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「行方不明だってー大輝」
「ん..?あぁ早く見つかるといいな」
「…最近様子変だぞ?返事も鈍いしそれに放課後も俺たちと遊ばなくなったしさ」
「あぁ..用事っていうか..習い事始めてさそれで行けなくなったんだ、わり…伝えれなくて」
「ふーん。なんかあったなら俺らに言えよな」
「おん、ありがと..」
「じゃあな大輝」
「また明日な」
学校生活で普通に通うことが出来なくなっていて、クラスメイトからも不安の声があり、大丈夫大丈夫…と言ってはいた…
心の中はそんな事を思っていなくても…
「今日もまたあそこに行くのか…」
いっそ死にたいとでも思うかのような、ブラック企業で働いているかのように体が重く、心が薄暗くどんよりとしている。
「ねぇ大輝!1つ質問していい?」
「うわっ…なんだ瑞葉(みずは)か…」
「なんだ、ってなによ」
こいつは俺の同級生、小さい頃からよく公園で遊んだり家に読んだり呼ばれたり…
とまぁ仲が良くて最近両思いだということが分かった。
けれどもクラスに付き合っているとばれたくない彼女は学校ではくっつき合わずに、誰にもみられないところで俺とよく話したりしている。
「最近さ…綾香となにかしてるでしょ?」
「え…」
「あ、その反応から見て図星だね?」
「う”…」
「何〜?二人で何してるのー?」
「それは…そのー…」
「私じゃ言えないってこと〜?」
「いや〜そうじゃなくて…ちょっとこっち来てくれ、誰にもみられないところに行こう。」
「…うん?」
彼女に見られているかもしれない。
最初から見られていたらこの行動は不審に思うかもしれないけれど、でも。瑞葉だけには伝えたい。俺のやっていること、誰かにこの事を言わなければ俺は段々と堕ちていく。
遂には奈落に落ちて這い上がれない程に。
「ここの住宅街には路地裏が結構あるからそこで話そう。1番近いのが多分ここだ」
「そんなに大切なことをしてるの?」
「…うん。」
今目の前に誰かいた気がする。
黒い服が。
「やっぱりダメだ!話せない!」
「え..?どうして?」
「えーっと…俺ん家で話すから!」
「分かった…」
引き返そうとした瞬間目の前には綾香が居た。
「え?綾香じゃん。どうしたの─」
突然綾香が瑞葉の頭をブロック塀のようなレンガで殴った。
その衝撃で瑞葉は言葉を出さずに倒れた。
「死ん…だ?なんで殺したの?」
「殺してはないよ。気絶させるぐらいにはした。 」
「殺そうとした理由が分からない…何も盗んでないし何も悪いことはしてないはずだぞ!?彼女は俺のしてることを…聞き出そうと…した..だけ….」
「そう。それが悪いこと。私たちにとって悪。悪者は誰であろうと容赦はしない。手を抜けば自分の足がすくわれる。」
「この後どうするつもりだ…?」
「処分。」
「その後の学校生活での彼女は居なくなる。それはどう埋めるんだ…?」
「自殺とさせる。」
「そんな簡単に出来るのかよ…?」
「やろうと思えば何だってできるよ。他殺、逃亡、出張、色々ある。」
「瑞葉もこのやっていることに参加は出来ないのか..?」
「ダメ。君じゃないとダメだから。」
まただ。
また心が動く。
ダメだと分かっていても、人は自分では制御出来ないものがいくつもある。
ダメだ。ダメだ、ダメだダメだダメだ。
彼女の言葉で自分が救われるように思えてくる。
自分の救済が彼女しか居ない。
もう彼女しか頼れない。
もう任せてもいいかもしれない。
もう言いなりになってもいいかもしれない。
もうどうでもいいかもしれない。
彼女と居られるのなら、俺は…
意識はあった。目では認識出来ていた。
それが誰なのか。誰を切り刻んでいるのか。
でももういいんだ。苦しまなくたって。
こんなことをしても特に苦しくはないだろう?
気楽にいこうじゃないか。楽しいじゃないか。
「ほら、餌だぞ。」
犬が肉片を食べ、貪り食って、跡形もなく消えた。この世から消えた。
犬は尻尾を左右に振っている。この犬達は目を輝かせるかのように俺の方を見てくる。
明日もある。明日も餌が来る。美味しい美味しい餌がくるから、明日が待ちどうしい。
希望を持った目を輝かせている。
「大輝くん。」
初めて俺の名前を読んでくれた…?
フッと声の方向を向いたら彼女は俺の胸を抱きしめてきた。彼女との身長差はほぼなく、彼女の顔が近く、なんだか体が熱くなってきた。
「ありがとう。やっぱり君だからこそできるんだ。」
彼女の顔に少し笑顔が見えたような気がした。
この笑顔を守り続けたい。そう思った俺は今日、彼女を捕まえる目的を捨て、裏のある彼女、バックガールと一緒に人生を歩んで行きたい。
そう思えた。