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雨の音が徐々に小さくなっていく。
絃葉「このくらいなら……」
そう思い、自販機へと足を運ぶ。
絃葉「…よいしょ………やっぱ…歩きづらいな…」
様々な建物の瓦礫が足場を悪くして少しの距離でも移動するのが大変だ。そして僕は遂に自販機の目の前へ着く。
絃葉「…問題は…ここからだな…」
そう、僕はお金も何も持っていない。だから力ずくで開けるしか無いのだ。
絃葉「……よっこらせっ…と…」
そこら辺に落ちていた瓦礫を持ち上げる。
絃葉「っおりゃ!!!……」
ガシャーン!!
僕は精一杯の力で自販機に瓦礫を投げつける……が、表面のメッキが剥がれ、軽く凹んだだけで穴一つ開かなかった。
絃葉「……ワンチャン…引き剥がせないかな …………」
自販機の扉の部分を手で掴み、無理矢理開けようとする。
絃葉「…ん〜゛!!!…はぁはぁ……」
もちろん無理だった。
絃葉「う〜ん………これ開けれないと…今後の生活できないからなぁ…」
周りにあったはずのコンビニやスーパーでさえも、崩れてしまっているため、自販機を開けれないと生活の仕様がない。
絃葉「もしかしたら、ショッピングモールみたいな大きな建物は残ってるかもだけど…」
辺りを見渡して原型をとどめている建物を探す。すると大きな建物は比較的残っていることに気付いた。
絃葉「やっぱり…大きな建物の方が残ってるぽいんだよな…」
その理由を考えてみる。
絃葉「大きい方が丈夫なのかな…でも自販機とか残ってるんだよな……なら…素材?」
大きい建物に使われやすく、小さな建物には使われづらい。そして、自販機にも使われている素材。
絃葉「……鉄?…」
大きな建物は鉄筋コンクリートが使われている。
自販機も鉄の塊だ。
しかもさっきから残っている柱は、砕けた所から鉄の筋が見えていた。
絃葉「まぁ…残ってる仕組みが分かったところで意味ないんだけどね…」
なかなか壊れない自販機の扉を壊す方法はやはり思いつかない。
もしかしたら無理矢理殴りまくってたら壊れるかもしれないけど、それで壊したら中の物までグチャグチャになる気がする。
絃葉「鍵穴になんか突っ込んでみるか…」
正直そんな事で開くわけ無いと思いながら地面に何も細い物を探す。
絃葉「……なんか…針金とかないかなぁ…………………そういえば…僕のカバンは?」
帰るときに持っていたはずの学校のカバンが無いことに気づく。
絃葉「ちょっと戻ってみるか…」
眠ってしまった所まで1度戻ってみることにした。
絃葉「…はぁ…よいしょっと……」
険しい瓦礫の道を歩いてやっとの思いで僕が眠った所まで着いた。
絃葉「…あった〜!!」
僕のカバンが、普通に転がっていてさっきの自分がどれほど焦っていたのか分かる。
絃葉「……これだ!…これならいける!!」
カバンの中を探り、紙を束ねていたクリップを見つけた僕はさっきの自販機の所まで戻る。
その最中あることに気がつく。
絃葉「なんか…苔が多いな……」
さっきの雨の影響か、地面に苔がはびこっていた。
絃葉「…っ……おいしょ………あ…アリだ……」
僕はそのまま通り過ぎようとしたが、ふと気づく。
絃葉「…アリは普通にいるんだ…」
人はいなくなったが虫はいると言うことに気づき、人が残っている可能性が濃くなった。
絃葉「ん〜…でも…何でいなくなったんだろ。」
僕の思考はやはりそこに行き着く。
もちろん考えても無駄だということはさっき理解したので、とりあえず今は人がいる可能性が濃くなった事に喜んでおく。
そのまま道を進みさっきの自販機まで到着する。
絃葉「よ〜し……一旦やってみるか…」
僕はクリップを伸ばし自販機の鍵穴に突っ込んだ。
絃葉「…ものは試しだ!!……」ガチャガチャ…
カチャ!
絃葉「…ん?…え?開いた?……マジで!!?」
適当に突っ込んでガチャガチャしただけで自販機の扉が開いた。
絃葉「…よしっ!ちゃんと飲み物入ってる!!」
とりあえずペットボトル類を適当にリュックの中に放り込む。
絃葉「…………これでよしっと!!喉乾いたし、飲もっかな!」
僕は炭酸飲料の入った缶を開ける。
絃葉「っ!!やばっ!」
炭酸がすごい勢いで溢れ出る。おそらくさっき投げつけた瓦礫の衝撃でこうなったのだろう。
絃葉「めっちゃ溢れる……ん?なんか…色が黒い?」
その炭酸飲料は本来薄い黄色のような色なのに、少し黒く濁っていた。
絃葉「これ……飲めんのかな…?…………危なそうだし…止めとこ…」
僕は黒く濁った炭酸飲料の入ったの缶を地面に置く。
絃葉「…うわ!手に付いた!!」
缶から手を離すと感の表面のメッキが手に引っ付いてきた。
絃葉「…えっ?うわっ!なんだコレ!!」
手に付いたメッキは溶け出しポタポタと地面に落ちていく。その液体は地面についた瞬間、ジュワッと消えて無くなる。
絃葉「…な、なにが…どうなってんだ…」