テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
前回の続き
夜。
事務所。
エレベーター前。
〇〇と風磨、帰り。
〇〇「ほんとにやめてねあれ」
風磨「何が」
〇〇「片付けのやつ」
風磨「決定だから」
〇〇「してない!!」
その時。
廊下の奥。
SixTONES。
ジェシー「お疲れー」
樹「お、タイミング」
慎太郎「今帰り?」
きょも「お疲れ様」
高地「今日長かったね」
北斗もいる。
北斗「……お疲れ」
〇〇「お疲れ」
普通の距離感。
風磨、ニヤッとする。
〇〇「その顔やめて」
風磨「ちょうどいいじゃん」
樹「なにが?」
風磨「お前らに話ある」
ジェシー「怖」
慎太郎「ろくなことじゃない」
風磨「〇〇の部屋片付けることになった」
一瞬の静寂。
全員「は?」
〇〇「なってない!!」
樹「待って意味わかんない」
ジェシー「なんで俺ら」
高地「急すぎるって」
きょも「どういう流れ?」
風磨「昨日の夜会見ただろ」
慎太郎「あー」
樹「なるほどね」
ジェシー「確かにやばかった」
〇〇「やばくない!!」
風磨「で、未来のために片付ける」
北斗「……知らねぇよ」
即。
冷たい。
〇〇「ほら!!」
風磨「でも人手いるだろ」
樹「なんで俺らなんだよ」
風磨「最近仲いいから」
ジェシー「理由雑」
高地「でも面白そうではある」
〇〇「面白くない!」
慎太郎「俺はちょっと見てみたい」
〇〇「来ないで!!」
きょも「どのくらいの規模なの?」
風磨「ぬいぐるみ40体」
ジェシー「行くわ」
〇〇「なんで!!」
樹「いや普通に生でみたい」
高地「手伝うならちゃんとやるよ」
〇〇「やめて優しさ!!」
風磨「ほら乗り気」
北斗、ずっと黙ってる。
腕組み。
様子見てる。
風磨「で、選抜な」
〇〇「選抜しない!!」
樹「勝手に決めるなよ」
風磨「まず1人目」
風磨、北斗見る。
〇〇「やめて」
風磨「北斗」
北斗「行かねぇ」
即答。
〇〇「でしょ」
風磨「いやお前が一番必要」
北斗「なんで」
風磨「一番ちゃんとしてるから」
樹「それはある」
高地「適任ではある」
慎太郎「絶対仕切るタイプ」
北斗「だから行かねぇって」
〇〇「来なくていい」
北斗「行かねぇ」
2人、同時。
少し間。
風磨「じゃあ他2人」
ジェシー「え、俺?」
風磨「お前は確定」
ジェシー「やった」
〇〇「やってない!」
樹「俺も来いって流れ?」
風磨「お前も」
樹「なんでだよ」
風磨「ツッコミ役」
慎太郎「それなら俺もいるだろ」
風磨「お前は遊ぶ」
慎太郎「バレてる」
きょも「俺は?」
風磨「見守り」
きょも「役割ひどいな」
高地「俺は?」
風磨「優しすぎて進まない」
高地「否定できない」
原理的に絞られてく。
風磨「決定」
風磨「北斗・ジェシー・樹」
〇〇「決まってない!!」
樹「巻き込まれた」
ジェシー「楽しそう」
北斗「行かねぇって言ってんだろ」
風磨「いや来る」
北斗「行かねぇ」
風磨「来い」
北斗「行かねぇ」
少し間。
〇〇「ほんとに来なくていいからね」
北斗「行かねぇ」
目も合わせず。
でも
一瞬だけ視線交わる。
〇〇も特に気にしてない。
風磨「じゃあ日程送るわ」
樹「勝手に進めんな」
ジェシー「楽しみ〜」
〇〇「最悪」
エレベーター来る。
扉開く。
風磨「じゃあ解散」
〇〇「やだってば」
北斗「……」
最後まで何も言わない。
でも
頭の中では
少しだけ引っかかってる。
“部屋”
“生活”
さっきの違和感。
消えてないまま。
でも
なぜか完全に拒否しきれない。
北斗「……めんどくせぇ」
小さく呟く。
そのままエレベーター乗る。
話は
勝手に進んでいく。
ーーー
休日。
昼。
高層タワマン。
〇〇の家の前。
ピンポーン
部屋の中。
〇〇「……来た」
玄関の前で立ち尽くす。
〇〇「ほんとに来るんだ…」
ガチャ
ドア開ける。
外。
風磨、ジェシー、樹、北斗。
風磨「おはよー」
ジェシー「お邪魔しまーす!」
樹「ついに来たな」
北斗「……」
〇〇「帰っていいよ」
風磨「帰らない」
即。
ジェシー、もう入る。
〇〇「ちょっと!!」
靴脱いで上がる。
樹も続く。
風磨も普通に入る。
北斗、少し遅れて入る。
ドア閉まる。
リビング。
広い。
天井高い。
ガラス張り。
景色いい。
完全にタワマン。
でも
床。
ぬいぐるみ。
服。
クッション。
小物。
散らかってる。
ジェシー「うわ広っ」
樹「えぐ」
風磨「無駄にいい部屋」
〇〇「無駄じゃない!」
北斗、静かに全体見る。
(広いのに散らかるタイプ)
一瞬で理解。
〇〇「そんな見ないで」
北斗「見てねぇよ」
見てる。
風磨「よし」
手叩く。
風磨「始めるぞ」
〇〇「やだ」
風磨「やる」
〇〇「やだ」
風磨「やる」
〇〇「……はい」
諦め。
樹「まずどうする?」
ジェシー「ぬいぐるみゾーン?」
風磨「いや床だろ」
北斗「床全部どかす」
即。
全員少し見る。
樹「出た指揮官」
風磨「正解」
ジェシー「了解〜」
〇〇「やだ」
北斗「やれ」
〇〇「やだ」
北斗「やれ」
〇〇「……はい」
またそれ。
動き出す。
ジェシー、ぬいぐるみ抱える。
ジェシー「これ名前なんだっけ」
〇〇「それルナ」
樹「全部あるの?」
〇〇「ある」
風磨「怖」
ジェシー「可愛いじゃん」
風磨、服の山持つ。
風磨「これ洗うやつ?」
〇〇「たぶん」
風磨「“たぶん”やめろ」
樹「全部分けろ」
〇〇「無理」
北斗「やれ」
〇〇「……はい」
同じ流れ。
北斗、無言で動く。
早い。
正確。
どんどんスペースできる。
風磨「仕事できる男だな」
樹「普段からちゃんとしてるやつは違う」
ジェシー「俺もちゃんとしてるよ?」
全員「してない」
笑い。
〇〇、ふと北斗見る。
手止まらない。
迷いない。
(すご…)
でも
特に深く考えない。
〇〇も動く。
雑だけどちゃんとやる。
風磨「そこ適当すぎ」
〇〇「やってるもん!」
風磨「雑」
〇〇「うるさい!」
樹「そこはこっち」
ジェシー「ぬいぐるみ並べる?」
〇〇「並べない!」
カオスだけど
ちゃんと進んでる。
少しずつ
床見えてくる。
風磨「見えてきたじゃん」
〇〇「でしょ!」
北斗「まだだろ」
〇〇「うるさい」
北斗「事実」
樹「厳し」
ジェシー「でも正論」
〇〇、ちょっとむくれる。
でも
ちゃんと続ける。
北斗、ふと止まる。
〇〇の動き見る。
適当だけど
ちゃんと参加してる。
途中で逃げてない。
北斗「……」
また動く。
