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時刻は午前5時50分。
けたたましく鳴る通知音で目が覚めた。
「……なんだよもう……」
寝ぼけ眼でスマホを確認すると、LINEがバカみたいに鳴ってる。
しろせんせーとりぃちょのメッセージ、そしてニキの不在着信。
画面が通知で埋まっていた。
「あー……昨日、あいつら歌舞伎町で飲むって言ってたっけな」
頭を掻きながら、しろせんせーのメッセージを開く。
『にとちゃん起きたら連絡くれ』
簡潔な文面に「おはよ。なにごと?」と返すと、すぐ既読がついた。
──その直後。
スマホがぶるぶる震える。
着信、ニキから。
「……はいもしm——」
「にとちゃああん!!!にとちゃん!!にとちゃん!おっはよーーー!!!!!!」
鼓膜が破れるかと思った。
寝起きにはきつすぎる大音量に、反射的にスマホを耳から離す。
「うるっせぇな!?笑 なに?まだ飲んでんのかよ」
「ん~~~!まだ飲んでりゅ~~~~~!!」
完全に出来上がった声。
テンション高めに、語尾を溶かしながらしゃべり続ける。
「あのね~にとちゃん~、キルちゃんがね~、にとちゃんのこと~~、@#&@☆って~! ほんでぇ、キルちゃんはぁ~~、にとちゃ*#@が、☆?@_ってぇ~!」
………何言ってんだ?
「え?トルテさんがどうしたって?」
「だからねぇ、にとちゃんのこと、あの……よ、よんでて……うっ……っっおえええぇ……」
あ。吐いた。
遠くで「うわっ!ニキニキ汚ねー!!」とりぃちょの声が響く。
それに釣られて腹を抱えて笑っていたら、ようやくしろせんせーが電話を代わってくれた。
「……もしもし、弐十ちゃん?」
「あ、せんせー?おはよう笑」
「朝っぱらからまじごめんな~」
ようやくまともな会話ができる安心感。
「全然いいよ笑。ニキくん、盛大にいっちゃってたけど大丈夫?笑」
「あー、うん。まぁ、大丈夫なわけないよなぁ……笑」
電話の向こうから「うぅ〜……」とゾンビみたいな呻き声が聞こえてきて、つい笑いが漏れる。
「実は、ちょっと頼みがあってな、弐十ちゃん」
「うん、どした?」
「キルちゃんのこと、迎えに来てやってほしいんやけど」
「え?」
「ソファーで吐いたあと寝ちゃってな。俺ら、帰り道が逆方向やから連れて帰られへんのよ」
なるほど。さっきから静かなわけだ。
「ほんまにすまんけど、頼んでもいい?」
「わかった。タクシー拾ってすぐ向かうわ」
「ありがとう!いつものビルのとこな!」
「あいよーぅ」
電話を切る直前、りぃちょの声が耳に入った。
『良かったねキルちゃん!弐十ちゃん来るって~~~!!』
……聞こえてんのか、それ。
ふ、と口元が緩む。
ほんと、仕方ねぇなぁ、と
軽く伸びをして、俺は洗面台に向かった。