治目線
俺の、侑に自分の魅力をわからせよう作戦は呆気なく終わった。
今まで思っていたことを一気に言い放ったのが良くなかったのだろうか。
侑の脳みそがキャパオーバーしてしまったようだ。
にしてもあれだけ言ったのになにも伝わっていないのは流石ポンコツ、としか言えない。
一度痛い目を見れば分かってくれるのだろうか─
文化祭の後、侑と北さんのとこにでも行こうと思たのに、どうやら先客がいたらしい。
誰か教えてくれないところを見ると、俺にバレたらまずい相手、つまりどっかの男子生徒だと思う。
侑が女子とまわるとは到底思えないし。
どうするか考えていたらスナがニヤニヤして口を開いた。口調からして冗談で言ったのは分かるが、俺はその話にのることにした。
スナはいつものように流すと思っていたらしく、少しあたふたしていたがそんなの知らん。
スナが食べ終わり、(治は5分くらいで完食した)次はどこへ行こうか、と教室を出る。
スナは行きたい場所があったようだが、俺はそんなことは頭の片隅にもなかった。
今脳内を埋めつくしているのは侑のことのみ。
これはきっと人生で一、二度しかないチャンスだろう。
このチャンスを逃したら多分一生俺の気持ちは打ち明けられない。
ドキドキが半分、ワクワクが半分。
相当ニヤついていたらしい。
スナが厳たる言葉をかけてくる。
「何ニヤニヤしてんの。きしょ。」
流石に酷ない?そこまで言わんでもええのに。
まあ、それほど俺は浮かれているということだ。まだ付き合えてないのにな。確信している訳でもないのに。
ただ、あいつからも兄弟愛、家族愛とは少し違うようなものを感じる。
俺と同じようなナニカ。
またニヤニヤが隠せなくなる。この歳になって表情筋がやっと帰って来たのだろうか。
そんなことを考えていたら次の目的地に着いた。
今度はお化け屋敷か。外見はそれなりに怖そうだが、果たしてどれほどのものか。
侑と来るのもいいなぁと思いながら教室の中に足を運んだ。
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