コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
取り敢えず、窓の氷、溶かすか……。
苦笑いを浮かべながらも、前ほど心が重くなかった。
窓や机に椅子、さらにはベッドまで、部屋中にある凍ってる家具全ての氷を溶かしていたら、すっかり日が暮れていた。
やらかした感が半端ではなかった。
晩飯も食いそびれたし、中華が来た事にも気が付かなかった……。
完全にやらかした…。
最後に、ドア…………。
これは、明日でいいか…。
どうやらまだ俺は臆病らしい。
ドアに指先すら触れずに手を引いて、ベッドに身を投げた。
どんな事をしていようと、能力を使いまくった後は疲れるらしく、自然と重くなった瞼を俺は何の抵抗も無く閉じた。
自然と耳に入ってくるチュンやらピヨやらの鳥の声で目が覚めた。
もう少し寝ていたい。
そんな事を考えるようになったのは久しぶりだ。
寝ぼけ眼を擦りながらドアの方へ歩みを進める。
そっと指先をドアに触れる。
痛いほど冷たかった。触れるだけで、胸が苦しくなりそうだった。
だが、こんなものに負けてられない。
寝起きだからか、少し寝ぼけている状態の俺は、何故か少し負けず嫌いになるらしい。
「溶けろ」
俺の一声で、ドアの氷が一瞬にして空気に溶けた。
浮き彫りになった木のドアは、心なしか温かかった。