テラーノベル
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※戦争・ドリームコア表現あり
どこまでも、砂。
まっしろな、鳥取砂丘の砂。
だれもいない、からっぽの世界。
見上げると、パステルイエローの空に、おっきな、おっきな、出雲大社のしめ縄が、ぷかぷか浮いている。
「……ねえ、島根。お前、そこにいる?」
「いるよ、鳥取。ずっと隣にいる」
外はみーんな、せんそう。
あっちも、こっちも、ぜんぶなくなった。
山陰の静かな土地だった俺たちも、ついに終わりがきた。
道路も何もない砂の上で、俺たちのちいさな画面が同時に、ぴこん、と跳ねる。
『⚠️警告:過疎化およびデータ統合が開始されます』
「あはは……統合、だってさ。やっと一つになれるのかな」
鳥取が弱々しく笑う。だけど、その足元は、サラサラと砂になって崩れ始めていた。
システムが鳥取の存在を消去して、島根に無理やり吸い込ませようとしているんだ。
いつもお互いに
「どっちがどっちか分からない」
って言われて怒っていた。
隣にいるのが当たり前だった。
なのに、消えるのは、鳥取のほう。
ちいさな画面に、エラーの砂嵐が混ざる。
『消えたく、ないな』
下書きのまま、送信されなかった鳥取の文字。
島根はそれを、隣でじっと見つめることしかできない。
ドクン。
鳥取の胸の真ん中に、バグの黒い穴が大きく開いた。
「……島根。俺のこと、絶対に忘れるなよ」
「忘れるわけないだろ、バカ鳥取……っ!」
島根が手を伸ばした瞬間、鳥取の身体は完全に崩れて、ただの白い砂になって、風に吹かれて消えていった。
あとに残されたのは、島根ひとり。
足元には、鳥取だった一掴みの砂だけ。
[通知:【鳥取】のデータ消去が完了しました。【島根】への統合処理に移行します。]
コメント
3件
うわっ……これ、鳥取と島根の擬人化で戦争モノだったんだね……。(息を呑む) 「隣にいるのが当たり前だった」のセリフがもう刺さりすぎてしんどいよ🥀 統合って名目で存在を消されるっていう設定が残酷で美しすぎる……砂になって消える描写、ずっと目に焼きついて離れない。下書きの「消えたくないな」見ちゃったよ……。 鳥取のことを島根だけは覚えてるって約束、どうか守られてほしいな⋯🕯️🤍
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