(まあいい)
風磨「これ終わったら飯な」
ジェシー「いいね!」
樹「それモチベ」
〇〇「それなら頑張る」
現金。
笑い起きる。
広い部屋。
まだ散らかってる。
でも
確実に変わっていく。
いつも一人じゃやらないこと。
今日は
ちゃんと進んでる。
少しずつ。
確実に。
ーーーーーーーー
夕方。
16:00。
〇〇の部屋。
さっきまでのカオスが嘘みたいに
床、見えてる。
ソファ、使える。
テーブル、空いてる。
〇〇「……終わった」
その場に座り込む。
ジェシー「やったーー!」
樹「普通に達成感あるな」
風磨「疲れたわ」
北斗、壁にもたれる。
無言。
でもちゃんと全部見てる。
〇〇「すごくない?」
風磨「元がひどすぎただけ」
〇〇「ひどくない!」
樹「いやひどい」
ジェシー「でも綺麗になったね」
〇〇「でしょ!」
ちょっと嬉しそう。
〇〇、部屋見渡す。
(こんな広かったんだ)
初めてちゃんと実感する。
〇〇「……ありがと」
小さく。
風磨「珍し」
樹「素直」
ジェシー「いいじゃん」
北斗「……別に」
いつも通り。
でも
少しだけ空気やわらぐ。
風磨「じゃあ飯行くぞ」
〇〇「行く!」
即復活。
樹「元気だな」
ジェシー「現金」
〇〇「お腹すいた!」
風磨「片付けた後の飯が一番うまい」
北斗「それはある」
ぽつっと。
〇〇、ちらっと見る。
でも特に気にしない。
〇〇「どこ行く?」
樹「肉じゃね?」
ジェシー「いいね!」
風磨「決まり」
〇〇「焼肉!」
すぐテンション上がる。
風磨「じゃあ準備しろ」
〇〇「5分!」
樹「絶対5分じゃない」
ジェシー「30分コース」
〇〇「5分!!」
バタバタ動き出す。
風磨「信用ゼロ」
北斗、少しだけ笑う。
ほんの一瞬。
誰も気づかないくらい。
数分後。
玄関。
〇〇「お待たせ!」
風磨「早いじゃん」
樹「奇跡」
ジェシー「成長した」
〇〇「でしょ!」
ドア閉める。
さっきまでの部屋。
ちゃんと整ってる。
〇〇、少しだけ振り返る。
でもすぐ前向く。
〇〇「行こ!」
エレベーターへ。
5人並ぶ。
いつもの距離感。
変わってない。
でも
ほんの少しだけ
“日常”が増えてる。
そのまま
夕方の街へ。
ご飯に向かう。
ーーー
マンション前。
夕方。
風、少しだけ涼しい。
風磨「タクシー呼ぶわ」
スマホ操作。
〇〇「歩きじゃないの?」
樹「この人数は無理」
ジェシー「疲れてるしね」
〇〇「たしかに」
さっきの片付けの余韻。
じんわり残ってる。
タクシー到着。
ドア開く。
運転手「どうぞ」
風磨「2台だな」
樹「分かれるか」
ジェシー「どうする?」
一瞬の並び。
風磨「俺と樹こっち」
樹「了解」
ジェシー「俺もこっち行くわ」
風磨「じゃあ3人」
ジェシー「〇〇は?」
〇〇「どっちでも」
風磨「じゃあ北斗と乗れ」
〇〇「え、なんで」
風磨「バランス」
適当。
樹、ニヤッとする。
樹「いいじゃん」
〇〇「別にいいけど」
あっさり。
北斗「……」
何も言わない。
でも否定もしない。
結果。
風磨・樹・ジェシー
北斗・〇〇
で分かれる。
〇〇「じゃあ後でね」
風磨「先着いたら頼んどく」
ドア閉まる。
発車。
タクシーの中。
静か。
外の景色流れる。
〇〇「疲れたね」
北斗「まあな」
短い。
〇〇「でもめっちゃ綺麗になった」
北斗「……だな」
〇〇、少しだけ嬉しそう。
〇〇「一人じゃ絶対やってない」
北斗「だろうな」
〇〇「うるさい」
北斗「事実」
いつもの会話。
でも
空気はそこまで重くない。
少し間。
〇〇、窓見ながら。
〇〇「ありがとね」
ぽつっと。
北斗「……別に」
でも
少しだけ間があった。
〇〇「普通に助かった」
北斗「なら維持しろ」
〇〇「えー」
北斗「すぐ戻すだろ」
〇〇「戻さないし」
北斗「無理」
〇〇「無理じゃない」
軽い言い合い。
〇〇、ちょっとだけ笑う。
北斗、視線逸らす。
外見る。
(こういうのは普通に言うんだな)
深く考えない。
でも
少しだけ残る。
タクシー、信号で止まる。
夕方の街。
〇〇「焼肉楽しみ」
北斗「それな」
ぽつっと。
〇〇、また少し見る。
でもそれ以上は何も思わない。
タクシー、再び動く。
2人の距離。
変わってない。
でも
前より少しだけ自然。
静かなまま、
店へ向かっていく。
ーー
店前。
タクシー止まる。
運転手「到着しました」
〇〇「ありがとうございます」
ドア開く。
外、焼肉の匂い。
〇〇「もう美味しそう」
北斗「まだ食ってねぇだろ」
〇〇「匂いでわかる」
2人降りる。
少し遅れて
もう一台も到着。
風磨「おっ先着」
樹「早いな」
ジェシー「いい匂いする!」
〇〇「でしょ!」
店入る。
店員「いらっしゃいませ」
個室に案内される。
靴脱いで入る。
広めの個室。
テーブル囲む。
席どうするか一瞬迷う。
風磨「適当でいいだろ」
ジェシー「俺ここー」
樹「じゃあこっち」
自然に座っていく。
結果
風磨・樹・ジェシー
向かいに
〇〇・北斗
になる。
〇〇、特に気にせず座る。
北斗も普通に座る。
メニュー開く。
〇〇「全部食べたい」
樹「絶対無理」
ジェシー「タンはマスト」
風磨「カルビも」
北斗「あとハラミ」
〇〇「全部頼も」
樹「だから無理だって」
〇〇「食べれるもん!」
風磨「じゃあ多めで」
店員呼ぶ。
注文どんどん決まる。
ジェシー「ご飯もいく?」
〇〇「いく!」
北斗「最初から飛ばすな」
〇〇「お腹すいてるの!」
ドリンク来る。
風磨「とりあえず」
全員グラス持つ。
風磨「お疲れ」
全員「お疲れー」
軽く乾杯。
〇〇、一口飲む。
〇〇「生き返る」
樹「大げさ」
ジェシー「わかるけどね」
肉、運ばれてくる。
ジュウって音。
煙上がる。
〇〇「やば」
目キラキラ。
北斗、網見ながら
無言で肉置く。
手慣れてる。
〇〇「焼くのうま」
北斗「普通」
樹「任せた」
ジェシー「焼肉奉行」
北斗「違う」
でも焼いてる。
〇〇、じーっと見てる。
〇〇「まだ?」
北斗「早い」
〇〇「食べたい」
北斗「まだ」
〇〇「……」
待つ。
数秒後。
北斗「いいよ」
〇〇「やった」
すぐ取る。
でも
〇〇「熱っ」
すぐ引っ込める。
樹「猫舌じゃん」
ジェシー「かわいいな」
〇〇「熱いの無理!」
風磨「学べよ」
北斗、少しだけ息吐く。
肉ひっくり返す。
少し冷まして
〇〇の前に置く。
北斗「これならいける」
〇〇「……」
一瞬だけ見る。
〇〇「ありがと」
普通に食べる。
〇〇「おいしい!」
テンション上がる。
