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その日も……いつもの朝だった……。

スズメが電線に止まって囀っている。

それを聞いた俺は、今日も一日が始まるのだと理解した……。


「……さてと……今日も頑張りますか。よっこい……しょっと……」


俺はそう言いながら、むくりと起き上がった。

朝日を浴びながら今日の事を考えていると、床に散らばっている雑誌や衣類が目に入った。


「はぁ……とりあえず片付けるか……」


起きて間もないため、俺はしぶしぶ、それらを片付け始めた。

このアパートに住み始めて早二年になるが、未だにここでの生活には慣れていない。

家賃が高いわけではないし、ご近所から嫌がらせを受けているわけでもない。それじゃあ、どうして慣れないのかって?

その答えはもう少しで分かる。そろそろアレが届く時間だからな……。

俺がそんなことを考えているとピンポーンと、チャイムが鳴った。

多分……いや、確実にいつものアレが届いたな、うん……。

相変わらず、俺の住んでいる部屋にだけ毎朝のように送られてくる。

別に俺が注文した物ではないし、もちろん犬や猫でもない。

しかし、どうして俺の部屋にだけ、こう毎日送られてくるのだろうか……。

こんなこと、ここに住み始めて一年目の頃にはなかったのに……。

いつからこんな嫌がらせが始まったのかは忘れてしまったが、あまり深く考えないようにしている……。それじゃあ、今日も確認するとしようか……。

俺はいつも通り身支度をし、朝食を食べ終わると玄関の前に立った。

そういえば、今日は何のゴミの日だったかな? そんな事を考えながら扉を開けると、そこには……。


「……はぁ……やっぱりあるよなぁ……」


俺は溜め息を吐きながら、やれやれと肩を落とした。

チャイムが鳴る、ということは誰かが運んできている可能性が高いのだが、明らかにおかしい点がある。

試しにいつもより早く起きてみたことがあった。しかし、その日はいつになっても来る気配がなかった。なので……。


「今日は来ないのかな……?」


そんなことを言って、俺が少し目を離すと……やはりチャイムが鳴る。そして、必ずと言っていいほどアレが扉の前に置かれている。

どう考えても俺の行動パターンが読まれているようにしか思えない。

だが、アレが毎日送られてくるというだけで他には何もしてこない。だから、誰かのいたずらかな? と最初は思っていた。

しかし、朝に雨が降っていようと、雷が鳴っていようと必ず届くことからそうではないことが分かった。

まあ、とりあえず中身を確認してみよう。

俺はどうせいつものアレが入っているんだろうな……と思いながら、中身を確認した。

いつもダンボール箱に入っているアレの正体は……『女の子』である。

見た目は十歳前後。黒くて艶がある髪は腰ぐらいまである。あとは白いワンピースを着ているということしかわからない。

パンツチェックをしようとしたことはあったが、無防備な女の子にそんなことをしてはいけない、という俺の理性が働いたため、この子が下着を履いているのかどうかは今のところ分からない。

忠告しておくが俺はロリコンではない。え? そういうことを言うやつがロリコンだって?

まあ、たしかに世間ではそう呼ばれているだろう。

しかし、俺のストライクゾーンは二十代前半……いや、今のは無しだ、忘れてくれ。

正直に言うと、俺のストライクゾーンはよく分からない。

よく分からないまま、生きてきたせいで未だに結婚できていないし、もちろん彼女もいない。

あー、えーっと、まあ、話を元に戻そう……。

正直、この子がどこの家のどんな子なのかは見当もつかないが、一つだけ言えることがある。

それは、この子は人間ではないということだ。なぜかって? それは容姿を見れば、一目瞭然だからだ。

人より少し尖った犬歯や耳、手の爪がある人間なんて、まずいないだろう?

さて、ではここで、毎朝……しかも、俺の部屋だけに送られてくるこの子のことをもう少し話すとしよう。

それは、まるで自分を目覚めさせてくれる人を待つかのようにいつも眠っている……ということだ。

いつもなら、近くの公園の木陰に置いてくるのだが……お察しのとおり、また俺の部屋に送られてくる。

もうこれは、俺がこの子の面倒を見なければいけないと言っても過言ではないと思う。いや、そうに違いない。

え? 仕事は何をしているのかって? 二十七歳になっても、まだ童貞なのだから、当然ニートである。

ちなみに、ニートとは十五歳〜三十四歳までの家事や通学……就業をせず、職業訓練も受けていない人たちのことである。

え? そんなことはどうでもいいって? それに童貞=ニートであるという定義はない?

まあ確かに、童貞はニートである! という定義はないな。すまない、少し言いすぎた……。

まあ、俺もコンビニでバイトをして、なんとか生活している身であるから、こんな事を言える立場ではないのだがな……。

おっと、また話がずれてしまったようだな。昔からの悪い癖と言えば、許してもらえるかは分からないが、とりあえず今は許してほしい。

さて、今日はバイトもないし別にこれといった用事もない。(というのをこの子を見ている時に思い出した)

それに急に雨が降ってきた。

俺はそれらの理由から、その子をいつもの場所に置いてくるのを諦めた。


「ま、まあ、今日は一日、暇だし、雨も降ってきたから、うちに入れるか」


俺はその子の面倒を見ようと……いや、とりあえず中に入れることにした。これから面倒なことになりそうだ……。

ダンボール箱の中に入っていた〇〇とその同類たちと共に異世界を旅することになった件 〜ダン件〜

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