デリカシーという言葉は、ここには存在していないらしい。安堵から不安に切り替わった瞬間が、手に取るように分かった。その事が、相手に気づかれないようにすることが精一杯だった。
「もしこのゲームでうちに勝ったら、家に帰してあげる!」
どうする。どうすればバレない?嘘をつけばいいのか?いや、嘘はいずれバレる。意味が無い。本当のことを言うべきなのだろう。自分の中で答えははっきりしているのに、心が問いただしてくる。『それは、本当に正解の道?』と。何が正解かなんて、何度聞かれても分からない。いや、分かりたくない。
「あれ、聞いてる?おーい?」
「あ、すいません。ぼーっとしてました笑」
「も〜wちゃんとしろよな〜w」
「ごめんなさいw」
「いい?このゲームに勝ったら、あんたを家に帰してあげる!」
「ほんとですか!」
「うちに二言はない!」
「なら、やります。」
「よし来た!早速私が当てちゃおっかな〜」
「当てれるんですか?w」
「あったりまえよ!ってか、もう分かってるし!」
わかっている。嘘。そんなはずは無い。今までの間でバレるようなことはしていない。でももし、本当に分かっていたとしたら。私には誰1人として、話す人がいなくなってしまう。また孤立してしまう。
「ズバリ!」
「さっき、自殺しようとしてたでしょ」
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