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「未里子、この子…琴音。前に話したことあったよな?ずっと探してた女の子のこと」


未里子さんは作業してた手を止めて、ニコッと笑った。



「さっきは妹とか言っちゃったけど、もしかしてそうかな…って思ってた!」



未里子さんは嬉しそうに近づいて来ると、そのまま私に抱きついて、まじまじと顔を見つめてくる。




「…うん。本当に可愛い!響がしつこく探してたのわかるわ〜」


「しつこい言うな…!」




未里子さんには啓二さんというご主人がいて、その人も大学の時の同期だと教えられた。



こうして私は未里子さんに響の恋人として認定され、意外なことを言われる。





「いいよ?!イチャイチャしながらで!」


「…え?」



イチャイチャしながら何をするのか…と思えば、響も当たり前のように言う。



「じゃ遠慮無く。琴音、こっち」



振り向いてみれば、パソコンに向かう響の膝をポンポン…と叩かれて…


そこへ座れと言われてるのがわかった。



「…いや、そこまで近くにいなくても…私は部屋の端で邪魔しないように…」


「…ダメ!」



ぐいっと腕を引かれ、響は有無を言わせず自分の膝に座らせた。



一緒にモニターを見るような格好で、頭の上を響の顎がかすめ、両側から腕が伸びてきて、信じられない速さのタイピングを見せつけられる…



モニターに写し出されているのは変な暗号の羅列のようなもので、意味はまったくわからない…



けど…私はかなり邪魔なんじゃないか?


でも、時々こめかみにチュッとキスが落ちてくるということは、響もここに私がいることを喜んでるということで…。



嬉しい…!



なんなの…好きが溢れてくる感覚…!


響…私、響が好きだ…。


タイピングの速さも呪文みたいなモニターの意味がわかる響も、両側から伸びてくるたくましい腕も…全部にドキドキする…!


どうしよ…ここまで接近してるなら、思い切ってもっとくっついちゃおっかな…



「あ…ちょっと体勢変えたい」



そう言うと、響は少し作業の手を止めてくれた。


そこでぐるっと体を回転させて、そのまま響に抱きついた。


…さっきと同じ体勢。


響の膝にまたがって、胸元に頬をくっつけて、背中に手を回す。

はい。

遠慮なく、密着してやりました…!




しばらくはその体勢でタイピングしてた響が、急に耳元で小さく呟いた。



「…さすがムラついて、集中できんっ!」



確かに、心臓の音がやかましい…。





…………… Side未里子


まさか…響ともあろう男が、こんなに蕩けた顔をしてみせるなんて…。


溺愛にもほどがある…と、こっそりニヤニヤしながら様子を見ていれば、眠そうな琴音ちゃんと一緒にソファに移動した響。


ちゃんと琴音ちゃんを自分に寄りかからせて、作業続行するとは…!


きっと今でも相当モテるだろうし、大学の時に大勢の取り巻きもいた。



それがこんな甘い表情をして見せるなんて…響デレすぎ!



あ…またキスしてる…。

ホントに、こっちがテレちゃうわよ!



「…先に寝てもいいよ?可愛い琴音ちゃんと!」


「…んなわけいくかよ。未里子も暇じゃないだろ?俺も早く形にしておきたいから」



そう言いながら、自分に寄りかからせた彼女の頬を撫で回して、視線は彼女…!




「もうっ!ベッドで抱きしめたいでしょ?気持ちはわかるからいいよ!」



「うん…でもこうしてくっつけとけば、それだけで満たされるから…」




はぁ…と、私のほうが思わずため息。



純愛ね…。

本当の恋よね…。


あぁ…愛は尊いわ…!



大学時代の響は、払っても払っても女の子が寄ってくるような男だった。


確かにあのビジュアルで、背も高くて頭も良ければ、女の子が放っておくはずがない。


その上、旧財閥系企業の御曹司だって言うから、初めて聞いた時はさすがの私たちも倒れそうになったっけ。



正直…大学の女の子と、少しは遊んだのかしら?


何人か恋人ヅラして追いかけ回している女の子がいたけど、あれがそうだったのかもしれないし、違うかもしれないし…。



…まぁそのへんのことは、私は知らないことにしておきましょ。



ハッキリしているのは、私を含む数人の仲のいい同期に、恋人だと紹介してきた子はいなかったってこと。



その理由が、この琴音ちゃんか…!



ずっと想っていた気持ちが通じたみたいで、見てて本当に嬉しくなる。



…キリのいいところで、お邪魔虫は帰ってあげなくちゃ!




そして、そろそろ…という頃、響が不意に話しかけてきた。



「…未里子さぁ、ちょっと…聞いてもいいか?」


「ん?なになに?」



整いすぎて美しいほどの男が、ほんのり影をまとって私を見た。



「女にとって、その…初めて…するっていうのは、相当覚悟のいるものなのか?」



一瞬、何をするのかわからなくて、目がテンになる。


初めてする…相当な覚悟…?




「……っっ!?」




「なんだよ…そんなに意外かよ?」


「いや、ちょっと待って、ちゃんと聞いていい?…一緒に暮らしてるんだよね?もう何ヶ月も」


「今はちょっと…琴音が帰るマンションはもう1つあるけど、でもまぁ、一緒に暮らしてたが?」



こんなこと言っていいかなぁ…と思いながら、ここは正直になろうと決めた。



「それで、もしかしてまだ琴音ちゃんに手を出してないの?あんなに恋しく探し回ってたのに?」


「琴音、経験ないみたいで。それを知って、簡単に手を出せなくなった。ちゃんと、ゆっくりした場所と時間を設けて…って、大事にしすぎて…」


響も素直になろうと思ったのか、赤裸々に、少し顔を赤くして言った。



「そうなんだ…!琴音ちゃん、すごく幸せだね!私まで嬉しくなっちゃう…」


「…で、どうなんだよ?女にとって、は、初めてっていうのは、恐怖が先に立つものなのか?」


「うーん。怖いは怖いと思う。

まったくの初めてなら、男の体の大きさにまずビビると思う」



体の大きさ…と言いながら、自分の下半身に目をやる響を、私はバシっと叩いて言う。


「バッカ…!ソコだけじゃないよ!全体っ!身長体重、足の長さに手の大きさ!そのすべてが自分よりずっと大きい男が間近に迫ってくるんだから。

体の小さい私たち女性は、ちょっと怖くなるもんなんだわ!」


「あぁ…そういうことか…でも、体を小さくすることはできないしな…」



いつの間にか、寄りかからせた琴音ちゃんの肩を抱いて、胸元に引き寄せてる響。



「…でも、さ。今日見てて思ったけど、琴音ちゃんも響のこと大好きって感じだよねぇ〜…!」


「…え…そぅか?」


「うん!響を見上げる目がハート…!まぁ、響の方はさらに熱いハートって感じだけどね!」



もう機は熟してると思うよ…と伝ると、響は胸元の琴音ちゃんのおでこにキスを落としてる。



「…大丈夫!響の努力次第では、痛みもかなり軽減できるみたいよ?」



そう言って肩をポンっと叩き、そろそろ帰ると伝えると、響はその話をもっと聞きたそうにしたが…。


「これ以上はよくわかんないから、私の夫に聞いてくれる?」


そう言って私は、深夜の響邸を後にした。


この次響に会うのを楽しみにしながら…


スパダリは甘くない

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コメント

1

ユーザー

響、未里子さんに言われて自信持てたかな? もう一つの部屋なんてとっとと解約してまた同居して、結ばれて〜🎀✨ 琴音ちゃんも覚悟はできてるし、待ってるよ〜💓

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