なぁ、もしも赤葦とバレーどっちかしか選べないとしたら、木兎はどっちを取る??
え?
選ばなかった方は消滅するとしたら、木兎はいつも一緒にいる赤葦か、これからも続けていくバレーかどっちなのかなって
ある夏の体育館。蝉がうるさく鳴いている中、木葉が聞いた。
そんなもん分かりきってることじゃん
「バレーに決まってるよ」
こうして、俺の恋は呆気なく終わった。
俺はずっと木兎さんを好きだった。でも、俺たちは男の人同士。こんな感情は必要ない。そう…思っていたけど、どんたけ自分に言い訳しても、嘘をつこうとしても…俺の「木兎光太郎が好き」という感情に嘘は付けなかった。木葉さんが質問した時、もしかしたら、木兎さんが大好きなバレーよりも自分の方が選ばれるのかも、だって選ばれなかった方は消滅するし…なんて一瞬でも期待しちゃった俺を殴りたい。結果としてダメだったし、思えば最初からわかっていたことだ。俺は、ずっと頑張って来た。反吐が出そうな時も木兎さんと居残り練をしたし、3年生の教科なんて分からないのにも関わらず毎日木兎さんの試験範囲を勉強した。それでも報われなかった。そう。本人の口から…「消えていい」って言われたから。
それから月日は流れ早2年。俺は元々目標としていた木兎の行った大学じゃなくて、推薦が来ていた違う大学に行った。理由は分かっていた。「もう木兎さんに会いたくないから」それからは梟谷の同窓会にも行かなかったし、スマホを変えたからと適当な理由を付けて皆の連絡先を消した。これでもう、いいと思った。でも、1度だけ…1度だけでいいから、
これが俺の本音。やっぱり俺は木兎さんが好きだ、大好きだ。だからこそ、俺が消えていいって言われた傷は今でも癒えない、木兎さんに赤葦は隣にいて欲しいって言われたい。でも、俺はもう木兎さんにはもう会えない。とんでもない矛盾を抱えながら俺は毎日を過ごしていた。心にぽっかりと穴が空いた気分だった。朝起きて、大学に行って勉強してバイトして、家に帰る。そんな変わらないごくごく普通の毎日。でもある日俺の人生は大きく変わった。俺に彼氏ができたのだ。何時ものバイト帰り、俺はバイトの先輩に無理やり連れ込まれたホテルでレイプされた。嫌がる俺を無理やり抱いたのだ。とても痛かったしくるしかった。でも、なんだか少し俺の心は満たされた。だからかもしれない。後からその先輩に告白と共に謝罪された時、なんとなくでOKしてしまったのだ。何でかはよく分からない。痛くて苦しくて悔しかった。それに、とても悲しかった…でも、きっと俺はこの心の穴を塞ぐ何かが欲しかったんだと思う。木兎さんを諦めたかったんだと思う。その後、俺が思っていたよりも順調に先輩と俺はお付き合いしていた、手も握りあったしキスもした。きちんとした同意の中でえっちな事だってした。でも俺は心の中でいつも木兎さんの事を考えてしまう。先輩には申し訳ないけど、勝手に脳内で木兎さんに変換してしまう。俺は諦めようと思って先輩と付き合ったのに俺の心は段々と木兎さんを欲していた。でも、この気持ちは隠し通していた。隠すことには慣れていたから、今は木兎さんの事を考えてしまっても、時間が経てば忘れられると信じて。
それからもう1年経った。俺は全然木兎さんを諦めきれなかった。忘れられなかった。理由は分かっていた。先輩とお付き合いしているから、俺は木兎さんと重ねてしまう。だったら別れればいい。今考えると、ものすごい自分勝手な考えだと思う。でも、この時の俺はそんなこと考える暇なんてなかった。
そしてこの日、俺は先輩と別れた。きちんと理由も説明して、謝罪した。先輩は案外あっさりと別れてくれた。
でも、これが間違いだった。
結論恨みをかってしまったのだ。俺がバイト帰り、ぼーっと1人で夜道を歩いていると、いきなり身体中に電気が走った。
その後何時間寝てたかは分からない。身体が痛む中目を開けると、周りには沢山の男がいた。そして口には口枷、足や腕には鎖が繋がれていた。俺は何が何だか分からなかった。ただ、男達の会話を聞いていると「ここはAVを取る場所」で、経験者の男として先輩に売り飛ばされたらしい。そこからはもう地獄だった。俺が抵抗できないのをいい事に、口、尻、ちんこ、乳首…いいように触られ、撮影され、ぶっかけられた。オマケに「警察に訴えたらこの動画を世界にばらまく」とまで言われた。俺の人生はここで終わった。
はずだった。
