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「‥‥‥どうしたんだ?三郎。」
声が震える。
「‥‥すみません先輩方。少しの間席を外してもらってもいいでしょうか?勘右衛門達も。」
三郎は私の言葉には答えず静かな声でそう言った。
「‥いいだろう。」
立花先輩の了承の声に、三郎と私以外が立ち上がり部屋を出ていく。
「‥‥‥‥‥‥‥‥。」
「話は終わってないんだぞ?」
先輩達が出ていっても黙って私を抱きしめ続ける三郎の肩を押すと、三郎の顔がはっきりと見えた。
とても辛そうな顔が私を見ている。
「‥‥‥どうしたんだよ。」
今まで感情を殺して笑顔を作るのは得意だったはずなのに、上手く表情が作れない。
「ふぅ、」
深呼吸をし、顔を上げる。
大丈夫。
私は笑えてる。
三郎の顔を歪んだ。
「‥‥‥八左。」
笑顔な私と、悲しそうに顔を歪める三郎。何だかおかしな光景だ。
「‥‥‥心配してくれてるのか?私ならだいじょ‥‥」
「大丈夫じゃないだろう!」
私にかぶせて三郎が叫んだ。
「大丈夫なら‥‥何でそんな辛そうにするんだ!もう、終わっただろう!」
「っ!」
「‥‥頼むから、本当のお前を見せてくれ。泣きたければ泣けばいいじゃないか。」
「‥‥‥さぶろう、」
抱きしめられ、そのぬくもりにホッとしたからか、私の頬を涙がつたう。
一度でてしまうと、止められなかった。
「私っ、ずっと怖くて‥‥、初めて人を殺したあの日から、自分が自分はじゃなくなる気がして‥‥、たくさん人を殺した私は、皆といる資格なんてないと思ってきた。」
「うん。」
「入学したてのときは、関わるつもりなんてなくて、なのに、お前達が優しくしてくれるから、何度も決心が鈍った。何度もやめようとした。皆と、三郎といる時間が幸せすぎて、でも‥‥あの日のことを思い出すと、やめることなんてできなかった!」
三郎は何も言わず、私を優しく包みこんだ。
「本当はこんなことも言うはずじゃぁなかった!ずっと自分を殺して偽ってきて、本心なんて見せなかったのに、お前のせいで、私は弱くなったじゃないか!」
三郎が、頬を流れる涙を拭う。
「‥‥頑張ったな。」
抱きしめて背を撫でる三郎に、私は泣いてすがった。