ジェシー「いいね〜」
樹「平和だな」
風磨「片付けの後の飯は格別」
〇〇「ほんとそれ!」
笑い合う。
空気、完全にゆるい。
北斗も普通に混ざってる。
特別じゃない。
でも
自然に隣にいる。
〇〇も
特に気にしてない。
ただ楽しいだけ。
夜、
少しずつ深まっていく。
ーーーーーーーーー
北斗side
個室。
焼肉の煙。
笑い声。
いつもと同じ空気。
でも
北斗だけ違う。
北斗「……」
トング持ったまま、
網見てるふり。
でも
意識はずっと隣。
〇〇。
普通に食べてる。
普通に笑ってる。
樹「それ焼きすぎ」
ジェシー「大丈夫大丈夫!」
風磨「絶対固い」
〇〇「え、ちょうだい!」
いつものテンション。
変わらない。
距離も
関係も
何も変わってない。
なのに
北斗の中だけ
落ち着かない。
(近い)
物理的な距離。
さっきからずっと。
肩、
少し当たる。
〇〇、気にしてない。
そのまま。
北斗だけ
無駄に意識する。
(なんでだよ)
自分でもわかってる。
今日一日。
部屋。
タクシー。
今。
ずっと一緒。
ただそれだけ。
特別なことは何もない。
でも
(なんか違う)
〇〇「これ焼けた?」
急に近くなる。
北斗「……まだ」
声、少しだけ低くなる。
〇〇「そっか」
すぐ離れる。
それだけなのに
妙に残る。
北斗、肉ひっくり返す。
(落ち着け)
普通にやればいい。
今まで通り。
それだけ。
風磨「北斗それ焦げてる」
北斗「あ?」
網見る。
ほんとに少し焦げてる。
樹「珍しいな」
ジェシー「ミスった?」
北斗「……うるせぇ」
取り替える。
(何やってんだよ)
自分でわかるくらい
集中できてない。
隣。
〇〇、また笑ってる。
北斗、チラッと見る。
何も考えてない顔。
楽しそう。
それ見て
少しだけ息抜く。
(……楽しそうならいい)
それだけでいいはずなのに
また
距離が近くなる。
肩、軽く当たる。
〇〇「ごめん」
全然気にしてない声。
北斗「……別に」
でも
内心
(いや気にするだろ)
無駄に意識する自分。
〇〇は何も変わってない。
いつも通り。
北斗だけが
勝手に変わってる。
グラス持つ。
一口飲む。
落ち着こうとする。
でも
隣の存在、
ずっと消えない。
(……めんどくせぇ)
小さく思う。
でも
嫌じゃない。
むしろ
この距離、
離したくないとも思ってる。
矛盾。
北斗「……」
また網に視線戻す。
普通を装う。
個室。
焼肉の煙。
笑い声。
いつもと同じ空気。
でも
北斗だけ違う。
北斗「……」
トング持ったまま、
網見てるふり。
でも
意識はずっと隣。
〇〇。
普通に食べてる。
普通に笑ってる。
樹「それ焼きすぎ」
ジェシー「大丈夫大丈夫!」
風磨「絶対固い」
〇〇「え、ちょうだい!」
いつものテンション。
変わらない。
距離も
関係も
何も変わってない。
なのに
北斗の中だけ
落ち着かない。
(近い)
物理的な距離。
さっきからずっと。
肩、
少し当たる。
〇〇、気にしてない。
そのまま。
北斗だけ
無駄に意識する。
(なんでだよ)
自分でもわかってる。
今日一日。
部屋。
タクシー。
今。
ずっと一緒。
ただそれだけ。
特別なことは何もない。
でも
(なんか違う)
〇〇「これ焼けた?」
急に近くなる。
北斗「……まだ」
声、少しだけ低くなる。
〇〇「そっか」
すぐ離れる。
それだけなのに
妙に残る。
北斗、肉ひっくり返す。
(落ち着け)
普通にやればいい。
今まで通り。
それだけ。
風磨「北斗それ焦げてる」
北斗「あ?」
網見る。
ほんとに少し焦げてる。
樹「珍しいな」
ジェシー「ミスった?」
北斗「……うるせぇ」
取り替える。
(何やってんだよ)
自分でわかるくらい
集中できてない。
隣。
〇〇、また笑ってる。
北斗、チラッと見る。
何も考えてない顔。
楽しそう。
それ見て
少しだけ息抜く。
(……楽しそうならいい)
それだけでいいはずなのに
また
距離が近くなる。
肩、軽く当たる。
〇〇「ごめん」
全然気にしてない声。
北斗「……別に」
でも
内心
(いや気にするだろ)
無駄に意識する自分。
〇〇は何も変わってない。
いつも通り。
北斗だけが
勝手に変わってる。
グラス持つ。
一口飲む。
落ち着こうとする。
でも
隣の存在、
ずっと消えない。
(……めんどくせぇ)
小さく思う。
でも
嫌じゃない。
むしろ
この距離、
離したくないとも思ってる。
矛盾。
北斗「……」
また網に視線戻す。
普通を装う。
でも
心の中だけ
ずっと
騒がしいまま。
ーーー
終盤。
肉もひと段落。
テーブルの上、
ちょっとゆるい空気。
ジェシー「こういう時さ」
ジェシー「恋バナしよ」
〇〇「する!!」
即。
樹「さっきと真逆」
風磨「大好きじゃねぇか」
〇〇「恋バナ大好き!」
身乗り出す。
距離、自然に北斗側に寄る。
北斗「……」
さっき自分で詰めた距離。
そのままキープ。
〇〇、気にしてない。
〇〇「誰からいく?」
ジェシー「お前だろ」
〇〇「なんで!」
樹「一番ノリいいから」
〇〇「いいよ!」
軽い。
ほんとに好きなやつ。
〇〇「好きなタイプね〜」
少し考える。
でもすぐ出てくる。
〇〇「一緒にいて楽しい人!」
ジェシー「出た」
樹「安定」
風磨「それ一週間前も言ってた」
〇〇「大事じゃん!」
笑う。
〇〇「あと明るい人!」
ジェシー「俺だ」
樹「黙れ」
〇〇「あと面白い人!」
風磨「ハードル高いな」
〇〇「つまんないの無理」
即答。
全員笑う。
北斗、グラス持つ。
一口。
聞いてる。
〇〇「あとね」
少しだけ考える。
〇〇「ちゃんとしてる人も好き」
ぽつっと。
北斗、ほんの一瞬だけ止まる。
でも表には出さない。
〇〇「ちゃんとしてるの普通にいいじゃん」
樹「最低条件」
ジェシー「俺ら無理だな」
〇〇「うん」
即。
全員「ひど」
笑い。
〇〇「でも一番は楽しい人!」
ブレない。
ジェシー「結局そこ」
風磨「浅そうでちゃんとしてる」
〇〇「浅くない!」
〇〇、笑いながら
北斗の方に少し寄る。
肩、また軽く当たる。
〇〇、気にしてない。
北斗「……」
そのまま。
避けない。
むしろ少しだけ合わせる。
距離、そのまま固定。
樹「じゃあさ」
樹「今気になる人は?」
〇〇「いない!」
即。
ジェシー「早っ」
風磨「ほんとかよ」
〇〇「ほんと!」
迷いなし。
北斗、少しだけ視線落とす。
でもすぐ戻す。
(まあ…そうだよな)
わかってる。
〇〇「でもさ〜」
まだ続く。
〇〇「最近さ」
