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──────椎名視点──────
私は湖に向かって歩み続けた。しばらく歩き続ければそこには小さな湖と、辺りが開けている小さな平野がある。輝く太陽の光を、湖がそれを反射しその場に太陽が2個あるようにも見え、不思議で面白い。いつもと同じような感想を思いつつも、私は早速マジックの練習に取り掛かる。
と、言ってもそのマジックがまだ決まっていない。みんながあっと驚くような、それでいて今までにない新鮮で、斬新なマジック…。そうしばらく悩めば、天明と言わんばかりに天才的な案が思いつく。
題して!『椎名ちゃんのドキドキボックス』!!
私が、ある木箱に入り、そこからみんなに剣でその箱を突き刺してもらう。しかし、その箱に入っている私は無傷で生還!これは、とびっきり驚くだろう!
久しぶりになかなかいい案を思いつけたので早速その木箱を作ることにする。
私は、深く息を吸い、そして吐く。それを数度繰り返し、心を静寂に研ぎ澄ます。そして、頭の中で、その箱のイメージを固める。どの木を、どのような角度で組み合わせ、ネジは目立たないようにし、私がおさまるくらいの大きさで。横幅は余裕を持たせて。ここに仕掛けを置いて、重さはこれくらいで───。
かなり具体的にイメージしたあと、私はそのイメージ案を、手に流し込むイメージで、力を加える。その瞬間、手に、熱い感覚が流れてくる。熱された鉄板に触っているのでは、と勘違いするほどに手は熱く、そして苦しい。しかし、このくらいの痛みに耐えなければ、無から有は生み出せない。このくらいの痛みには耐えなければ。それに、今まで何度もやってきたのだ。大丈夫。大丈夫…!!
そう、自身に喝を入れ、しばらくの間空気とにらめっこをする。───体感では数時間。しかし、まだ数十秒しか経っていない頃。ようやく、木片が現れ、形を生成していく。たった一つの木片ではあるが、できたことに舞い上がり、力が緩みかけたが、はっと気を取り直し、さらに力を入れ、イメージを固めていく。ふわり、ふわりと現れはじめた木片たちが集まりだし、ひとつの形へと成していく。ネジが現れ、トンカチがそれを叩き、一仕事を終えたらポンッと消える。そんな作業を汗をダラダラとかきながら見守る。
───ついに、その形が私の想像通りとなる。私は、1度深呼吸をしてからこう唱える。
「『マジック☆』…ッッ!!!」
ほとんど枯れた叫びに近い声が私の口から発せられた瞬間、ポンッと間抜けな音と共にその箱が実態をなし、物体として現れる。
「つ、つかれたぁ…。」
思わず安堵した息を吐き、言葉をもらす。作れた達成感と、それを無事終えた安堵感。その両方がまじり、膝に力が入らなくなる。腕も、鉛をつけられたのでは?と疑問に思うほど重く、私はそのまま草むらの上に倒れ込む。やっぱり能力を扱うのは難しい。さすがに独学でやるには限界というものがあるのだろうか。1度でいいから、他の能力者にあって、指南してもらいたいものだ。そんな空想に浸りつつ、私は重い体を起こす。
まだ、終わっていない。今度はみんなが箱に突き刺す用の剣を作らなければいけない。しかし、私は剣を作ったことも、見た事もない。おとぎ話で登場する勇者が剣を使っていたことは知っているが、それくらいである。
(ナイフじゃだめかなぁ…)
私がそう思案しても、さすがに箱を貫通させるための長さが足りない。…なら、その刀身を伸ばすのは?またまた天才的な閃きによってこの困難を乗り越えられそうだ。確かに、刀身が短いならば長くすればいい。自身の考えに納得しかけたが、新たな課題が見つかる。それはナイフをそのまま伸ばすのは重くなってしまう、というものだ。材質を変え、けれど鋭さがあるものなら…。金、銀、銅…は、なんとなくだが重い気がする。鉄はもっと重いような…。…アルミはどうだろうか?軽いし、厚みを持たせれば箱を貫けるのでは?…いや、現実的ではない。貫く前に剣が折れてしまうだろう。───良く考えればあの人たちは木こりの時斧持って木を切り倒してるんだから余裕か。
その考えにいたり、私は鉄の剣を作ることにする。ナイフの刀身が伸びたイメージ。握りやすくするために、持ち手は木にして…。
1度試しに作ってみる。───普通に失敗。イメージしたものだと現実離れしているらしく、触った瞬間にポキッと折れた。…おそらく、単純に鉄は重いのに軽くイメージしたから、その帳尻を合わせるために密度が変化したのだろう。その結果、中身がスッカスカの剣の完成だ。そんなもの、すぐに折れるに決まっている。というか折れたし。やっぱり、もう少し重めにして、代わりに中には木を詰めて、それを囲むように鉄をくっつければ…。
2度目は失敗しない。結果、目の前にはいわゆる剣というものができた。なかなかに上出来なできだ。あとは、これを増やすだけである。1度出来てしまったものを再度作るのは私にとって極めて簡単である。だって、目の前にその物体があり、それとそっくりなもの画もう一本できたと考えればいいだけなのだから。
それを、十数回繰り返す。調子に乗って余分に作ってしまったものもあるが、まあいいだろう。とりあえずその剣は箱に入れて隠しておいて。
一仕事を終えた私は2度目の草むらダイブ。能力を短時間で多く使ってしまったため、体の疲労感が凄まじい。迫り来る睡魔に勝てず、私はそのまま眠りに落ちてしまう──────。
ここできります!皆さんは椎名ちゃんの能力強いと思いますか?私としては弱いより…と言うよりも最弱レベルの能力という認識です。金、銀、銅という材質を椎名ちゃんが挙げていますが、あれはマジックに使うから生成できるだけで、マジック以外で使うと無になります。あ、ちなみに想像出来ればダイヤなども可能です。まあ、想像出来ればですが…。まあどっちにしろ、転売とかで無双するのは無理ですね。無か有を生み出すのは能力者の特権ではありますね。ただ戦闘面で言うなら使い物にならないです。ショーでもやって時間を稼ぐくらいではないでしょうか?まあ、人間で強い能力なんてそうそう貰えませんから…。
それでは!おつはる!
コメント
12件
戦闘もマジックの一種だと考えられればワンチャン…?
まぁチートにはならなそうよね…穴がない限りは