動けなくなってぐったりとしてる俺を男たちは車で運び、雨が降るなか放り出された。夏の蒸し暑い中まだ暗い夜道に降り続ける雨が少し心地よい。俺の汚れた心やかけられっぱしの液体を全部流してくれた気がした。そんな時懐かしい声がした。
あぁ、聞きたくなかった。会いたくなかった。もう…一生合わないつもりだったのに……神様は卑怯だ。何で今なんだ…なんで、身体ひとつ動かせない今なんだ。どうせ見つかるなら…もっと言い訳できる時にしてくれよ…
そう、俺が出会ったのは……
木兎光太郎だった。
ずっと思い続けていた。ずっと会いたかった。ずっと…必要とされたかった。でも、その分会いたくなかった。
「あかーし??どうしたの??なんでこんな所に……」
「何この手と足の赤い線!?怪我??動けない??」
「とりあえず家に運ぶから、話はそれからな」
駄目。言葉が発せない。喉の奥にこびりついてる男たちの体液のせいで上手く呼吸が出来ない。何も…言い訳ができない。駄目なのに、今木兎さんの家に行ったら、駄目なのに…今まで我慢してたのが全部崩れちゃうのに……今俺は、一人で居たいのに…
そんな俺の願いは届くことなく俺は木兎さんの家に運ばれた。
ガチャ、と言う音で俺は目を覚ました。どうやら運ばれている間に気を失ってしまったようだった。俺は木兎さんにされるがまま、濡れた身体を拭かれゆっくりとベットに降ろされた。柔らかいシーツが心地よい。枕から木兎さんの匂いがする。泣きそうだった。ずっと思い続けた人に振られ、逃げるように遠くに行き、そして先輩にレイプされ、木兎さんを忘れたいが為にその先輩とお付き合いし、結局俺の自分勝手で振り、そこから無理やり沢山の男に犯され、脅された。AVの撮影中、ずっと怖かった。怖くて気持ち悪くて苦しいのに、先輩によって開発されたそこは俺に快感を与え続けた。最初、俺の穴を塞いでくれると思ったそれは、俺をえぐり続ける凶器とかしていて、本当に怖かった。
「あかあし……」木兎さんが俺を呼ぶ。懐かしいなぁ…高校の時もこうして呼ばれてたっけ。何か言わなきゃ、返事をしなきゃって思うけど、言葉が詰まって出てこない。なんて言ったらいいか分からない。
「赤葦、泣いてる」
……え?俺が、泣いてる??あぁ、そっか…泣いてるんだ。我慢出来なかったんだ、俺……我慢しようとしてたのになぁ、我慢できると思ってたのになぁ…だって高校の時はずっと我慢してた。自分の「好き」っていう感情を殺してずっと隣に立っていた。駄目だ…俺、本当に……弱くなったなぁ……涙はしばらく止まらなかった。こんなに泣いたのはいつぶりだろう。普段泣く事なんてないから、泣き止む方法も分からなくて、結局木兎さんにあやされながら俺はずっと涙を泣かし続けていた。多分あれだ、頑張って零れないように保っていたグラスを硬くて怖い金槌で割られて中身が全部出る感じ。俺はぼろぼろと木兎さんに今までの事を話した。言わないようにしてたのに、言うつもりはなかったのに、まず、声を出すのも辛かったのに……何故か言葉が止まらなかった。それに木兎さんはうんうんと相槌をうってくれて、「頑張ったね」とか、「辛かったよな」とか言ってくれた。でも、俺が1番聞きたかった、言いたかったあの夏の質問は…どうしても言えなかった。
落ち着いた俺を見て、今度は木兎さんが喋りだした。
「俺は…俺はな?きっと赤葦が必要なんだ」
何を言ってるんだって思った。あの時、だって貴方は俺が消えてもいいって…バレーがあればいいって……言ったじゃないですか。あの言葉、今も俺は忘れてませんよって。そう、思った。それでも木兎さんは話し続ける。俺がいなかった時の真実を
夏の暑い中、ふと木葉が俺に聞いた。
「赤葦とバレーだったらどっちを取る??」「選ばなかった方は消えるとして」って。その時の俺はすぐにバレーって答えた。その瞬間赤葦の顔が少し歪んだのにも気づかず。でも、その答えが間違ってるってことに気づくのはそう遅くはなかった。
俺が卒業してから早1年、俺は赤葦も当たり前のように俺んとこの大学に来ると思ってた。でも、赤葦は来なかった。そして、気づけばLINEも送れない。電話をかけても繋がらない。他のやつに聞いても……結果は変わらなかった。
赤葦が消えた
