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⬛︎第4章 試練と、確かな愛
千秋の過去を知ったことで、2人の絆はより一層深まった。翠架は千秋の抱える不安を理解し、千秋もまた、翠架の優しい包容力に救われた。
しかし、佐伯はまだ諦めてなかった。佐伯は、千秋の過去の傷を利用して、2人の関係に亀裂を入れようと画策する。
佐伯は、千秋のトラウマを刺激するような言葉を投げかけたり、翠架が他の男子生徒と話していることを千秋に見せつけたりした。千秋の独占欲はさらに強まり、翠架は千秋の束縛がエスカレートする中で、時折、息苦しさを感じることもあった。
ある日、佐伯が仕組んだ誤解から翠架と千秋は大きな喧嘩をした。千秋は、翠架が裏切ったと思い込み、激しい嫉妬に駆られて翠架を突き放した。
◇
俺は、彼の痛みを受け止めようとするが、千秋の言葉に傷つき、涙を流す。
「もういいよ…千秋の気持ち、俺にはわからな い」
「まって、すい…行かないで!」
千秋の震える声と、引っ張る腕の強さに、俺は千秋の深い苦しみと、俺への変わらぬ愛情を感じとった。千秋は、俺を失うことへの恐怖で、冷静さを失っていたのだ。俺は、千秋の背中を優しく撫で、落ち着かせた。
「千秋、俺は何処にも行かないし、行けないよ」
「よかっ、た。」