〇〇「一緒にいて楽しい人いいなって思う」
ジェシー「さっきからそれ」
樹「重要なんだろ」
〇〇「重要!」
〇〇、笑う。
完全に無自覚。
北斗の隣で
普通に恋バナしてる。
北斗は
その全部聞きながら
少しだけ距離を保つ。
近いまま。
変えた位置、
戻さない。
風磨、ちらっと北斗見る。
何も言わない。
でも分かってる。
北斗は
ちゃんと変えてる。
ジェシー「そういえばさ」
ジェシー「最近〇〇忙しすぎじゃない?」
〇〇「んー、まあね」
軽い返事。
風磨「まあでもいつも通りだろ」
樹「いや今回ちょっと違くね?」
〇〇「え?」
樹「詰め込みすぎ」
〇〇「そんなことない」
即否定。
北斗、ふと顔上げる。
風磨「いやある」
風磨「この前もさ」
風磨「寝てなかっただろ」
〇〇「寝てた!」
樹「目死んでた」
ジェシー「それは思った」
〇〇「うそでしょ」
笑ってるけど
少しだけ間。
風磨「ちゃんと休めよ」
〇〇「休んでるって」
風磨「嘘つけ」
〇〇「ほんと!」
言い切る。
でも
ちょっとだけ強い。
空気、少し変わる。
北斗、黙ってる。
でも見てる。
〇〇「大丈夫だし」
〇〇「普通にできてるし」
言葉、少し早い。
樹「いや出来てるとかじゃなくてさ」
〇〇「大丈夫だから」
被せる。
風磨、少しだけため息。
風磨「そういうとこだよ」
〇〇「なにが」
風磨「一人で抱えるとこ」
〇〇「抱えてない」
即。
でも
完全否定。
ジェシー、少しだけ空気読む。
ジェシー「まあまあ」
軽く入る。
でも
ちょっとピリつく。
北斗、グラス置く。
小さく音。
全員、ほんの一瞬だけそっち見る。
北斗「……別に」
低く。
〇〇の方見ないまま。
北斗「無理してるかどうかは」
北斗「自分が一番分かるだろ」
静か。
強くはない。
でも逃がさない言い方。
〇〇「……してない」
少しだけ間があってから。
北斗「ならいい」
それだけ。
それ以上言わない。
でも
終わらせない空気。
〇〇、少しだけ視線落とす。
数秒。
〇〇「……ちょっとだけ」
ぽつっと。
風磨、すぐ見る。
〇〇「ちょっとだけ忙しいだけ」
言い直す。
完全には認めない。
でもさっきより弱い。
樹「それが詰め込みって言ってんの」
〇〇「うるさい」
少しムキになる。
でも
さっきほど強くない。
ジェシー「でもちゃんと食べてるなら大丈夫!」
空気戻そうとする。
〇〇「食べてる!」
乗る。
少し戻る。
風磨「あと寝ろ」
〇〇「寝る!」
樹「信用ゼロ」
〇〇「寝るって!」
笑いに戻る。
でも
完全じゃない。
ほんの少しだけ残る。
北斗、何も言わない。
ただ隣で
〇〇のグラスが空いてるの見て
自然に水足す。
何も言わず。
〇〇「……ありがと」
小さく。
北斗「別に」
いつも通り。
でも
さっきより
ほんの少しだけ
空気が違う。
軽いままじゃない。
少しだけ
踏み込んだ分だけ
残る余韻。
ーーーーーーー
個室。
食べ終わり。
テーブルの上、
空いた皿とグラス。
さっきまでのわちゃわちゃも
少し落ち着いてる。
ジェシー「食った〜」
樹「普通に食いすぎた」
風磨「満腹」
〇〇「おいしかった」
満足そう。
でも
さっきの空気、
ほんの少しだけ残ってる。
重くはない。
でも完全に消えてもない。
風磨「そろそろ出るか」
樹「だな」
ジェシー「二軒目は?」
〇〇「無理」
即。
樹「早」
〇〇「眠い」
風磨「ほらな」
〇〇「寝るもん」
さっきの流れ思い出す。
樹「絶対寝ないだろ」
〇〇「寝る!」
軽く言い返す。
でも
さっきより少し素直。
北斗、何も言わない。
ただ立ち上がる。
会計、風磨がまとめる。
風磨「ここ俺でいい」
樹「サンキュー」
ジェシー「さすが」
〇〇「あとで送る」
風磨「いらん」
〇〇「送る!」
風磨「いいって」
軽く言い合い。
でも空気は柔らかい。
店出る。
夜。
少しひんやりした空気。
ジェシー「気持ちいい〜」
樹「食った後の外な」
〇〇「ねむ…」
あくびこらえる。
風磨「ほら」
樹「だから言っただろ」
〇〇「寝るって言ったじゃん」
ジェシー「もう眠そう」
〇〇「眠い」
正直。
さっきより無理してない。
風磨、少しだけ安心した顔。
風磨「じゃあ解散するか」
樹「だな」
ジェシー「タクシー拾う?」
風磨「ここでいいだろ」
それぞれスマホ見る。
帰り方確認。
〇〇、ぼーっとしてる。
北斗、横目で見る。
少し間。
北斗「送る」
ぽつっと。
〇〇「え?」
風磨、すぐ反応する。
風磨「いいじゃん」
〇〇「いや大丈夫」
北斗「方向一緒だろ」
〇〇「……まあ」
樹「決まりじゃん」
ジェシー「優しい〜」
北斗「別に」
いつものトーン。
でも
自然に決める。
風磨「じゃあ俺らこっち」
樹「おつかれ」
ジェシー「またなー」
〇〇「またね!」
手振る。
4人と2人に分かれる。
少し静かになる。
夜の道。
〇〇「ごめんね」
北斗「何が」
〇〇「なんか送らせて」
北斗「別に」
歩き出す。
ゆっくり。
〇〇、少しだけふらっとする。
北斗、何も言わず
歩幅合わせる。
〇〇「今日さ」
ぽつっと。
北斗「ん?」
〇〇「楽しかった」
素直。
北斗「……ならよかった」
短い。
でも
ちゃんと返す。
少し間。
〇〇「ちゃんと寝るね」
北斗、少しだけ視線向ける。
北斗「寝ろ」
〇〇「うん」
軽く笑う。
さっきの話、
完全には消えてない。
でも
ちゃんと受け取ってる。
北斗「……」
それ見て
少しだけ安心する。
2人、並んで歩く。
距離は近いまま。
でも
〇〇はただ自然にいるだけ。
北斗だけが
少しずつ変えてる。
静かな夜。
そのまま続いていく🌙
ーーーー
夜道。
静か。
街灯の下、
2人並んで歩いてる。
さっきまでの空気、
落ち着いてる。
〇〇「今日ほんとありがとね」
北斗「だからいいって」
いつも通り。
少し間。
〇〇、ふとスマホ見る。
ピロン
通知。
〇〇「……あ」
立ち止まる。
北斗も止まる。
〇〇、画面見たまま固まる。
北斗「どうした」
〇〇「……」
返事ない。
北斗、少しだけ覗く。
〇〇のスマホ。
名前。
廉。
その瞬間
空気変わる。
〇〇、ゆっくり息吐く。
〇〇「……今?」
小さく。
震えてるわけじゃない。
でも
明らかにトーン違う。
北斗「……出るのか」
低い声。
〇〇、少しだけ迷う。
でも
〇〇「出る」
即ではない。
でも決める。
通話ボタン。
コール音。
北斗、何も言わない。
でも
その場から動かない。
廉「もしもし」
〇〇「もしもし」
声、少しだけ変わる。
柔らかい。
