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誠也くんが、ゆっくり風呂でも入ってこい!と自分の服などを貸してくれた、お風呂から上がりリビングに戻ると、エプロン姿で朝ごはんを用意していた。『おかえり。コーヒー淹れといたで。ブラックでええ?』
「……ありがとう。って、料理できたの?」
『パン焼いたり、目玉焼き焼いたりぐらいはできんで。あっ……焦げた……。』
信じられない。
推しがエプロンつけてフライパン振ってる光景なんて、夢でしか見たことない。
ていうか、エプロン姿、普通にヤバい。
「……え、朝ごはん一緒に食べる感じ? 」
『せやで? なんや、照れとんの?』
からかうような目で笑われたけど、こっちは心臓がもたない。
『なあ。今日、一日だけ空いとるねん。もしよかったら……どっか一緒に行かへん?』
「えっ……?」
『部屋におっても思い出されへんやろ。せやったら、外の空気吸って、気分変えるのもアリやと思ってな。俺のことも、もうちょっと知ってほしいし。』
誘われた瞬間、心が跳ねた。
憧れの推しと、デートみたいな時間を過ごす……
そんなの現実にあるわけがない、はずなのに。
でも今、目の前にいる彼は、本物の誠也くんだった。
「……行きたい。行ってみたいかも」
『ホンマか?』
「うん……でも、変なとこ連れていかないでよ?」
『なんやそれ(笑) 大丈夫、俺けっこう普通やから。』
笑い合う声が、なんだか心地よかった。
昨日のことも、裸で目覚めたことも、まだ何ひとつわからないまま。
でも……
少しずつ、彼との距離が近づいていく気がした。