赤葦が居なくなった俺は、はっきり言って無力だった。赤葦がいないから、部活もつまらないし、今の大学だと俺のしょぼくれを庇ってくれる……ってのはおかしいか。しょぼくれた俺を介抱してくれる人もいない。逆に今までどうやってバレーをしていたんだ。どうやって生きてきたんだってレベルで俺は赤葦に頼っていたのを実感した。赤葦が居ないと休みの日に一緒にラーメン食いに行く人もいないし(みんなめんどくさくて断る)一緒にスポーツ用品店に行く人もいない(みんなめんど…以下略)テスト前に勉強を教えてくれる人も居ない(以下略)
俺は俺が思っていた以上に赤葦を必要としていたみたいだ。でも、もう遅い。だって…
連絡が取れない。誰もどこにいるか知らない。木葉たちに聞いても、先生に聞いても、近所のおじいちゃんに聞いても、誰も分からなかった。
そんなある日、俺は一瞬だけ赤葦を見つけた。駅のホーム、人身事故で電車か遅れ、みんな急いで電車に入り込もうとしている人たちの中に赤葦はいた。赤葦は気づいてなかったみたいだけど、俺は人目見た瞬間気がついた。
赤葦だ、赤葦がいる…話したい、もっとちゃんと話したい…やはい、行っちゃう、見失う…行かないで、行かないでよ…赤葦
走って追いかけたけど、人が多すぎて見つけられなかった。その後も何度かその駅に足を運んだけど、俺が赤葦を見ることはもうなかった。
俺が赤葦を探してからもう何年経ったんだろう。もう一生会えないんじゃないかって最近思うんだ。そんなくだらない事をジョギングしながら考えていた時
男と手を繋いで歩いている赤葦が居た。
あぁ、なんでこんな時に見てしまったんだろう。
なんでこんな所を見てしまったんだろう。
衝撃的すぎて声が出なかった。だって…赤葦、笑ってた。幸せなのかな。なんでだろう、モヤモヤする…赤葦の隣に居るのは俺で、俺の隣に居るのは赤葦だってずっと…ずっとそれが当たり前だと思ってた。でも、違った。赤葦は俺の事なんて必要としてなかったのかもしれない。なんで俺以外の奴と一緒にいるんだよ。なんで手なんて繋いでんだよ。なんで…なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
なんで??
その日、俺は大好きな飯を食べることなく寝た。でも、ずっとモヤモヤしてるんだ。何でかは分からないけど胸が苦しいんだ。何だか、当たり前を壊された気分。頭を鈍器で殴られた気分。ずっとビリビリしてて、痛い。
翌日俺は高熱を出して大学を休んだ。
赤葦京治はずっと俺のモノだと思っていた。でもそれは俺のカンチガイで、赤葦は他の人のモノになってしまった。しかも男。後から気づいた。
って、だから…赤葦が他のやつのところに行くのが嫌だったし、赤葦が居なくなった時、すげぇ悲しかったんだ。赤葦は俺といつも一緒にいてくれた。いつも、ダメダメな俺の世話をしてくれた。だからカンチガイしてたんだ。
赤葦京治は俺のそばから離れないって
それが間違いだったんだ。思えばあの夏の質問の時から間違っていたのかもしれない。赤葦も、バレーも、俺にとっては当たり前にそばにあるもので、あの時は全然「消える」っていうのが想像つかなかったんだ。だから、何も考えずに答えて、赤葦を傷つけてしまったのではないか。だから、赤葦は俺のとこからいなくなってしまったのでは無いかって。俺は高熱の中、回らない頭をフル回転させて考えた。
そこからまたしばらく赤葦に会うことは無くなった。いや違う。俺が赤葦に合わないようにしていたんだ。わざと赤葦を見たその駅を避け、わざと早く大学に行く電車に乗り、わざと…赤葦と男が歩いていたコンビニの近くから遠いところを走るようになった。自分の気持ちに気がついた途端、身体がすごく重くなった。きっと自分の手でいちばん大切なものを手放してしまったから……余計、悲しいんだろうな。
俺は夕飯を作る気力もなく、雨がしんしんと降る中、ふらふらとコンビニに向かった。すると、黒いジャンパーに身を包んだ男の人が道端に倒れているのを見つけた。雨が降ってるのになんで寝てるの?ホームレス??でもそれにしては…綺麗な格好してるし…そんな事を考えながら通り過ぎようとした。
その瞬間
俺は何故か足を止めた。なんだろ、本能的にこの人を逃しては行けない気がした。まぁすぐ、その本能を、褒めてあげたい気分になるんだけど。
「あかーし??」
ゆっくりと顔が上がる。倒れていた男の人は赤葦だった。