北斗、視線逸らす。
でも全部聞こえる距離。
廉「今大丈夫?」
〇〇「うん、大丈夫」
“うん”が自然。
北斗の中、
ざわつく。
廉「急にごめん」
〇〇「ううん」
短い会話。
でも
温度が違う。
北斗、拳少し握る。
(……これか)
あの曲。
あの空気。
全部繋がる。
〇〇「どうしたの?」
優しい声。
北斗の知らないトーン。
廉「ちょっと話したくて」
間。
〇〇「……そっか」
その“そっか”、
軽くない。
北斗、息止まる。
何も言えない。
ただ立ってる。
蚊帳の外。
完全に。
夜の音だけ流れる。
〇〇「今外なんだけど」
廉「誰かいる?」
一瞬。
ほんの一瞬。
〇〇、北斗見る。
でも
〇〇「うん、いる」
隠さない。
廉「そっか」
少しの沈黙。
〇〇「……あとでかけ直す?」
迷い。
北斗、視線逸らす。
聞こえてる。
でも
何も言わない。
廉「いや」
廉「そのままでいい」
空気、一気に張る。
〇〇「え?」
廉「ちょっとだけでいいから」
その言い方。
逃げない。
北斗の中、
ざわっとする。
〇〇「……わかった」
断らない。
そのまま会話続く。
北斗、
そこにいるのに
いないみたいな距離。
でも
離れない。
離れられない。
(……最悪だな)
小さく思う。
でも
目は逸らさない。
〇〇の横に立ったまま。
空気、完全に変わる。
ここから
何かが崩れ始める。
ーー
〇〇「どうしたのほんとに」
少し静かに。
さっきより落ち着いた声。
廉「昨日さ」
間。
廉「テレビ見た」
〇〇「……あー」
少しだけ苦笑い。
〇〇「恥ずかしいやつ?」
廉「うん」
短い。
でも優しい。
北斗、横で聞いてる。
何も言わない。
でも
全部入ってくる。
廉「変わってないなって思った」
〇〇「なにそれ」
軽く笑う。
でも
どこか安心した笑い。
北斗、視線落とす。
廉「いい意味で」
〇〇「ほんと?」
廉「うん」
間。
その沈黙が
重い。
北斗の中で。
廉「無理してない?」
〇〇「してないよ」
一瞬の返し。
でも
ほんの少し遅れる。
北斗、わかる。
さっきの流れ。
同じ質問。
同じ答え。
でも
今の方が柔らかい。
廉「そっか」
責めない。
ただ受け取る。
〇〇「……ちょっとだけ忙しいけどね」
ぽつっと。
北斗、目を上げる。
さっきより
素直な言い方。
相手が違うだけで
こんなに違う。
廉「だろうな」
〇〇「うん」
短い会話。
でも
距離が近い。
北斗には入れない距離。
廉「ちゃんと寝てる?」
〇〇「寝る予定」
少し笑う。
廉「予定かよ」
〇〇「寝るって」
やり取り、
自然すぎる。
北斗、拳緩める。
でも
胸の奥、
ざわついたまま。
廉「さ」
少しトーン変わる。
〇〇「ん?」
廉「今さ」
間。
北斗、無意識に顔上げる。
廉「隣にいるやつって」
空気、一気に張る。
〇〇「……」
答えない。
一瞬だけ北斗見る。
その視線。
北斗、動けない。
廉「……そっか」
聞かなくても分かった感じ。
〇〇「違うの」
反射で言う。
その一言。
北斗の中、
一瞬止まる。
〇〇「そういうんじゃないよ」
続ける。
無意識。
守るみたいに。
でも
その言葉、
刺さる。
北斗「……」
顔に出さない。
でも
ちゃんと聞いてる。
廉「うん」
否定もしない。
廉「分かってる」
その言い方が
余計に残る。
〇〇「……」
少しだけ黙る。
〇〇「じゃあまた連絡するね」
自分から切る方向。
廉「うん」
廉「無理すんなよ」
〇〇「うん」
通話、切れる。
静寂。
夜の音だけ戻る。
〇〇、スマホ下ろす。
少しだけ息吐く。
〇〇「……ごめん」
北斗「何が」
〇〇「待たせて」
北斗「別に」
いつも通り。
でも
空気は違う。
〇〇「……」
少し迷う。
〇〇「今のさ」
言いかける。
北斗「いい」
遮る。
優しくじゃない。
でも強くもない。
北斗「説明いらない」
それ以上踏み込ませない。
〇〇「……そっか」
引く。
あっさり。
その距離。
また戻る。
でも
さっきとは違う。
北斗「帰るぞ」
歩き出す。
〇〇もついてくる。
並ぶ。
距離は同じ。
でも
中身は全然違う。
さっきまでの近さじゃない。
北斗の中、
はっきり残ってる。
“違うの”
“そういうんじゃない”
その言葉。
分かってたこと。
でも
はっきり言われた。
それでも
離れない。
隣を歩く。
夜の空気、
さっきより少し重い。
ここから
完全に
流れが変わり始めてる。
ーーーー
さっきまでの空気、
完全には戻らない。
2人、並んで歩いてる。
でも
さっきとは違う距離。
物理的には同じ。
でも
中身が遠い。
〇〇「……」
少しだけ何か言おうとする。
でも
言葉選んでる。
北斗「……」
先に口開く。
北斗「元カレだろ」
〇〇「……」
一瞬止まる。
でも
隠さない。
〇〇「うん」
北斗「まだ連絡取ってんのか」
〇〇「たまに」
淡々。
隠す気もない。
北斗、少しだけ笑う。
北斗「へぇ」
軽い。
でも軽くない。
〇〇「……なに」
北斗「別に」
それ以上言わない。
でも
止まらない。
北斗「未練ある?」
直球。
〇〇、少しだけ驚く。
〇〇「え」
北斗「あるのかって聞いてんだけど」
逃がさない。
〇〇「……」
少し考える。
でも
逃げない。
〇〇「ない」
はっきり。
北斗「ほんとかよ」
〇〇「ほんと」
北斗、少しだけ息吐く。
北斗「さっきの声」
ぽつっと。
〇〇「……なに」
北斗「“ほんと”にないやつの声じゃなかった」
静かに刺す。
〇〇、止まる。
足も止まる。
〇〇「……」
図星ではない。
でも
完全に違うとも言えない。
〇〇「……わかんない」
正直に出る。
北斗も止まる。
〇〇「未練っていうか」
言葉探す。
〇〇「なんか…」
〇〇「普通に大事な人ではある」
その言い方。
北斗、視線逸らす。
(ああ、そういうやつか)
理解する。
一番厄介なやつ。
切れてない関係。
〇〇「でも戻りたいとかじゃない」
〇〇「ほんとに」
付け足す。
北斗「……」
少しだけ沈黙。
北斗「じゃあなんで」
視線戻す。
北斗「そんな顔すんだよ」
〇〇「え」
北斗「電話のとき」
〇〇「……」
自覚なかった顔。
言われて初めて止まる。
〇〇「……そんな顔してた?」
北斗「してた」
即。
〇〇、少しだけ困る。
〇〇「……わかんない」
またそれ。
北斗、少しだけ苛立つ。
でも
抑える。
北斗「だろうな」
低く。
〇〇「……なにそれ」
北斗「自覚ないのが一番めんどい」
その言い方。
少しだけ強い。
〇〇、少しムッとする。
〇〇「めんどくさくないし」
