第77話 「すべてとは言えずとも」
――その後、何事もなく電車は鞘佳の家の最寄り駅に到着した。
「……私、ここだけど」
「ああ、降りよう」
「藤堂くんは、最寄どこだっけ?」
「ここの三つ先だな」
「……ほんとにいいの? 送ってもらって」
「ああ。帰りは走る」
「走るの!?」
「ランニングコースだからな」
「そっか……ありがとう」
そんなやり取りをしつつ二人は改札を通り、駅を出た。
「……」
「……」
駅を出てから、しばらく無言だった。
鞘佳としては、無言が特別気まずいというわけではないのだが――
(やっぱり藤堂は……もしかして、私があのとき言ったことを、あまり気にしてないのかな……?)
再会してから今日までのこと、電車の中であったことや、こうやって気遣って送ってくれることなど――鞘佳は改めて冷静に考えてみる。
結論としては――楓は、鞘佳を以前と変わらず友******
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