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夕日が沈んでいる。


烏もカァーカァーと鳴いていた。


パチパチと視界の範囲外から物が燃え、炎があがる音がする。

これの正体は「野焼き」だ。

辺り一面田んぼの田舎ならよく見る光景。


毎回これで多数の被害が出ていて、山火事が起きているのだから正直、『止めて欲しいな』と感じていた。



風に煽られた煙が横へ流れ、波形を作り出し、靡く。

心がざわめきだし、デジャヴを感じていた。


思わず声が漏れそうだった。

何故かと言えば、目の前にジブンを気絶寸前にまで追い込んだアイツだった。


「久しいな、高倉」

「何の用ですか!?」


____________________________



~回想~


『はい、負けてます』

『その力はもう持ってませんよ』

『かかってこい!ジブンが相手だ!』



正直、あそこまで必死に戦うガキは初めて見た。

邪視という妖怪も電球?のような状態で戦っていた。

生身で私に叶うはず無いと分かっていたのか?

そうだとすれば、戦場へ意味なく突っ込んで死ぬ奴と一緒だ。


あの覚悟はどこで手に入れたのか、不思議に思う位である。



その日の戦いの後である。

ふと、月を眺めていたらこんな言葉を思い出した。


『●が綺麗ですね』

『⬛●●●良いわ』



__私なりに考えた結果だが、私は高倉のガキが好きという。

何とも武人にとっては到底辿り着くことの無い、世界から掛け離れていた感情だったからだ。



だが、思い当たる節はあった。

強者である私を目の前にしても、弱者であるヤツが、逃げずに

立ち向かうその姿。


次は蠅の王と生首ドリブルの能力回収に向かう。


もし、私が死んだのならば。

未練を残して死ぬなど言語道断。

想いを伝えてから向かうべきだろう。


____________________________




そうして今。

奴の目の前に姿を現した。


「何の用ですか!?」

「…….」

「正直、高倉に言うとは思わなかったが伝える」



白銀の前髪がかかっている隙間から彼を見つめる細い目。

静寂が流れる。







「月が綺麗だな」

「……え?」



反応した直後、ヤツはもう彼の目の前に現れなかった。


高倉には意味が理解出来ないまま。

そこには彼だけが1人ポツンと立っていた。




すべての事件が解決した、未来のある日の出来事。


綾瀬さんの家でたこ焼きパーティーをして、皆で仲良く食べていて『とても楽しかった』と心の底からそう感じた。


皆さんが寝静まった後に綾瀬さんから外に出ろ。

と、呼び出された。


「オカルン」

「何でしょうか、綾瀬さん」


「月が、綺麗ですね」


ジブンに衝撃が走った。

だって、あの時言われたセリフとほとんど一緒だったから。

脳内を駆け回ってどう答えたら良いのか調べた日まで遡る。


「はい….それなら。」

「死んでも良いです」

「オカルン…!本当にウチで良いの?」


この回答であっていてホッとすると同時に、告白されて心臓が

激しく鼓動するのを抑えようと必死だ。


涙目になりながら感動している彼女。


「はい、やっぱり綾瀬さんと一緒にいると安心するので」

「あの食事の時の事、覚えてますか?」


『これはジブン達の為に作ってくれる料理なんですから』

『いつも食べてるご飯より』

『皆さんと一緒に食べるご飯が数倍美味しいです』



「覚えてるけど…」


「なので…..」

「将来、ジブンと結婚する前提で付き合ってくれませんか?」

「….うん!オカルンとなら生涯添い遂げそうだね…!」


「コラァメガネ!!!今外出る時間じゃねぇだろうが!!」

「モモも布団入ってぐっすり寝とけ!!」


良い雰囲気になっているところに割って入る祖母の星子さん。


「おばぁちゃん!?」

「星子さん!?」


満月が綺麗に光ったその日。

2人が付き合った日でもあった。



~Fin



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