北斗「めんどくせぇよ」
被せる。
空気、
一気に張る。
〇〇「なんで北斗に言われなきゃいけないの」
初めてぶつかる。
北斗、一瞬止まる。
でも引かない。
北斗「見てて思うから言ってんだろ」
〇〇「見ててってなに」
北斗「そのまんま」
〇〇「意味わかんない」
少し強い。
〇〇「別に誰にどう思っててもよくない?」
北斗「よくねぇよ」
即。
〇〇、固まる。
北斗、自分でも止まらない。
北斗「中途半端に残して」
北斗「無自覚で振り回して」
北斗「それで平気な顔してんのが一番タチ悪い」
言い切る。
静かに。
でも
重い。
〇〇「……」
言い返せない。
図星の部分もある。
でも
全部じゃない。
〇〇「……そんなつもりじゃない」
小さく。
北斗「分かってる」
すぐ。
北斗「だからめんどくせぇって言ってんだよ」
〇〇「……」
沈黙。
夜の音だけ。
さっきまでの距離、
完全に崩れる。
〇〇「……帰る」
ぽつっと。
背向ける。
北斗、動かない。
呼ばない。
止めない。
〇〇、そのまま歩いてく。
一人で。
北斗、立ったまま。
動けない。
(……最悪)
自分でも分かってる。
言いすぎた。
でも
止まらなかった。
遠くなる背中。
北斗、見てるだけ。
追わない。
追えない。
ここで
完全に一度
関係が崩れる。
静かな夜。
さっきまで隣にいた距離が
一気に
遠くなる。
でもその前に、、、
北斗、少しだけ苛立つ。
でも
抑える。
北斗「だろうな」
低く。
〇〇「……なにそれ」
北斗「自覚ないのが一番めんどい」
その言い方。
少しだけ強い。
〇〇、少しムッとする。
〇〇「めんどくさくないし」
北斗「めんどくせぇよ」
被せる。
空気、
一気に張る。
〇〇「なんで北斗に言われなきゃいけないの」
初めてぶつかる。
北斗、一瞬止まる。
でも引かない。
北斗「見てて思うから言ってんだろ」
〇〇「見ててってなに」
北斗「そのまんま」
〇〇「意味わかんない」
少し強い。
〇〇「別に誰にどう思っててもよくない?」
北斗「よくねぇよ」
即。
〇〇、固まる。
北斗、自分でも止まらない。
北斗「中途半端に残して」
北斗「無自覚で振り回して」
北斗「それで平気な顔してんのが一番タチ悪い」
言い切る。
静かに。
でも
重い。
〇〇「……」
言い返せない。
図星の部分もある。
でも
全部じゃない。
〇〇「……そんなつもりじゃない」
小さく。
北斗「分かってる」
すぐ。
北斗「だからめんどくせぇって言ってんだよ」
〇〇「……」
沈黙。
夜の音だけ。
さっきまでの距離、
完全に崩れる。
〇〇「……帰る」
ぽつっと。
背向ける。
北斗、動かない。
呼ばない。
止めない。
〇〇、そのまま歩いてく。
一人で。
北斗、立ったまま。
動けない。
(……最悪)
自分でも分かってる。
言いすぎた。
でも
止まらなかった。
遠くなる背中。
北斗、見てるだけ。
追わない。
追えない。
ここで
完全に一度
関係が崩れる。
静かな夜。
さっきまで隣にいた距離が
一気に
遠くなる。
でも、その前に、、、
崩れる前に
〇〇の背中、
離れていく。
北斗「……」
立ち止まったまま、
数秒。
さっきの自分の言葉、
頭の中で何度もリピートされる。
(やりすぎた)
分かってる。
このまま行かせたら
終わる。
北斗「……っ」
一歩、踏み出す。
そのまま
走る。
距離、詰める。
北斗「〇〇」
呼ぶ。
〇〇、止まらない。
北斗「おい!」
少し強め。
〇〇、足止まる。
でも振り返らない。
北斗、追いつく。
少し息上がってる。
北斗「……」
一瞬、言葉詰まる。
でも逃げない。
北斗「悪い」
先に出る。
短く。
〇〇、ゆっくり振り返る。
表情、固い。
〇〇「……なにが」
北斗「さっきの」
北斗「言い方」
ちゃんと向き合う。
北斗「言いすぎた」
〇〇「……」
少し間。
〇〇「言いすぎ」
静かに返す。
でも
怒鳴ってない。
北斗「うん」
否定しない。
北斗「悪かった」
もう一度。
〇〇、少しだけ視線落とす。
完全にはほどけてない。
〇〇「……別にいいけど」
よくない。
でもそう言う。
北斗「よくねぇだろ」
小さく返す。
〇〇「……」
また沈黙。
北斗、少しだけ息吐く。
北斗「でも」
〇〇、顔上げる。
北斗「思ってることは変わんねぇ」
まっすぐ。
逃げない。
〇〇「……」
一瞬だけ表情揺れる。
北斗「中途半端にしてんのも」
北斗「自覚ないのも」
北斗「めんどくせぇのは本音」
静かに。
でもさっきより柔らかい。
〇〇「……ひど」
少しだけムッとする。
でも
完全に怒ってない。
北斗「分かってる」
北斗「ひどいこと言ってんのは」
認める。
〇〇「じゃあ言うなよ」
北斗「無理」
即。
〇〇「なんで」
北斗、少しだけ間を置く。
北斗「見てらんねぇから」
〇〇「……え」
初めて引っかかる。
北斗「そのままにしてるの」
北斗「見てる側が一番しんどい」
本音。
〇〇、少しだけ黙る。
〇〇「……別に北斗に関係なくない?」
刺す。
でも弱い。
北斗、一瞬だけ目細める。
でも
引かない。
北斗「関係あるから言ってる」
その一言。
空気、止まる。
〇〇「……」
何も返せない。
北斗「……」
それ以上は言わない。
言いすぎるライン、
ちゃんと止まる。
数秒の沈黙。
〇〇、ふっと息吐く。
〇〇「……ほんと意味わかんない」
でも
さっきよりトーン落ちてる。
〇〇「でも」
小さく続ける。
〇〇「ごめん」
北斗「なんでお前が謝んだよ」
〇〇「だって」
〇〇「なんか…」
言葉探す。
〇〇「自分でもよく分かってないし」
正直。
北斗、少しだけ力抜ける。
北斗「だろうな」
〇〇「それやめて」
北斗「悪い」
少しだけ空気緩む。
完全には戻らない。
でも
さっきよりはマシ。
〇〇「……帰る」
今度はちゃんと
向き直って言う。
北斗「送る」
〇〇「いい」
北斗「いいから」
〇〇「……」
少し迷う。
でも
拒否しきらない。
〇〇「……じゃあ途中まで」
北斗「十分」
2人、また歩き出す。
さっきより少し距離ある。
でも
完全に離れてはいない。
北斗、横目で見る。
〇〇、前向いたまま。
何か考えてる。
さっきの言葉、
ちゃんと残ってる。
北斗も
同じ。
さっきみたいな距離じゃない。
でも
終わってもない。
ギリギリで
繋ぎ止めたまま
夜が続いていく。
ーーーーーーーーー
北斗side
北斗の家。
ドア閉まる音。
静かな部屋。
北斗「……」
靴もそのまま、
ソファに座る。
頭の中、
さっきのまま。
(言いすぎた)
