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《木戸芽那編》
いじめを受けていたことが母親にバレた。
まあ当たり前か。どうにか傷が痛まないようにとぎこちなく歩いていたところを見られたのだから。
母親は血相をかけて私に、もしかして誰かからいじめられているのかと詰め寄ってきた。
シングルマザーである母親に心配をかけたくなかったという思いはあったのだが、正直このことがバレてほっとしている自分もいる。
そして昨日のうちに母親が学校に電話をかけ、今日に急遽話し合いが行われることになったのだ。
風邪をひきかけているのか少し体がだるいながら熱は無かった。学校にはもう行きたくなかったのだが、行かないといけない。
学校まで着いてくると言っていた母親を必死になだめ、私1人で家を出た。
母親と登校だなんて、あいつらに見られたらまたバカにされるに決まってる。
学校につくと、出迎えた担任によって私は別室に連れていかれた。教室には行かなくてもいいようで、心底ホッとする。
話し合いは担任が仲介して行うらしい。
私は自分がされたいじめを1つ残らず担任に伝える。
初めは友達からの無視からだった。友達は怯えていた。きっと彼女らから私を無視するように脅迫されていたに違いない。
また彼女らは私に聞こえるように陰口を言ってきていた。それに1人が言ったことに対して何人かで笑うのだ。私の失敗が、心底面白いと言うかのように。
そして暴力も振るわれた。校庭のすぐ近くのあそこ。そこに連れていかれて暴力を受けた。あと水もかけられた。おかげで風邪を引いたのか私の今日の体調もさほど良くない。
私に有利になるような情報は余すことなく全て伝えた。
だから向こうの話も聞いてくると言った教師に、少し期待もしていたのだ。
それなのに。
「教室に来たくないほど辛いならこれからも来なくてもいい。
だが、彼らはいじめなんてしてないと言っている」
思わず怒鳴りそうになった。
「…水をかけて、暴力もして。これがいじめじゃないならなんなんですか!」
「からかっていたのが少しヒートアップしすぎたらしい。ちょっとからかってやろうと蹴ったら思ったよりも強くなってしまったようだ。
向こうも十分に反省しているから、許してやってくれないか?」
「っ…!!」
何か言おうとするも何も言葉が出ずにハクハクと口を動かすだけで終わってしまう。
あまりの悔しさに、私の目には涙が滲んだ。
「先生はっ…そっちの意見を信じるんですか」
「信じる信じないの話じゃないんだ。
先生はお互いに話し合って、双方納得する感じで解決して欲しいと思っている」
当たり前か。教師は自分のクラスでいじめなんて起こって欲しくないに決まってる。
それほど不名誉なことはないからだ。
「そう、ですか…」
私はガクリと体から力を抜いた。
期待したのが間違いだった。
やはり教師なんて、頼りにならない。