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買い物をして帰ったのは…響のマンション。
玲に会って聞いた話を確かめたい。
FUWARが危ないって言ってたのは本当なのか。
社長の息子が言ってるんだから、まず間違いないのかもしれないけど。
実は響としばらく連絡を取ってなかった私。
卒論の締め切りに焦ってて、真莉ちゃんを部屋に入れる承諾を取ってからは、連絡を忘れてたから。
「…そんな罪滅ぼしも兼ねて、今日はとりすきだ〜」
そんな料理が存在するかはわからないけど、牛肉の代わりに鶏肉を入れて、野菜やきのこ、しらたきと甘辛く煮る料理。
前に作ったら「美味しい」って言ってくれたことを思って、ニヤける…。
そして…先にお風呂に入ってから思った。
「メッセージしておかないと、夕飯どこかで食べてきちゃうかも…」
濡れ髪を簡単にクリップで留めて、慌ててメッセージをしようとした時…
ガタガタ…っと音がして、響が帰ってきた。
「…琴音」
一瞬でわかる。響の戸惑い。
…あれ?私が来ちゃ、まずかった?
「…ちょっと!重いんだから、一緒に運んでよ…」
立ち止まる響にぶつかるように、女の人がスーツケースを転がしてきて、響の視線をたどるように私を見た。
「…あれ?妹さん…とか?」
メガネをかけた知的な雰囲気の女性。
髪をシニヨンにまとめていて、白いブラウスと黒いタイトスカートが妙に色っぽい。
また…大人の女性だ。
「…妹じゃなくて…」
「あぁ!幼なじみね?前にも来てたもんね!」
響の言葉を聞かずに、幼なじみと決めてかかってる…
優菜ちゃんとも会ったことあるのかな。鉢合わせしたことがあるのかもしれない…。
「はじめまして!私は戸川未里子。響の大学の同期でね、今でもたまに近況報告会するのよ!」
「…近況報告会…」
ハキハキ喋る未里子さんは、戸惑う私の手を取って、ブンブン振り回した。
「近くで見るとむちゃくちゃ可愛い!
ねぇ!私の弟に紹介してもいい?」
「は?…余計なことすんな!」
怒った顔の響を笑いながら、持ってきたスーツケースを転がして、未里子さんは書斎に行ってしまった。
残された響が慌てて私に近寄ってきた。
…スッと体を避けて言う。
「突然来たら、マズいみたいだね。いろいろと」
「…違う。未里子はそんなんじゃなくて…」
「未里子…?」
「いや、だから同期だって言ったろ?友達、仲間、フレンド、わかる?」
「…わかんない」
響は整えられた髪を自分でグシャグシャにしながら「違うって…だから…!」と身悶えてる。
私は思ったことをすべて言葉にしてあげた。
「これから2人っきりで書斎にこもってなにするの?仕事?…仕事だよね。だって書斎だもんね。大学の同期と…仕事をするんだ?スーツケース持って?もしかして数日泊まり込み?どこに寝るの?この家客室ないのに。またベッドとソファで寝るの?女性をソファに寝かせるなんて失礼だよ。あ、一緒に寝ればいいのか。あのベッド大きいもんね」
淀みなく言う私に、らしくないほどうろたえる響。
「…違うって…!未里子には、ある仕事を頼んでるんだよ。そ、それでその…今日は…来てもらって…」
「…泊まりになってもいいように、スーツケースなの?」
「急ぎの仕事で。どうしても…」
ムカっとして、ネクタイをグンッと引っ張って、間近に顔を寄せた。
「響…それは浮気とは言いませんこと?」
「違います…断じて。多分睡眠なんて取れない。だから…」
「私の部屋に真莉ちゃんが上がるとなったらあんな警報機付きの監視カメラ設置したくせに!」
ネクタイをグングン引っ張ってやった。
あの監視カメラ、絶対このマンションに取り付けさせよう…!
「後で、ちゃんと紹介するし、彼女には帰ってもらうし…だからちょっと…」
性懲りもなく書斎を指さす響。
「やだやだやだっ!夕飯作って待ってたのにっ!仕事なんかさせないっ!」
ネクタイを引っ張ってるから、その麗しい顔が間近に迫ってる。
「…ちょっと、落ち着け…琴音」
何を思ったか、戸惑う響を無視するように、私はその唇に口づけた。
この時の私はどうしたというのか、怒りに任せてキスをして、引っ張っていたネクタイを離して首元に抱きついた。
私の勢いに押されてよろめいた響は、脱力したように床に座り込んだ。
それでも攻撃の手は緩めない…!