(でも間違ってない)
ぐちゃぐちゃ。
北斗、スマホ取る。
少し迷う。
でも
発信。
風磨。
コール。
数秒。
風磨「もしもし」
少し騒がしい。
車の音。
北斗「今どこ」
風磨「タクシー」
ジェシー「おー北斗〜」
樹「スピーカーにしろ」
ガサッ
風磨「はいスピーカー」
北斗「……」
一瞬黙る。
ジェシー「なんかあった?」
樹「声で分かるわ」
北斗、息吐く。
北斗「〇〇とさっき別れた後」
風磨「うん」
北斗「やらかした」
即。
ジェシー「え?」
樹「何した」
北斗「言いすぎた」
風磨「どのレベル」
北斗「普通にキレた」
数秒沈黙。
ジェシー「うわぁ…」
樹「何言った」
北斗「中途半端だとか」
北斗「無自覚で振り回してるとか」
北斗「めんどくせぇって」
ジェシー「全部言ってるじゃん」
樹「フルコンボだな」
風磨「……で?」
北斗「一回帰ろうとして」
北斗「追いかけて謝った」
風磨「謝ったんだ」
北斗「謝った」
樹「珍し」
北斗「うるせぇ」
ジェシー「でどうなったの」
北斗「完全には戻ってない」
正直。
風磨「まあそうだろうな」
北斗「でも」
少し間。
北斗「繋がってはいる」
風磨「ふーん」
樹「ギリだな」
ジェシー「危な」
タクシーの中、
少し静かになる。
風磨「で、なんでキレた」
核心。
北斗、少し黙る。
でも
逃げない。
北斗「電話」
樹「あー」
ジェシー「例の人?」
北斗「元カレ」
風磨「やっぱりな」
北斗「その場で出て」
北斗「普通に話してて」
言葉選ばない。
そのまま。
北斗「“そういうんじゃない”って言ってた」
少しだけ間。
樹「……きつ」
ジェシー「それはきつい」
風磨「で、ムカついたと」
北斗「……ああ」
認める。
北斗「ムカついたし」
北斗「見てらんなかった」
静かに。
風磨「好きだからな」
即。
北斗「……」
否定しない。
ジェシー「そりゃなるわ」
樹「でも言い方な」
北斗「分かってる」
被せる。
北斗「分かってるけど」
北斗「止まんなかった」
本音。
タクシーの中、
少しだけ静か。
風磨「まあ」
風磨「一回は通るとこだな」
樹「避けては通れないやつ」
ジェシー「むしろ今でよかったんじゃない?」
北斗「……どういう意味」
ジェシー「溜めて爆発するよりマシ」
樹「関係壊れる前に出た感じ」
風磨「壊れかけたけどな」
北斗「うるせぇ」
でも否定できない。
風磨「で?」
風磨「これからどうすんの」
北斗「……」
少し考える。
北斗「変える」
短く。
樹「何を」
北斗「立ち位置」
ジェシー「お」
風磨「やっとか」
北斗「いいやつポジやめる」
あの言葉。
ちゃんと残ってる。
風磨「遅い」
北斗「うるせぇ」
樹「でも今日で変わっただろ」
北斗「……少しは」
〇〇との距離。
さっきまでと違う。
確実に。
ジェシー「どうなるんだろうな〜」
軽く言う。
でも
全員わかってる。
簡単じゃない。
風磨「まあ」
風磨「まだ終わってないならいいだろ」
北斗「……ああ」
小さく。
でも確実に。
繋がってる。
ギリギリでも。
北斗、天井見上げる。
今日一日、
全部思い出す。
(……めんどくせぇ)
小さく笑う。
でも
やめる気はない。
ここから
ちゃんと変える。
電話の向こう、
まだざわざわしてる。
でも
北斗の中は
少しだけ
整理され始めてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
☀️朝。
事務所の一角。
樹と風磨。
樹「なあ」
風磨「なに」
樹「このまま放置すんの無理だろ」
風磨「まぁな」
樹「北斗も〇〇もどっちもめんどい状態入ってる」
風磨「否定できない」
樹「だから一回リセットしたい」
風磨「で?」
樹「サウナ」
風磨「急だな」
樹「こういう時サウナだろ」
風磨「雑」
樹「でも効く」
風磨、少し考える。
風磨「…誰で行く」
樹「俺、風磨、北斗」
風磨「うん」
樹「あと〇〇」
風磨「ハードすぎるだろ」
樹「だからだよ」
樹「逃げ場ない空間にする」
風磨「性格悪」
樹「お前もだろ」
風磨「否定しない」
樹「で、言ってくるわ」
風磨「いってこい」
ーーーーーーー
スタジオ。
〇〇、ソファで台本見てる。
樹「おつ」
〇〇「おつー」
顔上げる。
普通。
昨日のこと、
表には出てない。
樹「今日さ」
〇〇「なに」
樹「サウナ行かね?」
〇〇「行かない」
即。
樹「早」
〇〇「無理」
樹「なんで」
〇〇「だるい」
樹「即答すぎるだろ」
〇〇「だってだるいもん」
樹「メンバーは?」
〇〇「誰」
樹「俺と風磨と北斗」
一瞬。
ほんの一瞬だけ
間。
でも
〇〇「行かなーい」
変わらない。
樹「いやそこは迷えよ」
〇〇「迷わない!」
〇〇「普通に行かない」
バッサリ。
樹「はぁ…」
小さくため息。
そこに
きょも。
きょも「なにしてんの?」
樹「サウナ誘ってる」
きょも「誰」
樹「〇〇」
きょも「いいじゃん行けば」
〇〇「行かない」
きょも「なんで」
〇〇「だるい」
きょも「俺行くなら?」
〇〇「……え」
少しだけ反応。
きょも「俺も行くなら」
〇〇「……」
迷う。
さっきと違う間。
樹、すぐ見る。
きょも、何も言わず待つ。
〇〇「……きょも行くなら、ね?行くでしょ!」
樹「おい」
〇〇「行く!!」
決定。
樹、ニヤッとする。
樹「決まり」
〇〇「でも条件」
樹「なに」
〇〇「変な空気にしないで」
核心。
樹「無理」
即。
〇〇「は?」
樹「多少はなる」
〇〇「やだ」
きょも「大丈夫でしょ」
軽く入る。
〇〇、少し考える。
〇〇「……まぁいいや」
完全に割り切ってない。
でも逃げない。
樹「じゃあ後で連絡する」
〇〇「はーい」
また台本戻る。
でも
ほんの少しだけ
意識は別。
ーーーーーー
廊下。
樹、風磨のところに戻る。
樹「成功」
風磨「まじで?」
樹「きょも投入したらいけた」
風磨「天才かよ」
樹「だろ」
風磨「北斗には?」
樹「あとで言う」
風磨「楽しみだな」
樹「修羅場な」
風磨「間違いない」
でも
2人とも分かってる。
これはただのサウナじゃない。
ぶつかるための場。
そして
少しでも
進めるための場。
ーーーーーーーーー
北斗side
同じ日の少し後。
部屋の隅。
台本を開いてるけど、全然頭に入ってこない。
ページ、ずっと同じとこ。
指だけが、無意味にめくるふりをしてる。
そこに――
ガチャ。
ドアが開く音。
樹と風磨。
入ってきた瞬間、空気で分かる。
「あ、これ絶対なんかあるやつ」
視線は上げないまま、気配だけ拾う。
