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練習用 単発小説 前半
※台詞多め
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「ヒイにぃ!見て!窓からおほしさまが見えるよ!」
「おいスバル、あまり動くなよ…、脈が乱れたらどうすんだ…」
「平気だって!僕、山の上の病院に転移して良かったぁ!」
「…。ってか誕生日なのにお前の星座見えなくね?」
「ヒイにぃ〜?誕生日には自分の星座見えないんだよー?」
「え?なんで?」
「太陽と重なるから見えなくなっちゃうの。」
「きっと、神様が見えない星座の変わりとしてその人を生まれさせたんだよ!」
「そうか?俺には、太陽に隠れる臆病者にみえるけど?」
「ひどーいヒイにぃちゃん!」
あぁ神様。どうか、コイツを、
スバルを、自由にしてあげてください。
「じゃあ次の行を…宿宮読んでくれ。」
「っえ、 俺っすか!?… ちぇー、12月19日だから絶対西田だと思ったのにぃ…」
「いいから読め。」
「へぇーい。」
「絶対先生、俺が内職してたから当てたよな!?」
「内職してたヒイが悪いだろ。」
「ヒイラギちゃんの悪い癖ですよ〜」
「るっせぇ…。あと西田、ちゃん呼びやめろよな」
「え〜斎藤ちゃんも許してくれてるのに?」
「許した覚えはないぞ?西田。」
「東京から越してきました。 宿宮 柊です。」
宿宮柊。これが俺の名前。
家庭の事情で四ヶ月前東京から山梨に越してきた高校ニ年生だ。
「はいはーい!質問!カノジョいますか!」
「いないっすね。」
「えー…じゃあ、好きな人は!?」
「えっと…。弟?」
「うわっ。ブラコン」
最悪な自己紹介と幕開けた 新高校生活。
まぁ順調にこの西田とか斎藤とかバカできる友達は出来たところ。みんな俺のことをヒイとかヒイラギって呼ぶ。
「あ、ヒイラギちゃん、僕今日バイト〜」
「俺もバスケ部が…」
「んっ。じゃあまたな」
「「またね〜/じゃあ」」
「あ!ヒイにぃ!今日は早いね!」
あ、そうそう。俺には大切な弟がいる。
「あぁ、今日は部活とバイトと、友達が忙しかったから切り上げてきた。」
「えへへっ、噂のニシダさんとサイトウさんでしょ?僕も会ってみたいなー!」
「スバルも?」
弟の名前は昴。母さんの世話焼きと星が好きな父さん似の大好きな弟だ。
「うん!兄がお世話になってます!って!」
「おいおい、お前は母さんか」
「へへっ!いつでもヒイにぃのママになるよ! あ、そうだ!父さん達次はいつ来れるー?」
「週末来るってよ。誕生日のお祝い遅れてごめんねーだって。」
両親は東京に残って働いてる。
あ、毒親ーとかそういうんじゃなくて、フツーに良い親だと思う。
だって、山梨に来たのだって…
「ヒイに…ゴホッッッゴボッ…カヒュッ、ゴホッ!」
「お、おい!腹に手を当ててゆっくり息を吸え!」
「…カヒュッッ……ヒューッ…ヒューーッッ」
「うん、上手だぞ。ゆっくりーゆっくりー」
弟が後天性の病を患っているからだ。
「星膜病…?」
「はい。昴くんは、子供だと稀な肺疾患を患っている可能性があります。」
星膜病。正式名称、肺機能低下星膜疾患。
肺の毛細血管上に星膜と呼ばれる膜ができ、酸素が取り込めなくなる病。
咳や 呼吸困難、酸素不足による手足の痺れ、時には吐血など酸素を欲する部位で症状がでる。
星膜と呼ばれるのは、星のように無数にできる小さな膜が個々で繋がり、大きな膜になることかららしい。
子供のケースは稀で、なぜ発病したのか、治療方法は、など情報が少なく手が打てない。
最悪、死ぬかもしれない病だ。
「……ヒイにぃ、ありがと!もう、平気!」
「無茶すんなよ…。」
今は、大人の薬を薄めて膜を溶かすことで進行を抑えている。
スバルは、小四で発病してから一度も病院から出たことはない。
山梨の病院に移転したのは空気が澄んでいて、祖母の家があったのと、東京や横浜まで車で約ニ時間で行けるからだ。
俺は一応未成年だが、義務教育が終わっているため両親と離れ、祖母の家で生活しながら毎日スバルに会いに行く。
そんな生活を数ヶ月送っている。
「ヒイにぃ…?」
「んあ、ごめん。どうしたスバル?」
「今日、雨降ってるでしょ?おほしさま見えるかな?」
「どうだろうなぁ。明日は晴れるって聞いたけど、今日の夜までに間に合うかね。」
弟は星を見るのが好きでとても詳しい。それも中学生としては異常な程の知識だ。
「…。」
手をにぎにぎと開け閉めする。スバルの不安なとき心配なときの癖だ。
「大丈夫だって!今日はダメでも明日は確実に見れるんだからよ!」
「そうだ!ほら、お前の王子様にお願いしてみようぜ!」
「あ!そっか!」
そういうとスバルは赤いマフラーを巻いた狐のぬいぐるみを持ち上げた。
王子様とはフランス人が書いた物語の、星々を巡っている登場人物のことだ。
俺が昔に読み聞かせしたら気に入った作品で、キツネはその王子様の友達。
スバルは狐のぬいぐるみをそのキツネに見立ててずっと一緒にいる。
「見れるようにしとくねー!だって!」
「そりゃあ良かったな。」
「…ヒイにぃ、」
「どうした?」
「僕…お外に行きたいな。」
あっ。
「……ごめん!やっぱりなんでもない!」
スバルは俺の顔を伺ったのかすぐに意見を変えた。
違う。本当は俺だって、お前を…。
「…先生に相談してみるよ。」
「え?いいの?」
「あぁ。だから凹むなよ。」
「うん!」
また、コイツに期待させてしまった。 本当に出られるか分からないのに。
だけど…!
「難しいですね。最近は咳き込むことも増えてますし、下手な行動は控えた方が。」
「あっ、そうっ…すよね。」
大人は残酷だ。いや、残酷でなければならない時があるのだろう。
俺も、スバルには長生きしてほしい。
でも同じくらい、好きに正直でいてほしい。
混同する気持ちはどちらかしかダメなのか?
「ただ、ご家族…いや、お兄さんの覚悟があるのなら話は別です。」
「え…?」
「…言いにくいですが、スバルくんは日に日に薬の効き目が弱まっています。星膜の増加が激しい。」
「このことはもう、ご両親には伝えてあります。…いつきてもと受け入れてもいました。」
医者は感情を押し殺すように言う
「わずかなきっかけで回復……または余計に弱まってしまうかもしれません。」
「ってことは!?」
「お兄さんの決断次第でスバルくんの未来が変わるでしょう。」
…俺は、
俺は、アイツに…
スバルに…
♡0〜 バッドエンド
♡20以上 ハッピーエンド
♡35以上 両方書く