この世に生まれてから早くも6年が経とうとしている。
草神家には新しい家族ができた。弟の海斗だ。今は0歳。私と6つ差がある。
弟ができたことにより私は保育園に通うようになった。5歳までは行っていなかったが、母が妊娠していることがわかった瞬間、私から提案した。
5歳の子供がそんなことを提案してきたら流石に不審がるのが普通なのだが、私の両親は知性が少し欠けており、娘の言うことをうのみする。不審がられることもなく、海斗の魂が母の腹の中に入ってきた一週間後、私の入園が決まった。
今日も、家から15分程度歩いた所にある保育園に行く。
中に入ると、たくさんの子供の声が聞こえてくる。その中には、聞き慣れた声が2つ。
「相羅!おっはよぉ」
「おはよう相羅」
「おはよ」
サラサラの髪をなびかせて私の所に近づいてきた双子。そう、この2人がお隣さんの双子だ。
「ねね!来年から俺たち最年長なんだって!最年長って何⁉︎」
この、いかにも男の子と感じさせる子は双子の弟の奏茉。元気たっぷりで人間離れした運動能力を持っている。
朝、保育園に着くと絶対に飛びついてくる、犬みたいな子だ。
「1番年上の人のことだよ」
そして、いかにも落ち着いていそうな喋り方をするこの子は双子の兄の空茉。人よりも達観的で、落ち着きがある子だ。運動は球技以外は得意ではないらしい。
ソウマのことをいつも面倒見ているのはきっとクウマだ。
「相羅、今日はいつにも増して眠そうだね?」
「あー、〇〇大学の宇宙空間の仮説論文集読んでたら眠れなくなっちゃって」
「いつも通り難しそうな本読んでるね。何?」
私は、自分が普通の子供より頭がいいのを隠すことをやめた。
自慢に聞こえるかもしれないが、これは事実なのである。実際、IQを親のスマホで測ってみたところ、確実に150以上はあった。そのサイトでは150までが限界だったのだ。前世ではオックスフォード大学に通っていた。それからも研究者として主に宇宙空間や科学について人生を費やしてきたのだ。
その頭で普通の日常を演じるのは非常にストレスだった。なので、思い切って誕生日に母に何が欲しいと聞かれ、大学の仮説論文が読みたいといったのだ。
もちろん両親共にびっくりしていた。流石に怪しまれるかと思ったが、なぜかの後も普通に接しているし接されている。
子供に無関心だと思われそうだが、逆にこのぐらいがちょうどいいのだ。それに、私の親はいつもデレデレしてくるので、その可能性は非常に薄い。
「相羅!外でドッヂボールしよ!」
「しない」
即答すると奏茉はそっかぁと言って空茉を誘っていた。
奏茉はとても優しい子だ。無理強いも起こることもしない。たいして空茉は感情がよく出やすい。無理強いはあまりしないけど、悲しい顔をよくするし、とても怒る。
「なんで2人が私と仲良くしてくれるのか…謎だな」
そんなことを悶々とグラウンドに続くベランダで考えていると…
「相羅危ない!!」
空茉の大きな声がした。
振り向くと、すぐそばまでボールが飛んできていた。空茉のボールだ。とてもじゃないけど避けきれないし、当たったら痛いんだろうなと思い、目をギュッと閉じた。
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