手紙が来たのです。
私はもう長くない、もう死ぬ間際でございます。
そんな老耄な私に一体なんのご用でございましょう。
私はある人に恋をし、そして何事もなく別れました。
その後ある教師に嫁ぎ、今はこうして細々と生きているのです。
父は15年前に死に、母もその後死にました。
もうみんなに会えるのです。
手紙は誰が書いたか分かりません。書いていないのです。
「おしさしぶりです。私は中学生の時、あなたと同じクラスでした。
私はあなたに恋をしていました。
あなたがクラスであまり目立たなく、可哀想な姿に惚れたのです。
私は何度かあなたと隣の席になり、なんとも幸せでございました。
ですがあなたは何も私に話しかけてさえくれないのです。
私が話しかけてもあまり喋らず、私は嫌われてしまったんだと思っていました。
大人になってあなたの結婚式に出席し、あなたが立派になった姿はなんとも言えなかったです。
幸せな姿を見て嬉しがるべきか、その姿の横に立てなかった悔しさか。
私はもう長くはないでしょう。
ですがあなたは生きてください。
私の分まで生きてください。
あなたは人妻ですが、私はそんなの関係ありません。
あなたのことが好きで好きでたまりませんでした。では、さようなら。」
これは、昔私が好きだった人からです。
私は泣きながら思いました。
生きたいと。






