「ねぇ、あともうひとつ聞きたいんだけど、ここって、どうしてこんなにリーズナブルなの?」
以前に銀河からホテルに一泊したぐらいの料金だと思えばいいと聞かされていたけれど、それにしたって飲食物がフリーで一人っきりの貸切料金にしては大して高額でもなく、不思議にさえ感じられるようだった。
「それは……三日月のおかげ、だよな?」
銀河が言い、流星たちと顔を見合わせた。
「ああ、ここの店の出資をしてるのが、三日月だからな。こいつ億単位の金を動かすデイトレーダーなんだぜ」
「デイトレーダーって、株の売買とかをしてる……そうだったんだ。しかも億単位だなんて、ますます侮れないような……」
流星の話に、三日月への畏怖の念がふつふつと湧き上がる。
「そんなにびくびくされなくても、いいですので」
と、三日月がフッと短く笑って、
「私たちがお招きをしたお客さまに、ここではなるべくご負担なく気持ちよく過ごしていただけるよう、私は出資をしているまでですから。それに、先ほどもお話しをしたように、ここは私たちにとっても大切なホームですので、その大切な場所を守るための献身はいといません」
そう話を締めくくった──。
「……やっぱりみんなから恐れられてるだけのことが……、」
言いかけて、あっ…と口に手をあてた。
「ふふ…どうぞお気になさらずに。私は、女性には至って謙虚に対応させていただいていますから」
言って、口元に薄く笑いを浮かべる三日月に、
「な…こいつコワいだろ?」
さっき怒られたばかりの流星が口出しをして、またしても睨まれるような羽目になり、銀河と思わず声を上げて笑ってしまった。
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