――数分後
迷う事無くどこかに向かうるいを、今私はこっそりと追跡している。
しばらく追い続けていると、るいはとある公園の敷地内に入っていった。
それに続いて 私も後を行く。
そして、公園の中心部にある噴水で立ち止まった。
彼が突然後ろを振り返ったので、危うく見つかりそうになったが…
咄嗟に木の後ろに隠れたおかげで、無事隠れ切れた。
___その後しばらくの間、体がカチンカチンに固まったまま時が過ぎていった。
―――更に数分後
噴水の方を見てみると、そこにはるいともう一人、誰か女の姿があった。
二人は互いに目を見て笑い合っている。
「(誰よ?あんなやつ……)」
「(どうやらクラスの人では無いようね)」
「(とりあえず写真を撮っておこうかしら)」
私はすぐさまカメラを取り出し、その光景を写真に収めた。
そしてるい達は、全てを悟ったかのようにその場を後にした。
二人は………
手を繋いでいた。
「私、るいのたったひとりの彼女でよかった!」
「だろ?上手く奴も騙せたしよぉ〜…」
「あはは笑 引っかかる方が悪いよね笑」
「そうに決まってる」
「るいみたいな完璧な男子が、るなみたいなのを好きになる訳が無いしね笑」
「ほんとそう笑 あいつバカでよかったわ笑」
「私ならすぐ気づくけどね」
「さっすが叶海(かなみ)〜!」
「ありがと〜るい!」
密かにそう話す二人の声からは、紛れもない悪意を感じた。
「(この二人、ろくなやつらじゃないわね…)」
「(ちと苦しめてやりましょうか…)」
私は、拳を強く握りしめた。
この勝負、負けられない戦いになりそうだ____!
「(大丈夫よ、るな――)」
「絶対懲らしめてやるからね………っ」
誰にも届かないようなボリュームの声。
その声には、彼女の下心が込もっていた………
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