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エネアは、ドラゴンを倒すのはこれで何度目だろうか。彼女の目の前には、再び巨大なドラゴンが立ちはだかっている。最初は恐怖と緊張でいっぱいだった戦いも、今では完全に日常の一部となっていた。
「さて、今日こそレアドロップが出てくれるといいんだけど…」
エネアはため息をつきながら、短剣を軽く振り回し、ドラゴンに目をやった。ドラゴンは咆哮を上げながら、まるでエネアを仕留めるかのように炎を吐いてくる。しかし、その炎も、エネアにはもはや心配の種ではなかった。
「また炎か。はいはい、効かないよー」
彼女は軽く腕を振り、炎をものともせず進む。ドラゴンの攻撃がすべて無効化される中、エネアは何度目かの同じ手順で戦いを繰り広げる。ドラゴンの鋭い爪や強力な突進も、彼女の「絶対防御」には全く通用しない。むしろ、その攻撃を気にすることなく、彼女はドラゴンの隙を見て短剣を繰り出した。
「はあ…この戦いも慣れちゃったな」
ドラゴンが再び地面に崩れ落ちるのを見て、エネアはやや呆れたように見つめた。倒すたびにドロップするアイテムを確認するが、今日も目当てのレアアイテムは出なかった。ドラゴンの倒れた体からは、普通の素材やそこそこの武器が落ちるだけだ。
「うーん、またか。せっかくのボスなんだから、もう少しレアなものを出してくれないかなぁ」
彼女は落ちているアイテムを拾いながら、少し不満げに呟いた。使用人はこのドラゴンからは極めて稀に「伝説の洗髪薬」というレアドロップがあるといっていたが、もう飽きるほど倒したのになかなか出てこない。その洗髪薬はどんなに脂っこい髪も、どんなに絡まる髪もまとめてサラサラにしてくれるのだ。しかし、エネアがこれまでに何度このドラゴンを倒しても、その洗髪薬がドロップする気配は全くなかった。
「まあ、まだまだ時間はあるし、もう一回くらい挑戦しようかな」
エネアは軽く肩をすくめ、再びボスが出現するのを待つため、ボス部屋から出た。途中のモンスターたちは、彼女の姿を見ると一瞬で怯え、戦う気配もなく道を譲る。彼女が倒せない存在だということをすでに悟っているのだ。
何度目かのドラゴン戦が終わる頃、エネアは無意識に戦いをこなしていた。攻撃を受けることなく、軽々とドラゴンを倒す手際はまるで日常の家事のような感覚に近い。ドラゴンが最後の一撃で倒れ、再びアイテムが地面に散らばる。彼女は落ちているものを手に取りながら、ため息をついた。
「どうせ今日もまた…」
その瞬間、彼女の手に触れたのは、これまで感じたことのない冷たい感触だった。ふと見ると、手には液体が入った物があった。まるでそれ自体が光を放っているかのように、幻想的な輝きを放っている。
「え、これってもしかして…!」
エリナの目が輝いた。ついに出た、「伝説の洗髪薬」。これを手に入れるために、何度もドラゴンを倒してきたのだ。長い戦いの末、彼女はようやく目当てのレアドロップを手にしたのだ。
「やったー!これで垢抜けが出来る!!」
喜びの声を上げながら、エネアは洗髪薬を大事にポーチにしまい、軽やかな足取りでダンジョンの2層へ向かった。
「二層は、温泉があって、そこで休める疲れを取れる、宿があるらしいぞ。」
「…!これで、体臭対策まで出来る…!よくやった。私!」
その後、洗髪薬で髪を洗い、眉毛を剃ったら…。よし、体臭もましになったし、最高だね!
次はどんな冒険が待っているのか、彼女は新たな期待に胸を膨らませていた。