空茉の大声と共に飛んできたボールは、一直線に私の方向へと飛んできた。反射でギュッと目を閉じる。でも、いつまで経っても空茉の強いボールは当たらなかった。
なんでだろうと思い、ゆっくり目を開けると、そこには。
「奏茉…⁉︎」
「あっぶなぁ…間に合ってよかったぁ」
ボールを持って奏茉が私の前に立っていたのだ。よく見ると、膝に怪我をしていた。もしかして、急いで走ってきて転んだが故にできてしまった傷なのだろうか。
急な罪悪感に襲われ、私はすぐに奏茉の手を引っ張って先生のところに連れて行く。奏茉はそれがなんでかわからない様子だ。
「すぐに消毒しようね。相羅ちゃんは怪我ないかな?」
「大丈夫です」
奏茉を椅子に座らせて、その隣に私も座る。奏茉はキョトンとした顔をしていた。
「ごめんね奏茉、私のせいで怪我させた」
「相羅のせいじゃないよ?だって、俺が勝手にこけたんだもん」
奏茉の言葉に、私は目を見開いた。
「奏茉は優しいね」
私は無意識に、奏茉の頭に手を置く。そして、少しだけ左右に動かす。すると、奏茉は少し照れたようにして笑っていた。
パシャ…?
聞き慣れない機械音に私はびっくりして横を見る。すると、先生が微笑みながら写真を撮っていた。
「盗撮です」
「2人とも可愛いねぇ。アルバムに入れれるように2枚焼いとくね」
先生のデレた声に私は顔をしかめる。何を言ってんだこの変態保育士。
すると、すかさず奏茉が手をあげた。
「先生、3枚です。俺ずっと持ってたい!」
「何言ってんの⁉︎」
奏茉が意味のわからないことを言っているもんだから混乱する。反対に先生は任せとけとでも言うような顔をしてグットポーズをしていた。
「いや、私と奏茉の写真を持っててどうすんのさ…」
「あ、言ってなかったね。俺、相羅が好きなんだよ」
思考が停止する。
好き?すき…スキ⁉︎そう言う意味かと思ってびっくりする。けど、保育園児の言う好きは大体が友達としてだと言うことを忘れていた。
つまり、奏茉は私が(友達として)好きで、いい思い出にと思って写真を個人的に持ちたいと言うことか。
「そうなんだ」
私の淡々とした返事に先生はズコーとお大袈裟に体を動かす。奏茉は私の返事がどういう意味かわからないようで、混乱していた。
「友達として、これからも仲良くしていこうね」
「そっち⁉︎」
逆にどっちだ。
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