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アーサーside

「おめぇに頼むのはちょっと気が引けるあるが……」

「実は今日の6時から我は家を空けるある」


「……は?」


「…だから、おめぇに一晩菊の世話をしてほしいある……」


「え、ちょ、急すぎだろ!」


「さっき連絡が入ったんあるよ!バイト先の後輩がやらかしたらしいね、」


我だっておめぇなんかに頼みたくないある…。なんて少し悲しそうな顔をするから、良心が痛み頼みを引き受けた。


「わーったよ。で、菊には話さなくていいのか?」


「今から言ってくるある」






「菊ぅ……我あのバイト先行かなきゃいけなくなったあるぅ…」


「は、はは、そうですか…」


さっきとはまるで別人だ。彼は、本田に甘々な態度で、子犬のようにすり寄っていた。本田が苦笑いするのも分かる気がする。


「あの眉毛に何かされたらすぐ鍋で殴るあるよ?」


「アーサーさんはそんな事しませんよ、」



恐ろしい会話が聞こえてきたが、空気を読んで何も反応しなかった。


「じゃ、我はもう行くね、!菊になんかやったら覚悟するよろし!」


「もう……」


展開が早すぎた。菊と2人屋根の下?そんなん最高じゃねぇか!

菊と2人きりという事実にテンションが上がるが、夕飯は作れないし面倒の見方も知らないので責任がドッと俺にのしかかった。


「菊?」


「あ、はい。」


「なんか、悪いな、俺なんかで……。」


「い、いえ!アーサーさんが謝らないでください、!」


「とりあえず飯作るか……」

「俺、アイツみたいにそんな上手くは作れねぇけど、菊の体調が治るようにイイもん作るからさ!」


「あ、ちょっ!」



引き止める声なんて聞こえているはずもなく、俺はキッチンに急いだ。

その途中で、アルフレッドとマシューに一晩空けることを伝えていないことに気づき、急いでスマホを取る。俺が帰ってこないから薄々気付いていたのか、いつもコールが長い電話が2コール目で終わった。


『アーサー?今どこにいるの?アルフレッドもお腹すいたってうるさいんだ…もう食べちゃっていい?』


『あぁ。ほんとすまねぇ…。実は一晩家に帰れなくなったんだ、俺の夕飯はいらねぇから先寝ててくれ』


『あ、うん。分かったよ。あんま無茶なことはしないでね』


『分かってる。おやすみマシュー。アルフレッドにも伝えといてくれ』


『うん。おやすみアーサー』



さて、電話を切りキッチンに目を向けた。トースト以外上手に作れた試しがない俺には、料理は戦だ。


「……とりあえず体に良い物……まるごと生姜でも炒めるか」


「やっぱ体に良いっつったら野菜だよな、人参……キャベツ…ブロッコリー……あと塩分は塩入れればいいよな」



すでに不安な予感しかない。







「で、できた、!」


アーサーは額の汗を腕で拭いながら今日一の笑顔を浮かべた。ルンルンなご機嫌オーラとは真逆に、流し台にはいくつもの失敗した黒い物体と野菜の茎と葉。調理台には包丁やまな板、食べ物のくずが散らばっており、不穏なオーラを放っていた。


(冷蔵庫のもんだいたい使っちまったけど、これも菊のためだ、!喜んでくれるといいな……)


作った物と飲み物をおぼんに乗せ、いざ部屋に持っていこうとキッチンから出た時、チャイムが家の中に鳴り響いた。


「……良いとこだってのに…誰だよこんな時間に…」


おぼんを元あった場所に戻した。ろくにインターホンも見ず、鍵を開ける。


ガチャ。

俺が開く前にドアが開き、目の前には見慣れたあいつらがいた。


「やっぱりここにいたんだぞ」


「ほんとだったんだ…」



「な、」

「何でお前らがいるんだよ!?」



本田side

「____って言うことで…」


「なるほど…アーサーさんが」


話を聞くと、耀さんは急遽バイトで今晩帰れないらしく……代わりにアーサーさんが私の面倒を見てくれるということだった。

気まずいし、あまりクラスの人にプライベートな事には関わってほしくないが、こんな体でそんな贅沢言えるわけがない。私は受け入れるだけだった。


「菊ぅ……我あのバイト先行かなきゃいけなくなったあるぅ…」


耀さんは、私の体に抱きつき、子犬みたいに頭をすりすりと擦り寄せてくる。クラスメイトに恥ずかしい部分を見られ「は、はは、そうですか…」と苦笑いしか出来なかった。


「あの眉毛に何かされたらすぐ鍋で殴るあるよ?」


「アーサーさんはそんな事しませんよ、」



「じゃ、我はもう行くね、!菊になんかやったら覚悟するよろし!」


「もう……」


こんな会話をしても、フル無視してくれるアーサーさんに感謝しながら耀さんを布団の上で見送った。気まずい空気の中、彼が口を開く。


「菊?」


「あ、はい。」


「なんか、悪いな、俺なんかで……。」


「い、いえ!アーサーさんが謝らないでください、!」


「とりあえず、ご飯作るか……」

「俺、アイツみたいにそんな上手くは作れねぇけど、菊の体調が治るようにイイもん作るからさ!」


「あ、ちょっ!」


そんな引き止めの言葉は聞こえなかったのか、アーサーさんはそそくさとキッチンへ向かっていった。

あぁ、今までありがとうございました。母上、父上、耀さん、アルフレッドさん。

遺言のように頭で唱えながら、一階に耳を澄ます。キッチンから聞こえてくる音は、とても料理をしているような音ではなかった。

不安にかられながら、アーサーさんの事を部屋で待った。時計の針が7時を回った頃、チャイム音が家の中に響き渡った。

流石にアーサーさんに行かせるのは悪い気がし、重い体に耐えながら玄関に向かった。だが、この体で彼に追いつけるわけもなく、ドアを開けた彼の背中が目に入っただけだった。


「やっぱりここにいたんだぞ」


「ほんとだったんだ…」



聞き覚えのある声と、知らない人の声が聞こえた。もしかしたらと思い、扉の外に目を向ける。


「な、」

「何でお前らがいるんだよ!?」


(なんでアルフレッドさんがいるんですか!?)


同じセリフを心の中で叫んだ。

嘘告ですよねアーサーさん!?

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