こんなことってあるんだろうか。もう会えないと思っていた赤葦とソウグウ?した。しかも、赤葦はぐったりとしていて、しゃべれないようだった。とりあえずこんな雨の中放っておけるはずもなく、俺は赤葦を背負って家に帰った。その間に安心したのか、後ろから少し不規則な寝息が聞こえた。家に帰ってすぐ、赤葦は目を覚ました。俺の事を見ると泣き出しそうな顔をした。俺が傷つけちゃったからかな、俺なんて会いたくなかったよね。でも今は我慢して、赤葦のびしょびしょで濡れた服を脱がせ、ベットに下ろした。その時気づきたくなかったけど、赤葦とても泣きそうな顔をしてた。当たり前だよな…俺、お前に酷いこと言っちゃったし。会いたくないよな。ごめん。ごめんね、赤葦。
そして、一通り作業が終わると、赤葦はぼろぼろと泣き出した。最初はびっくりしたけど、どうやら俺と会ってしまって泣いてるんじゃないみたいで慌てて慰めた。でも、その内容は信じられないほと酷く、悲惨なもので、黙って頷いてたけど正直赤葦に被害を加えた元彼とビデオを撮った奴、無理やりやったやつ。赤葦を泣かせた人みんなころしたいきぶんだった。…あ、でもそしたら俺も赤葦泣かせてるかも。
うん、とりあえず殺ろう。
数十分赤葦は泣き続けた。そして、少し落ち着いてきて呼吸もできるようになったみたい。よし、今度は俺の番。怖いけど、嫌われるかもだけど言わなきゃ。
あれ?
こういうのってどうやって伝えるんだっけ…
思えば俺は誰かに告白した事がなかった。ずっと彼女なんていらないって思ってたから…いざとなると恥ずかしい。えっと、どうすればいいんだろう。どう伝えれば…
こうして悩んだ末の言葉がこれだった。
その時、赤葦の表情は固まった。なんか悪い意味で、は?何言ってんだ??って顔…でも、ここで辞めたらもうこんなチャンス無いって思って頑張って全部言った。赤葦が大学に来なくて悲しかったこと、赤葦が居ないと俺は何も出来ないこと、当然のように赤葦は俺の隣にいると思っていたこと。でも、赤葦は俺じゃない他の奴と付き合っていたのをたまたま見てショックを受けた事。それから、それから…思い返せば赤葦の倍以上喋ったんじゃないかって思う。ずっと好きだった気持ち。俺の大切な気持ち。赤葦のことがどれだけ大切で、大事で、必要か……しっかり伝えたかったから。止まることを知らない俺の口は、赤葦によって物理的に塞がれた。
「も、もぅいいですから…辞めてください。恥ずかしい…///」
赤葦の顔、話すことに集中していて全然見れてなかったけど、いざ見ると林檎みたいに真っ赤になってて可愛かった。うん。めっちゃ可愛い。
「だから俺は赤葦の、いつも俺のお世話してくれるとことか、可愛いとことか、意外と負けず嫌いなとことか…」
何が起きてるんだろう
「つまり!えーと、俺は赤葦が大好きって気づいて、赤葦が他の奴といたの見てちょー悲しかったし…」
コイツは何を言ってるんだ??
「だからこれからも、赤葦は俺のそばにいて欲しいし」
なんか顔熱くなってきたし、え?何??何……!?!?!?
「俺も赤葦のそばにいたいから!!!」
なななななに恥ずかしいこと言ってんだよ!!!
(赤葦くんは頭がパンクしています)
「も、もぅいいですから…辞めてください。恥ずかしい…///」
俺は咄嗟に木兎さんの口を手で抑え塞いだ。よし、とりあえずこれで考える時間ができた…えーっと、なんか何が何だか分からなかったけど、つまり……
そういうこと……だよな。また俺、木兎さんの隣に入れるのかな…
「よかった…」
俺がぼそっと言ったその一言で、木兎さんは全てを見据えたような優しい目で抱きしめてくれた。
「赤葦、もう離さないから」
嬉しかった。何が何だかよく分からなかったけど、俺は木兎さんと一緒に居られるみたいだ。人生どん底気分だったけど、俺はこの日、この時…木兎さんに救われた。
嬉しいな……
俺が全部気持ちを言った後、赤葦がぼそっと「よかった」って言った。これは……成功だよな。俺、赤葦とお付き合いできるんだよな。赤葦は、俺のとこからもう消えないよな…一気に喜びと嬉しさが込み上げてきて、俺は思わず赤葦を抱きしめて俺の精一杯の願いを言った。
そんな俺の言葉に赤葦はふにゃっと綺麗に笑った。
ヴッッッッ……心臓に悪い。久しぶりの赤葦は、ほんとに……特に俺の下半身が……やばいよ、赤葦が覗き込んできてるよ、何その上目遣い…可愛い。可愛いすぎる…え、無意識にやっちゃう?怖、小悪魔かよ……
「木兎さん??どうしたんですか、大丈夫ですか?」
するっと俺の首に手を回してきた赤葦。
ぁああぁああああぁああああぁああ……死ぬ、死ぬって……これが惚れきって奴か??
