🌷空想の世界へ戻りたい (どうしよう、帰されてしまったわ)ティアは、なぜこんな声幻聴の内容をみんなが知りたがるのかわからなかった。(なぜ幻聴の内容がそんなに重要なの?こんな声が言っていることなんて大嫌い、言いたくないわ、わたしはただいつまでも空想の世界で暮らしていたかった、そこでは誰も言葉でわたしを追いつめない、いつもふわふわしたやわらかい思考だけだった)ティアは、どんなに戻りたかったか。だから強くイメージして、戻ろうとした。でももう戻れなかった。「何もまともに考えられないんだな」「そんなのは弱い精神力だ」「他の人達のように現実を判断できない」幻聴は嘲笑う。(落ちついて、もう行動で逃げるわけにはいかない、だけど、何も心の目に見えない、見えないわ、こんな声を相手になんかしないわ)ティアは、立ち止まって考えていたが、再び家に向かって歩き出した。
ティアは家に帰り、ずっとベッドに横になっていた。母親が午前中の仕事を終えて帰ってきた。
「おかえりなさい」ティアは、ドキドキしながら言った。「ティアのほうが先に帰っていたのね」母親は、そう言っただけだった。(ミリアさんからまだ何も聞いていないの?)ミリアは、明日の仕事は、また考えると言っていた。まだ、ティアはやめさせられたわけではないのだろう。「一緒にお昼ご飯を食べましょう、今日はサンドウィッチを作るから手伝って」「はい」ティアは、いつも通り母親とお昼ご飯を食べた。
午後もいつも通りのティータイム。久しぶりに母親がパンケーキを焼いてくれた。「全く役に立たなかったのに、贅沢だな、いつまで甘えているんだ?」幻聴がティアの脳に響く。「いただきましょう」母親の声にティアは我に返った。「はい、いただきます」ティアは幻聴など今は聞こえないふりをするのだった。
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