梅雨が少し明け、数日で夏休み_____…となったある日、月彩、美夏の2人は、たまたま部活終わりが重なったこともあり、2人並んで帰っていた。
普段は、天羽や希咲羅が居ることが比較的多いため、あまり2人で帰ることはない。
爽やかイケメン、と噂の月彩と、ほわほわ天然系イケメン、と噂の美夏。2人の周りは、宛ら天界に有る花畑の様であった。
そんな2人の話題は、百歩譲っても花畑、とは言えないものであった。
『 月彩と天羽の親について 』
数日前、両親が手紙を寄越してきた。
内容は、”和解をしたい”とのことであり、正直応じる気はサラサラ無い。
応じたとして身の安全を確保出来るとは限らないし、また”優等生”を強いられるかもしれないと考えると、少々…嫌大分吐き気がする
それに、最近はバイトを始めた。
天羽の、将来用の資金の為に…
学校の遠くにある老舗喫茶店で、夜遅めや朝早めになると、賄いでカツサンドやサンドウィッチをくれるのだ。
ここまで、望んだ条件である店は珍しい為、何がなんでもここを辞める訳には行かない。
正直言えば、人手が足りないとのことでかなりハードなのだが、賄いや給料面、扱いの良さからかなり助かっている。
今日はこれからシフトの為、シェアハウスを少し通り過ぎる。美夏や希咲羅…そもそも、天羽以外のシェアハウスメンバーにはまだ説明していなかったから、これからする予定だ。
ー「…バイトぉ!?」
美夏の声が響き、通行人がびく、と肩を震わす。
はっ、と口を覆う美夏と、顔を合わせて近くの公園に避難した。
。
幸い、まだバイトまでには時間がある。がこん、がこんと大きい落下音を2回ほど鳴らし、冷えたコーラが見える。
どうやら、これを飲んで話をしようという合図らしい。
「…それで、バイト…って
一体、いつからなんや?」
「うんと…でも、最近だよ?
家を出てからすぐだから…」
「かれこれ2ヶ月ぐらいやんな」
「はは…うん、」
「よー…俺らも気づかんかったなぁ…。」
あれ…でも、師匠が帰るの遅かった日…割と多かったなぁ…
と呟き、美夏が思い出すように喋り出す。
「……たまに、月と帰ってきてるときあったやんか…。あれって、バイト帰りやったん?」
「うん、まぁね。夜月は気がついて無いみたいだけど…」
「……あぁ…やからか
割と、うち部活遅めに終わる子多いやんか。やから、違和感なかったんやろな」
「かなぁ〜…。
あ、あと…朝早くにバイト、行く時もあったよ」
「朝早く…?」
「うん。モーニングセットとか、色々…
喫茶店だからさ。5時ぐらいからお客さん多くて」
「…朝練とか、生徒会の仕事?やと思ってたけど…。 」
「んふ…見事に騙されてくれたね 」
「……あ、ならさぁ
バイト先、行ってみてもええ?」
「…へ、」
まさかの美夏の反応に、思わず腑抜けた声を出してしまった。
「もちろん、いいけど…」
「うぉ!よっしゃ〜!!」
わくわくと、まるで漫画なら一面に音符が舞いそうな程に喜んでいる美夏。
なんだかこちらまで嬉しくなり、自然と微笑む。
ー
ーステンドガラスには薄いピンク色が使われており、明るいイメージの喫茶店。
ー
ー入口の大きい扉を開くと、からんからん…と大きな鈴の音が店に響いた。
ー中からは、涼しい冷房の風が靡き。
カウンターに立っている店主さんは、優しそうで…珈琲が似合いそうな白髪の老人だった。
ー月彩は、裏口の店員用出入口から店内に入る必要があるらしい。
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コメント
8件
すっご?! …おぉ??wなんか凄い??(?)