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瑠璃🍫✨💭ྀི
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――土曜の午後の映画館で待ち合わせをする。
さすがに土曜は人が多いなぁ。カップル、友達、親子、団体。カップルは相手どうし、同い年くらいかなぁって見てしまうし、親子連れはだいたい何歳くらいでその子を産んだのかなって計算してしまう。今の私が産んだら数年後にはあのくらいの子どもがいるのかな。そんなことばかり考えてしまっていた。
あの子は、大学生くらいかな。……可愛いな。3人組で女の子二人が男の子を挟んで歩いて来た。どういう関係だろう、友だ……ち。
男の子の顔を確認して、その人が今日の私の待ち人であることに気づいた。
何でほかの子といるの?
そう思っていると、広睦くんが私を見つけるとパッと顔を明るくして両サイドの二人に何か言って私の元へ駆け寄った。
「おまたせ、春美さん」
にっこにこの顔にわずかに嫌な気分が緩んだが、彼女たちはその場で私を値踏みするように見てはひそひそとやっていた。
「うん。あの子たちは? 」
意識せず声が低くなってしまう。
「ああ。そこで出会ったんです。大学の子。同じ映画見るらしい」
「そうなんだ」
同じシアター、彼女たちは私たちのすぐ後ろで開場を待っている。
「ね、席どこ? 」
「は、席? 」
後ろの子が広睦くんの手元を覗き込む。
「あー、うちらとはちょっと離れてるね。あ、でも普通横の席は取らないから、両隣は空席じゃない? せっかくだし一緒に見ようよ。ね、いいですよね? 」
その子は広睦くんじゃなくて私に許可を取った。私に顔を向けた瞬間、じっと値踏みするように見られているのがわかる。
「やめろよ、そういうの。迷惑。マナー違反だし、こっちもやだね。お前、自分がこっち知らない友人といる時に無理に合流されたら嫌だろ。少なくとも俺は嫌。めちゃくちゃ嫌。彼女が何も言わないのをいいことに押し切ろうとすんなよ」
「……ちょっと言っただけじゃん」
「言ってくる自体どうかと思うよ」
私は軽く会釈して顔を背けた。これ以上近くで見られたくない気分だった。
「ごめん、春美さん」
謝る広睦くんにゆるく首を振って指定の席へと座った。
照明が落ちると、広睦くんは私の手を取って暗がりで顔をのぞきこむ。わずかに笑顔をつくると、広睦くんは眉を下げ前を向いた。
映画が頭に入って来ない。さっきの彼女の視線が何度も思い出される。
――……あの子、広睦くんのこと好きなんだろうな。
時々、広睦くんの手に力が入る。私が握り返してくるのか確かめているみたいだ。ぎゅっと握ってくる手の熱さに少し癒されるのも事実で私は一度だけ大人げなく強く握り返した。
不意を突かれて広睦くんが「っい」と声を出し慌てて口を押えてる姿に吹き出した。別に広睦くんが悪いんじゃないけど、正体のぼんやりした鬱をぶつけただけだ。
エンドロールが流れると、場内が少しずつ静寂を破る。
私は、ライトが明るくなっても席を立たずにいた。さっきの子たちと被りたくはなかったから。
ぱっと見回すと彼女たちの姿はなくホッとして立ち上がった。
「俺トイレ行くけど、春美さんはいいの? 」
「うん。大丈夫。そこの入り口で待ってるね」
映画、ぼんやりと観ちゃってもったいなかったな、楽しみにしてたのに。俯いていると厚底のスニーカーとサンダルのネイルが目に入った。顔を上げるとさっきの子たちだった。
「広睦は? 」
不躾に尋ねられムッとするが、大人の対応をと息を吐く。
「トイレに行ってるの」
彼女たちはトイレの方向に目をやり広睦くんがいないのを確かめると話を続けた。どうやら、私に用があるらしかった。
「ねえ、お姉さん広睦の彼女って本当? 」
声に出さず、ただ頷くと、隠すことなくムッとした顔をする。お姉さんに明らかな悪意が乗っている。
「純粋に疑問だけど、どうして同世代と付き合わないの? 」
どうして、って……。聞かれてすぐに答えらられなかった。
「普通、若いオトコから言い寄られても断らない? ってハナシ。なんかそこが気持ち悪いなって」
「広睦、年上の方が好きって言ってたけど」
「でもここまでは無くない? 男版枯れ専ってこと? 」
好き勝手言ってくれる彼女たちに苦笑いするだけで、二人で話しているのかとほうっておく。
「ねえ、お姉さん、学生時代地味でモテなかったんじゃない? だからあのころ出来なかったことを広睦でやり直してるの? 若い男はちょろいでしょ。でもさ、みっともないよ。年相応の恋愛しなよ。それとももう同年代は残ってないの? 」
「あの頃の甘酸っぱい青ってこと? 当時は一軍男子を遠くから見てるだった的な」
私の視線が動いたことで、彼女たちはバッと振り返った。
「あ、お帰り広睦」
さっきまでの吊り上がった目が、恋する女の子の目にかわって、それすら眩しい気がして俯く。
「……何でここにいんの。やめろって言ったよな」
私でもぞくりとするほどの低い声だった。
「え、でも、せっかく会ったんだし、合致しても……」
「せっかく会った? 俺は会いたくもないし。お前らといて彼女は楽しいと思うか? それとも何。楽しませる自信あんの」
「……だって」
彼女が口ごもると、広睦くんは大きくため息を吐いて舌打ちをした。
「決めた。もう、友達にもならない。二度と声かけてこないで。俺は“やめろ”が通じない奴に好意を抱くことはない。一生な」
広睦くんは私の腕を掴むと早足で歩き始めた。ちらり振り返ると一人は泣いていて、もう一人は慰めているみたいだった。
「ねえ、待って。早いよ。そんなに怒らなくても、ちょっとかわいそ……」
「っのさぁ、あいつらに会ってから自分がどんな顔してるかわかってる? 何で楽しいデート台無しにされなきゃなんないんだよ。あいつ……」
広睦くんはそこで言葉を止めた。私はふっと笑う。
「うん。あなたのこと、好きなのね、あの子」
広睦くんはぐしゃぐしゃと髪をかき上げた。
コメント
1件
うわあああ、今回も胸がギュッてなったよ…!😭💕 広睦くんの彼女を守る感じ、マジでかっこよすぎない?!「やめろが通じない奴に好意を抱くことはない」って台詞、痺れた〜〜🔥 でも春美さんの気持ちもわかるよ、年下の子に「みっともない」って言われたら傷つくよね…。映画館の暗がりで手を握り合うシーン、エモすぎて何度も読み返したくなる…!次が気になりすぎるよ〜!🌸