自分からこんなに強く抱きつくなんて初めてかも…。
「こ…とね…?」
声を発したタイミングで、私から舌を入れて、いつもは翻弄されてばかりの響の舌を弄んでやる…。
下唇を甘く噛んで…吸って、次第に響の息が上がってくるのがわかる。
「…これ以上は、まずいって…」
響の目が蕩けてる。
その奥に、欲望の火が燃えているのも見える。
「…何がまずいの?」
半分、本当に何がまずいのかわからなかった。
怒りに任せて、響を困らせてやろうと、大胆になる…。
響の膝にまたがって、高そうなネクタイを乱暴にはずす。
ボタンを1つ…2つ…と外す私を、これ以上はまずいって言ったのに、じっと見てる響…。
胸元を開いて、そこにキスを落とした。
目的は…咲かせたい、赤い華。
「…あれ…なんか、うまくできない」
響は簡単にやってるのに…感覚から、吸いつけばいい、ということだってわかる。
チュウチュウと胸元にキスをする私を、響が深いため息を吐きながら言う。
「ヤバい…死ぬほど可愛い…」
ゴク…っと喉仏が上下して、ハァ…っと燃え上がる内面の炎を落ち着けるような吐息を漏らして、響の手が動いた。
私の襟元のジッパーをスッとおろして…私の胸元をあらわにする。
その柔らかな丘に響が口づけて、私がつけたかった赤を、鮮やかに咲かせてみせた。
「なんで…?」
見上げれば、蕩けきった男の目とぶつかる。
「私にはつくのに、なんで響にはつかないの?」
「そんなにつけたいの?」
長い指が、あらわになった胸をつまむように弄んでる。
時々短く声を上げて、ビクッとする私を、満足そうに見つめてる。
「…いっぱいつけたい!響は浮気者だもん!」
「してねぇよ?浮気なんて1つも」
「この間だって、山科さんって会社の人と、ここで2人でいた…!」
「あれは単なる手違い。すぐに河本が来ただろ?」
「美久って呼んだって言ってた…!」
「飲み会の席での話。罰ゲームだよ」
「…じゃ、未里子さんにはなんで私のこと、恋人って言わなかったのよっ?!」
裸の胸をバシッと叩いてやる…!
「言おうとしたら、勝手に幼なじみにしたから…」
むぅっと膨れて、ギュッと抱きついた。
「絶対書斎に行かせない!」
すると上から覆いかぶさるように抱きしめて、今度は響から甘くて深いキスが落ちてきた。
熱い舌に翻弄されて、耳を甘噛みされて、首筋に舌を這わせ…。
「…は…ホントに行けねぇよ…書斎」
そっと私の座る位置をずらすと…いつかと同じ硬いモノが敏感な部分に当たる。
「…このまま抱きたい…」
その時、書斎のドアが開く音がする…
「響…?お取り込み中ならまたにしよっか?」
未里子さんの声に、私がビクッとして驚いて離れようとした。
「…あぁ。今行くから、ちょっと待って」
そう言いながら、私の手首を掴んで、また胸の中に閉じ込める。
「自分からキスしてくるとか…死ぬほど可愛い…むちゃくちゃ色っぽいし…琴音、俺またお前のこと好きになった…」
これ以上好きになったら狂うぞ…?
って…そんな色っぽい顔で言われたら、私だっておかしくなっちゃう。
そして…今までで感じたことがないほど強く抱きしめられて…もしかして骨折するんじゃないかってほど。
「…琴音も一緒に行こう。書斎」
少し響の状態が落ち着くのを待って…
手を引かれて、一緒に書斎に入った。
コメント
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響ぃぃぃ〜いい加減学習しましょう😮💨ほんとに仕事かもしれないけど、婚約者がいるんだよ?まったくもうの🐮🐮だよ! 今回は琴音ちゃんがびっくり行動とったから、響惚れ直してるし、一緒に書斎行くから許してあげる!だからちゃんと婚約者で結婚を控えてると書斎に入って先ず『すぐ』その未里子に言いなさい!!! もうプンプン!