もう1回……ちゃんと顔みたい。赤葦の……ちょっとだけ…先っちょだけ……(??)
「木兎…さ?」
「……」
あばばばばッ!!可愛い。可愛すぎる……ッ……もう、だ…め…(_ - -)_ バタッ
「ぼぼぼぼくとさぁあん!?!?!?」
そんなこんなで大騒ぎしたけど、1時間後に目が覚めた俺は、もう一度赤葦にしっかりと自分の気持ちを伝えて、しっかりとどうしたいかも伝えた。そして、3ヶ月後。俺と赤葦は一緒に暮らし始めた。今までの時間を埋めるように、沢山沢山話して、甘えて、甘えさせて。俺は幸せだった。赤葦も幸せそうに笑っていてくれて、もうとっても嬉しかった。
でも、そんな時事件は起きた。
「危ないッ!!!!」
「木兎さんッ!!ダメっ……今行ったらっ!!」
「ごめん。赤葦、でも…見捨てらんないよ」
「やだっ、木兎さん……行かないで!!」
結論から言うと、俺は…目の前で事故に合いそうな子供を反射的に庇ったことにより上手く受身が取れず頭を思いっきりぶつけてしまった。
俺は赤葦が名前を呼んでくれてる中段々と意識を飛ばしていった
「なぁ、赤葦とバレー…どっちかしか選べないならどっちを選ぶ?」
夢の中……かな。俺は真っ暗な所にいた。目の前には俺の形をした何か。そいつが問いかけてきた。
そんなのわかってるよ
なんで……??
え?
なんで、バレーにしないの??
そんなの…後悔したから。
なんで、後悔なんて一瞬だよ
そんな事ない。だってあんなに辛かった。苦しかった。もう、こんなこと思いたくない。
なんで、俺からバレーをとったら…もう何も無くなる
そんなこと、誰が決めたんだよ。
俺だよ。
え?
俺は俺であって、俺じゃない。赤葦は確かに大事かもだけど、俺はバレーが大好きだ。ずっとバレーのために生きてきた。それを捨てるの??
捨てない。でも、赤葦も捨てない。
そんなの、欲張りだ。足だって今、事故のせいで骨折している。そんな状態でバレーができるのか??
大丈夫。だって
だから、俺は大変でもどっちも拾い上げてやる。どっちかがこの世から無くなったとしても…また俺がつくりだしてやる。赤葦だって、今回みたいに見つけ出す。絶対。それに、足なんてくっつけばバレーぐらいできるしな!!
そんなの無理だ。
無理じゃない!!だから、俺の悩みも、弱い部分も……俺が拾い上げるよ
そんなことで、俺が折れるとでも?
折れなくてもいい。でも、応援して?
……
だから、見てて。俺を
大事なもの…全部守ってみせるから
「くとさ……」
「木兎さん……!!!!」
呼んでる…起きなきゃ、赤葦……赤葦が待ってる……。
「あか……し?」
俺が起きると、案の定病室で、隣には泣きじゃくっている赤葦がいた。
「ッ……木兎さん、おはようございます」
「おはよう、赤葦」
ふにゃっと赤葦が笑った。あぁ、この笑顔。俺が好きな笑顔だ。いつもはムスッとしてるのに表情が一気に柔らかくなって……守りたいって思うんだ。だから、お前も見てろ!!俺の人生。絶対成功させて、赤葦と一緒に世界一の幸せ者になってやる!!
でも、その前に赤葦には言わなきゃな
「ねぇ、赤葦」
はいっ!!
𝐹𝑖𝑛.
コメント
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最高すぎ( ゚∀゚):∵グハッ!! 泣いたり笑ったりして顔がボロボロになりながら♡を連打しておりとてもカオスな状態です🤣 とりま推しの赤葦傷つけたクズ野郎たちは殺りましょう( *´꒳`* )
泣いて笑って泣いて笑って……表情筋ぶっ56す気ですか、?
最高すぎて、いいね押す手が止まらん…(?)