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夜久瀬
3
土曜日の午後。
寮のロビーで待っていたひなの前に、
華やかな笑顔とともに恵ちゃんが現れた。
「ひな〜! 今日は絶対かわいい服見つけようね!」
「う、うんっ」
その後ろから桔梗ちゃんも手を振る。
「女子会スタートだね〜!」
三人で向かったのは、けやきモール。
ショーウィンドウに並ぶ服やアクセサリーを眺めながら、
ひなの胸は自然と弾んでいた。
最初に入った洋服店で、
恵ちゃんは次々と服を選んでいく。
「ひなは絶対こういう淡い色が似合う!」
「これもかわいいよ〜!」
桔梗ちゃんも楽しそうにワンピースを合わせる。
試着室から出てくるたび、
二人が本気で褒めてくれる。
「天使みたい!」
「綾小路、絶対見惚れるって!」
その言葉に、ひなの顔は真っ赤になった。
カフェで休憩していると、
恵ちゃんが身を乗り出した。
「で、最近綾小路とはどんな感じ?」
「えっ!?」
「無人島のあと、絶対何かあったでしょ?」
桔梗ちゃんも目を輝かせる。
ひなは観念したように、
甲板での出来事や「俺の隣にいろ」と言われたことを打ち明けた。
話を聞き終えた恵ちゃんは、
テーブルを軽く叩いた。
「それ、もうほとんど告白じゃん!」
「うんうん! 綾小路くんって意外と大胆だよね」
「でしょ!? ひな、もっと自信持ちなって!」
二人の言葉に、
ひなの胸に少しずつ勇気が湧いてくる。
ショッピングの終わり際、
雑貨店でひなは小さなブックマークを見つけた。
シンプルな銀色のしおり。
どこか、綾小路くんの静かな雰囲気に似ている気がした。
「これ……似合うかも」
呟くと、
恵ちゃんがにやりと笑う。
「プレゼント?」
「ち、違っ……でも、いいかなって……」
「絶対いい!」
桔梗ちゃんも嬉しそうに頷いた。
夕方、学生寮へ戻る途中。
両手いっぱいの買い物袋と、
心いっぱいの楽しい思い出。
「今日は本当に楽しかった」
ひながそう言うと、
恵ちゃんはにっこり笑った。
「これからもいっぱい遊ぼうね、ひな」
「うん、恵ちゃん」
桔梗ちゃんも二人の肩を抱き寄せる。
「最高の友達だね!」
その夜。
寮の廊下で偶然会った 綾小路清隆 に、
ひなは小さな紙袋を渡した。
「今日ね、みんなと買い物してたの」
「楽しそうだったな」
「うん。すごく幸せだった」
綾小路くんはひなの表情を見つめ、
静かに言った。
「お前がそうして笑っていられるなら、それでいい」
そして、紙袋から取り出した物をみて少し間を置いて付け加える。
「……このしおり、気に入っている」
「えっ?」
ひなが驚くと、
彼はほんのわずかに視線を逸らした。
「俺のために選んだんだろう」
見抜かれていたことに、
ひなの心臓が大きく跳ねる。
「……う、うん」
「ありがとう」
たったそれだけの言葉。
けれど、その一言が何よりも嬉しかった。
友情に背中を押されて、
恋は少しずつ形になっていく。
大切な友達と、
大切な人。
その両方に囲まれて、
ひなの青春はますます色鮮やかに輝いていくのだった。
コメント
1件
あ〜もう、このエピソードすごく好きです!😭💕 女子会の温かさと、綾小路くんとの静かな距離感が両方あって、ひなの成長がじんわり伝わってきました。恵ちゃんと桔梗ちゃんの「それ、もうほとんど告白じゃん!」に、思わずにやけました。友達ってほんとに大事ですよね。 それからラストのしおりのシーン、「俺のために選んだんだろう」って見抜かれてるのに、ひなのドキドキがこっちまで伝わってきて…! たった一言の「ありがとう」がこんなに響くのは、二人の関係がちゃんと積み重なってきたからだと思います。友情と恋愛が両方あってこその青春って感じがして、とっても心温まる回でした🌷