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今日は土曜日で人が多くイルカショーはとても混んでいた。
人混みの中チラチラと周りを見渡し空いている席を探していると、夢彩が嬉しそうに指を刺した。
「あそこの席空いてるよ!」
そう嬉しそうにはしゃぐ彼女の笑顔に胸がいっぱいになる。
「あそこにしようか!」
おとなしいと思っていた彼女だったが、意外にも子供っぽい一面があるところを見れてとても嬉しく思った。
席に座ったところで早速イルカショーが始まった。席は前から3番目、ここから濡れないだろうと安心しきってイルカショーを見ていると、早速イルカが飛び跳ね水飛沫がこちらに飛んできた。
”キャー!”そう高い声を出す彼女、レインコートを着ていない僕はびしょ濡れになっていた。その姿を見た彼女は僕を指差しケラケラと笑っていた。
「相当水飛んできたね!」
そう嬉しそうにはしゃぐ彼女の姿は、水で少し濡れていて、まるで女神でも見ているような美しさだった。
あまりの美しさに彼女に見とれていると、彼女が笑うのをやめ、少し心配そうに尋ねてきた。
「大丈夫?」
濡れた髪を手で耳にかけながら、心配そうに聞いてくる彼女だったが、下から覗き込むように聞いてきて少し上目遣いになっている彼女の可愛さに言葉が詰まる。
「だ、大丈夫だよ!」
やっとの思いで口から出たその言葉だったが、彼女はまだ少し不安そうで、僕の方へと顔を近づけてきた。
「ほんと?」
顔との距離が近くなる。かすかに匂う良い香りと、水で濡れたであろう唇にとても鼓動が速くなる。
「ち、近いよ、、、」
あまりの可愛さに耐えられず目を背け、照れ臭そうに言う和人。その言葉で我に帰ったのか、顔との距離の近さに気づいてヒャットした様子で、少し距離をとる。
そんな夢彩の様子をチラリと見てみると、顔が物凄く紅潮していて、照れている様子の彼女がとても可愛く感じた和人は。掠れた声でなんとか発言した。
「イルカかわいいね、、、」
「そ、そうだね、、、」
濡れた体とは裏腹に、緊張や恥ずかしさで熱くなった体が、時間が経つごとに益々と熱さを増していった。周りの客が賑やかにしている中、この二人だけの時間が、別の世界のようで、とても居心地が良く、この時間がずっと続けばいいと感じていた。
そう感じている間にイルカショーは終わり、次々と客が去っていく中、あれ以降話をしていなかった二人はまだ、緊張していて少しの間その場を動く事が出来ていなかった。その時間は決して居心地が悪かった訳ではなく、言葉がない時間さえも、和人は楽しく思えた。
「行こうか、、、」
そう言いながら少し照れ臭そうに手を伸ばす和人。その手を握り同じく恥ずかしそうに、”はい”と言いながら頷く彼女を優しくリードしながら、出口へと向かっていった。
入ってきた所とは別の出口で、外にでるとお土産のコーナーがあった。
嬉しそうにはしゃぎ回る子供たちを叱っている親の様子を見ていた彼女が、クスリと笑った。先程までの緊張が少しほぐれた様子で、笑いながら彼女が言う。
「せっかくだから何か買って帰ろ!」
そう言って僕の手を引っ張る彼女はもう緊張した様子は残っていなかった。そんな彼女の笑顔を見ていると、僕も恥ずかしさが消えていった。
「これにしようよ!」
そう言ってピンクと青の小さなイルカのキーホルダーを手に取り、嬉しそうに見せる彼女。
「どうかな?」
「めちゃくちゃ可愛いね!」
素直な気持ちでそう答えると、彼女は”じゃあこれに決まり!”と言ってレジへと向かって行く。値段は同じだが二人でそれぞれお互いのを購入し、その場で渡す。初めてのお互いの贈り物にとても心が満たされた。
買ったキーホルダーを眺めていると、彼女が突然”あ!”と声を上げた。
彼女の方を見てみると、顔ハメパネルを指を刺し新しいおもちゃも見つけた犬のような笑顔でこちらを見ていた。
「あれで写真撮ろうよ!」
正直写真は苦手だったが、あまりにもやりたそうな彼女を見ていると、そんな考えは吹っ飛んで、自ら彼女の手を掴んでいた。
「うん!撮ろう!」
手を掴まれ一瞬びっくりした様子の彼女だったが、撮ってくれると分かったら、犬のような笑顔でこっちを見ていた。
そんなこんなで沢山の思い出ができ、水族館デートは幕を閉じた。