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コメント
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短歌から始まる構成がまず素敵だなと思いました。水槽の青い光に照らされた彼の横顔に「魚より先に君に目が行く」心情が、すごく丁寧に描かれていて胸がきゅっとなりました。彼女が「青い光がきれいだったから」ってごまかすところ、その後彼が少し近づいてくれるところが可愛くて、高校生の距離感がリアルで好きです。50話という節目に、こんなに温かいデート回を読めて嬉しかったです🌷
【短歌】
青い海 水槽越しに 見つめれば 魚より先に 君に目が行く
【短歌をテーマにした物語】
休日の水族館は、思っていたよりも人が多かった。
「こっち、こっち!」
先を歩いていた彼が、入口の近くで振り返る。
「そんなに急がなくても、逃げないよ」
「でも、せっかく来たんだから最初から見たいだろ」
そう言って笑う彼につられて、彼女も笑った。
二人で水族館に行こうと約束したのは、少し前のことだった。
きっかけは、学校で何気なく交わした会話だった。
「水族館、好きなんだ?」
「うん。特に大きな水槽を見るのが好き」
そう答えた彼に、
「じゃあ、今度一緒に行こうよ」
と彼女が言った。
言ってから、少し大胆だったかなと思った。
けれど彼は、すぐに、
「いいよ」
と笑った。
その笑顔を思い出すだけで、今日までずっと楽しみだった。
そして今、二人は最初の大水槽の前に立っている。
「わあ……」
目の前には、青い世界が広がっていた。
大きな魚がゆっくりと泳ぎ、その後ろを小さな魚の群れが追いかけていく。
水槽の向こう側には、本物の海があるようだった。
「すごいな」
隣から彼の声がする。
「うん。きれい……」
彼女も水槽を見つめる。
けれど。
しばらくすると、視線が少しだけ横へずれた。
青い光に照らされた彼の横顔が見える。
真剣な顔で魚を眺めている。
普段、教室で見る彼とは少し違っていた。
いつもより静かで、どこか大人っぽく見える。
彼女は慌てて水槽へ視線を戻した。
けれど数秒後には、また隣を見てしまう。
「……」
今度は、彼と目が合った。
「どうした?」
「えっ?」
「さっきからこっち見てない?」
「み、見てないよ」
「そう?」
彼は少し不思議そうに首を傾げる。
「魚を見てたんじゃないの?」
「見てたよ」
「じゃあ、なんで俺のほう見るの?」
「それは……」
言葉に詰まる。
まさか、「魚より君を見てしまうから」なんて言えるはずがない。
「……青い光が、きれいだったから」
苦し紛れに答えると、彼は笑った。
「そっか」
それ以上は聞かなかった。
けれど、そのあと彼は水槽の前を歩くとき、少しだけ彼女の隣に近づいていた。
次の水槽では、色鮮やかな魚たちが泳いでいた。
「これ、きれいだな」
「本当だね」
二人で並んで眺める。
クラゲの水槽では、ゆっくりと漂う姿を見ながら、
「ずっと見てられる」
「分かる」
と笑い合った。
イルカのショーでは、彼が楽しそうに拍手をしているのを見て、彼女まで嬉しくなった。
気がつけば、水族館を歩く時間はあっという間だった。
出口へ向かう頃には、外から差し込む夕方の光が見えていた。
「楽しかったね」
「うん」
「一番何がよかった?」
彼に聞かれて、彼女は少し考える。
「大水槽かな」
「やっぱり?」
「うん」
彼女は笑った。
けれど、本当は少し違う。
大水槽が好きなのは本当だ。
ただ、それ以上に覚えているのは、青い光の中で隣にいた彼の横顔だった。
「じゃあ、また来ようよ」
「え?」
「次は今日見られなかったところも見よう」
彼がそう言った。
「……うん。行きたい」
帰り道、二人は並んで歩いた。
水族館の中では、魚を見たり、クラゲを見たり、ショーを見たりした。
それなのに、彼女の記憶に一番強く残っているのは。
青い水槽の前で、隣にいた彼の笑顔だった。
帰宅してから写真を見返す。
そこには、美しい魚たちがたくさん写っている。
けれど彼女は、写真の端に偶然映り込んだ彼の横顔を見つけると、思わず笑ってしまった。
今日、水族館へ来た理由は魚を見ることだったはずなのに。
きっと次に来たときも、同じことになる。
水槽の中を泳ぐ魚より先に、隣にいる君を探してしまうのだろう。
彼女は今日の思い出をそっと胸にしまいながら、もう一度、写真を眺めた。
――青い海。
水槽越しに見つめれば。
魚より先に、君に目が行く。
そんな自分がおかしくて、そして少しだけ嬉しかった。
羊と亀のお遊戯会
23
奏音•*¨*•.¸¸♬︎💙
10
映え無し

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