テラーノベル
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「がんばった俺を褒めて?」
その日の練習は、いつにも増してかなりハードだった。でも、藍は張り切ってやった。
「祐希さん、見ててくれた?」
「ん。よく動けてた」
「ほんと?! 今日、スパイクもレシーブも、ちょっとだけ完璧だったかもって思ってて!」
興奮ぎみにしゃべる藍を、石川はロッカーでタオルを肩にかけながら眺める。
「……すげぇがんばってたのは、ちゃんと見てた」
「じゃあ……褒めて?」
目をきらきらさせて、まっすぐに見つめてくる。
こんな顔を見せてくるのは、自分の前だけだ。
「……よしよし。よく頑張ったな」
石川が藍の頭をくしゃくしゃに撫でると、彼は子犬みたいに目を細めた。
「ふふ……祐希さんに褒められるのが、一番嬉しい」
「甘えすぎ」
「そうさせてるの、祐希さんでしょ」
「……はいはい。俺のせいですよ」
苦笑しながら、藍の頭をもう一度撫でた。嬉しそうな藍の笑顔に釘付けになる石川だった。
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