤独な環境で戦術書を読み漁り、心を閉ざす代わりに、自分だけの世界を築き上げてきた証拠だった。
合同演習が始まった。ルーナは、中国の将校たちに的確な指示を出し、仮想敵であるソルグの空軍と陸軍を次々と撃破していく。ソルグは、ルーナの指揮のあまりの巧みさに、ただただ感心するばかりだった。
演習が終わり、中国はルーナに深々と頭を下げた。
🇨🇳「ルーナ殿。あなたの指揮能力は、本物です。我が国は、あなたの才能を高く評価し、全力で支援させていただきます。我が国の最新鋭の艦隊を、あなたの指揮のもと、動かしてはいただけませんか?」
中国の言葉に、ルーナは驚きと喜びで言葉を失った。ソルグはルーナの肩を抱き、優しく微笑んだ。
☀「ルーナ。すごいじゃないか。お前は、俺の誇りだよ」
ルーナは、ソルグの温かい言葉に涙を浮かべた。虐待に苦しんだ過去が、彼女に海軍の指揮能力という、かけがえのない才能を与えてくれた。そして、その才能を認めてくれる仲間たちが、今、そばにいる。
ルーナの心に、また一つ、温かい光が灯った。彼女は、静かで内向的な自分でも、国のために、ソルグのために、できることがあるのだと知った。
(続く)