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最初に顔を会わせた時、『どこかで会った事がある?』と、悠真は瞬時に思った。
真っ先に当直当番の名札を確認する。
部屋の奥にいたのだろう、出てきた警察官は制服を身につけ、少し長い前髪を横に撫で付けながら「どうしましたか」と人の良さそうな顔で問いかけてくる。
名札は『赤井音弥』とあった。
悠真は少し息の上がった胸を押さえ、嫌な予感を手繰り寄せる。
「、、遅くに、すみません」
いえいえ、どうぞ。
と、小さな机を挟むように手前の事務椅子に薦める。
心臓の鼓動が確かに耳元で聞こえている気がする。
事務椅子に腰かけつつ、赤井の死角となる位置になるようにスマホを取り出し店長にワンコールからのメッセージをすばやく打つ。
「、、家の鍵を落としまして。届いてませんか」
冷や汗が背中を伝う。
悠真は違和感が確かなものと、確信していた。
悠真は人の名前と顔を覚えるのを得意としていた。
前職でもそと特技を発揮させ、客の事務所に飾ってある写真や名簿を憶えるというのを癖にしていた。
赤井を見るのは2回目だ
1回目は店に仕事で来ていた。
あの、暴れた奴らを取り押さえに現れた警察官の1人だった。
本庁から来たと、警察手帳と一緒に名乗ったのが、脳裏をよぎる。
2回目は、今日だ。
店長の家の棚の中にあった履歴書最終職歴は神奈川で公務員と確かに書いてあった。
履歴書の日付は事件の1週間後。
なぜ、その男が交番勤務?
それも詩音の家の近く。
あの日、詩音はどうしてた?
大津とBar時間にカウンターで飲んでいた。
争いが始まって、店の隅に避難していたのは憶えている。
和人さんの通報で警察官が3人。
そうだ。
詩音は大津の後ろで小さくなり、和人さんや俺の後ろに移動してきていた。
あの時は、争いが怖かったんだと思ったんだ。
でも、それがこの男が知っている男だったら?
この男は詩音と同郷だ。
履歴書に、書いてあった。
一瞬見ただけの履歴書の時、なぜ、こんなところにあるのか不思議に思った。
どこかで見た気がしたけど、意識していなかったから本当に気付かなかった。
細く長い息を吐き出した。
睨むのを隠すように目の前の男を盗み見た。
落し物の届け出ファイルを見ている。
詩音の事を聞くつもりだった。
下の階の女性の為の巡回は続いていたはず。
その時の様子や記録が知りたかった。
「、、落としたのは今日で間違いないかい?」
ファイルから眉尻を下げ、悠真を見る。
「悪いけど、今日は鍵は届いてないなぁ」
「、、そうですか」
「届いたらすぐに連絡がいくように1枚記載して貰ってもいいかな。キーホルダーとかはどんなの付けていたとか、なるべく詳しく頼むな」
「、、赤井さん」
「ん?」
「、、て、いう、お名前ですよね 」
「ああ。そうだよ」
それが?という顔をする。
悠真はグッと拳を握り膝の上で力を込めた。
「俺に、、自分を、見たことないですか 」
赤井はポカンとした顔をし、改めて悠真を見る。
「、、すまないね、。ちょっと、記憶にないかな。どこかで会ったかい?」
「、、先日、喫茶ヴェンガムで喧嘩した男達を取り押さえに来て、くれましたよね?」
ひきつる口角を無理に上げ、下手くそな笑顔を向ける。
根拠のない、確信を感じていた。
この男は、詩音に関わっている。
「、、、、。 」
赤井から人の良さそうな笑顔が消え、警戒の色を出した。
「、、先日は、本当に助かりました。改めて、 ありがとうございました。それにしても、警察の方って本当に強いんですね。自分達は間にはいれなくて、ただただ、焦っていただけでしたので」
にかっと、森山くんをイメージして、なるべく明るくを意識する。
「ああ、あの喫茶店の。、、いやいや、多少鍛えてはいるけど、僕なんてまだまだだよ。僕以外にもいたから収められたしね。、、お店の方はいつ再開できるんだい?」
赤井の笑顔は戻ってこない。
「店、まだ閉まってるの知っててくれたんですね。、、もう数日したら再開できそうです 」
「、、。
まぁね。少なからず関わったからね、たまに足をのばして見に行ってたんだよ。相当、修繕が必要だったのかな?」
「はい。店内の家具や装飾はすぐに購入や修理で済んだんですが、せっかくだからって設備工事入れたんです。おかげで長期休暇になりまして。、、赤井さんは、いつから交番勤務に? 」
「、、6日前に着任したんだよ」
「そうだったんですね、この辺りは詳しいんですか?巡回は自転車の方が多いですけど、パトカーには乗らないんですか?」
「、、。詳しいねー。そうなんだよ、この辺は住宅街だからね、パトカーだと停めるところもないから、自転車の方が小回りがきくんだよ」
「そうだったんですね。希望を出してここの担当になったんですか?
知ってる人が交番勤務に入ってくれると心強いです」
机の隅に置いてあるメモ用紙を見る。
どことなく、既視感に見舞われた。
綺麗に切られたメモ用紙が強く、存在を主張しているように見えた。
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コメント
1件
うわっ、この第11話めっちゃ緊張感ある、、!😳 悠真が赤井に気づいてからの会話、一瞬一瞬がサスペンスみたいでドキドキしたよ。履歴書の話が出てきたところで「あっ!」ってなったし、詩音との繋がりがじわじわ見えてくるのが怖くてでも気になる〜!!赤井の笑顔が消えた瞬間の空気、ゾッとしたよ、、悠真、ほんとによく頑張ってるね😭💕 続きが気になりすぎる!!