樹「北斗」
呼ばれる。
やっぱり来た。
北斗「なに」
顔は上げない。
でも、内心はもう構えてる。
樹「今日さ」
北斗「うん」
樹「サウナ行くんだけど」
そのワードで、
一瞬、手が止まる。
ほんの一瞬だけ。
すぐにまたページめくるふり。
北斗「へぇ」
興味ないフリ。
風磨「来るよな?」
北斗「行かない」
即答。
樹「早いって」
北斗「だるい」
さっきの〇〇と同じ理由。
自分でも分かってる。
逃げてる。
でも――
行けるわけない。
あのメンツで。
あの空間で。
平常でいられる自信がない。
樹「メンバー聞けよ」
北斗「聞かなくても分かる」
樹「言うわ」
北斗「いらない」
樹「俺と風磨と、」
北斗「うん」
樹「あと――〇〇」
その瞬間。
完全に、ページ止まる。
今度は隠せない。
数秒の沈黙。
でも。
北斗「……行かない」
絞り出すみたいに言う。
風磨「まだ言い切る?」
北斗「無理だろ」
初めて、顔上げる。
真っ直ぐ2人を見る。
北斗「そのメンツでサウナって何」
樹「だからだよ」
北斗「意味分かんねぇ」
樹「逃げんなって話」
核心。
一瞬、空気が重くなる。
北斗、視線逸らす。
北斗「逃げてねぇよ」
樹「逃げてる」
即。
北斗「……」
言い返せない。
分かってるから。
風磨「ちなみに」
間に入る。
風磨「〇〇来るぞ」
北斗「……は?」
思わず反応する。
北斗「来るわけないだろ」
樹「来る」
北斗「いや無理だって」
樹「きょもいる」
その一言。
全部、繋がる。
頭の中で一瞬で状況理解する。
「……あぁ、そういうことか」
小さく息吐く。
京本大我
北斗「ずる」
ぽつり。
樹「だろ?」
北斗「絶対それで来てるじゃん」
樹「正解」
風磨「分かりやすいよな」
北斗、少しだけ笑う。
でもその笑い、
すぐ消える。
来る。
〇〇が来る。
逃げ場ない場所に。
この状況で。
北斗「……最悪」
本音が漏れる。
樹「最高だろ」
北斗「お前らだけな」
風磨「で?」
少し前に出る。
風磨「どうすんの」
北斗「……」
沈黙。
頭の中、ぐちゃぐちゃ。
行きたくない。
でも。
行かなかったら――
確実に後悔する。
あいつがいるのに。
同じ場所にいられるのに。
逃げたまま終わる。
それだけは、
もっと嫌だ。
北斗「……行く」
小さく。
でもはっきり。
樹、ニヤッと笑う。
樹「だと思った」
北斗「うるせぇ」
風磨「決まりだな」
北斗、視線落とす。
拳、軽く握る。
もう逃げないって決めた。
でも。
怖いもんは怖い。
北斗「……マジでやめろよ変な空気」
樹「無理」
即。
北斗「だろうな」
苦笑。
風磨「まぁなんとかなる」
北斗「ならねぇよ」
でも。
どこかで分かってる。
これはただのサウナじゃない。
逃げ続けてたものと、
向き合う場所。
北斗「……めんどくせぇ日になりそう」
ぽつりと呟く。
樹「楽しみだな」
風磨「修羅場な」
北斗、目閉じる。
頭に浮かぶのは、
やっぱり〇〇で。
近くなる距離。
逃げられない空間。
何も起きないわけがない。
北斗「……来るんだよな」
確認みたいに呟く。
樹「来る」
即答。
その一言で、
もう覚悟は決まる。
北斗「……そっか」
静かに息を吐く。
その顔は、
少しだけ――
いつもより、真剣だった。
ーー
その数時間後。
仕事終わり。
楽屋に一人。
静かすぎる空間。
さっきまで人がいたのに、
急に現実に戻された感じ。
ソファに座って、
スマホを手に持ったまま固まる。
通知は特にない。
でも、落ち着かない。
画面、何回もつけて、
何回も消して。
意味ないのに。
「……何してんだろ」
小さく呟く。
分かってる。
原因は全部――〇〇。
サウナ、行くって決めたくせに、
今になってまた考えてる。
行ったらどうなるか。
あいつ、どんな顔して来るか。
普通に笑うのか。
何もなかったみたいに。
それとも――
「……いや、考えんな」
頭振る。
考えたって仕方ない。
でも止まらない。
あの場に、廉はいない。
それだけで、
少しだけ気が楽な自分もいる。
「……最低だな」
苦笑。
そんなことで安心してる自分。
でも同時に思う。
じゃあ、だからって何が変わる?
〇〇の中での自分の立ち位置は、
何も変わらない。
“戦友”
それ以上でも以下でもない。
それが一番分かってるのは、自分。
「……はぁ」
深く息吐く。
その時――
スマホが震える。
樹から。
〈時間決まった。後で送る〉
短い一文。
北斗「雑だな」
思わず笑う。
でも、その一文で
一気に現実感が増す。
逃げられない。
もう決まってる。
北斗「……ほんとにやるんだな」
小さく呟く。
既読つけて、
返事はしない。
代わりに、スマホをテーブルに置く。
視線、天井へ。
数秒、無言。
――行くって決めた。
だったらもう、
中途半端はやめる。
北斗「……普通でいろ」
自分に言い聞かせる。
変に意識するな。
距離も、空気も、
いつも通りでいい。
それが一番いい。
それが一番――安全。
でも。
「……無理だろ」
すぐに否定する。
あの距離で、
あいつ目の前にして、
何も感じないわけがない。
むしろ、
隠す方がしんどい。
「……どうすりゃいいんだよ」
正解なんてない。
分かってる。
でも探してしまう。
少しでも楽な選択肢。
その時――
またスマホが震える。
今度はグループ。
樹、風磨、きょも、北斗。
そこに――〇〇の名前も追加される。
一瞬、指止まる。
開くの、少しだけ躊躇う。
でも、結局タップする。
樹〈18時、いつものとこ〉
風磨〈遅れんなよ〉
きょも〈楽しみだね〉
そして――
〇〇〈了解〉
たった一言。
それだけなのに。
心臓が、無駄に反応する。
北斗「……来るんだな」
改めて実感する。
逃げ場なし。
距離ゼロ。
視線も、空気も、
全部、共有される。
北斗「……終わったな俺」
苦笑しながらも、
どこかで――
ほんの少しだけ、
期待してる自分がいる。
何かが変わるんじゃないかって。
何も起きないままじゃ終わらないって。
その可能性に、
賭けてる自分がいる。
北斗「……ほんと面倒くせぇ」
立ち上がる。
バッグを掴む。
もう時間だ。
行くしかない。
ドアに手をかけて、
一瞬だけ止まる。
頭の中に浮かぶのは、
やっぱり〇〇。
笑ってる顔。
何も考えてなさそうな顔。
でもたまに見せる、
少しだけ距離のある目。
北斗「……今日は、どっちだよ」
小さく呟いて、
ドアを開ける。
その一歩は、
ただの移動じゃない。
逃げてた感情に、
踏み込む一歩だった。