「……はぁ……、っ」
上がった息を整える環奈の頬に触れ、額にキスをする。
「悪い、少し意地悪し過ぎた」
「……っ、あやまらない、で」
「怒ってないのか?」
俺の言葉に小さく頷く環奈。
熱っぽい瞳でその質問に頷くとか、反則過ぎる。
まあ悪いとか言いつつ、このまま止めるとかないけど。
「――環奈、一緒に気持ちよくなろうか」
「っ!!」
耳元でそう囁く俺の言葉の意味を理解した環奈はピクリと身体を震わせる。
そして、
「……っ」
答える代わりに頷いて見せた環奈の唇を再び奪うと、そのまま口内を支配する。
俺にされるがままだった環奈も必死に応えようと一生懸命俺のペースについてくる。
そういう健気なところも可愛くて好きだ。
邪魔なブラジャーを外して床に放り投げた俺は、首筋、鎖骨と口付けながら時に吸い付いて赤い印をつけていく。
さっき触っていた事もあって、胸に差し掛かると一際大きく反応する彼女の身体。
それでも俺は刺激を与え続け、彼女を乱す。
そして、口付けを止めた俺は太腿撫でるように触り、今度は下半身へ集中的に刺激を与えていく。
胸以上に身体を捩り、大きく反応する環奈。
「……ッあ、……やっ、あっ……ん、……」
太腿からそのまま布で覆われた部分に指を這わせると、
「……ッやぁ!」
そこは既に湿っていて、より一層環奈は大きく反応を示した。
もっと乱れて欲しい俺は邪魔な下着を一気に下げて脱がし、それも床に放る。
露わになった割れ目を指で刺激しながら、逃れようとする環奈の脚を空いている手で掴み、
「嫌なら止めるか?」
と、言葉を投げかけた。
我ながら意地の悪い質問をしていると思う。
けど、俺としては環奈からも求められたいから、わざとこうして意地悪な質問をする。
「……ッ、い、じわる……、やめ、ないで……っ……つづき、して……?」
中途半端に止められてしまった事で身体が疼いているのか、環奈はいつになく積極的な返しをしてきた。
そんな風に懇願されたら、もう、止められねぇ。
環奈の言葉に身体の奥底から欲望が溢れ出した俺は自身の下着を脱ぎ捨てると、既に受け入れられるくらいに濡れている環奈の大切な部分に触れ、
「――環奈、愛してる」
そう、愛の言葉を囁きながら環奈と繋がっていく。
「――ッ」
それまで身体中に刺激を与えられていた環奈は繋がった瞬間果てたようだけど、このままという訳にもいかない俺は、
「……悪い、俺、このままとか無理だから――」
「……ッ、ぁっ、ちょ、……いまは、だめ――ッ」
環奈の制止を口付けで塞ぎ、なるべく彼女がキツくならないよう配慮しつつ、自身の欲を放っていった。
何度か身体を重ね合った後、眠ってしまった環奈を腕に抱きながら、一人天井を見つめていた。
思えば、環奈と出逢ってから、色々な事が変わっていった。
まさか、自分がここまで異性に本気になり、溺れていくなんて思いもしなかった。
しかも、思っていた以上に欲深く嫉妬深いし、おまけに独占欲も強い。
こんなに重くて環奈は嫌にならないか、少し不安になる。
そんな事を思いながらすやすやと寝息をたてている彼女に視線を移し、柔らかい髪に触れる。
「……ん……」
すると、俺が触れた事で起こしてしまったのか微かに声を漏らすと、環奈が薄ら目を開けた。
「……万里、さん……?」
「悪い、起こしちまったな」
「……いえ、大丈夫です…………どうか、しましたか?」
「ん?」
「何だか、不安そうな顔、してるから」
環奈には不安が伝わったらしく、そんな事を聞いてくる。
「いや、大した事じゃねぇんだよ」
「……私じゃ、頼りになりませんか?」
「そうじゃねぇって」
「それなら、話してください」
「…………」
そうは言われても、俺が不安に思ってる事は気持ちが重すぎて嫌われないかという事な訳で、何だか口にするのは恥ずかしい。
「……万里さん?」
けど、ここではぐらかしたり言わずにいれば、環奈は落ち込むだろう。
迷った末に俺は、
「……気持ちが重すぎて、お前に嫌われないか、それが不安なんだよ」
環奈から視線を外して、そう答えた。
すると、
「……嫌いになんて、ならないですよ? 寧ろ、嬉しいです。そこまで私を想ってくれる事が」
そう言いながら、俺の身体を抱き締めてくる。
「環奈……」
「私も、万里さんの事、好きです。独占したいって思ってます。本音を言うと、ホストだって、続けて欲しくなかった。私だけを、見ていて欲しいから」
「俺はもう、環奈しか見えてねぇって」
「はい、分かってます」
「……環奈、もう一度だけ、言わせてくれ」
視線がぶつかり合い、静まり返る室内。
返事を貰っていなかったプロポーズを、もう一度やり直す。
「――環奈、これから先、俺はお前だけを愛し、何があってもお前を守り抜く。誰よりも幸せにする。だから、俺と結婚してください」
そんな俺の言葉に環奈は、
「……はい、私でよければ、喜んで」
微笑み、涙を流しながら、俺の決意を受け入れてくれた。
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