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エピソード1 “ 赤い花 ”
喉が痛い。
起きた時に一番最初に感じた感覚。
ふと腕を天井に伸ばし拳を握りしめる
今日も生きてる、今日も大丈夫。
そう頭の中で唱え布団から重い体を起こした。
いつも通りの日常。
会社に行き、
上司や後輩と他愛ない会話をする。
部長から頼りにされ、後輩からは慕われ、
何不自由なく生きている。
なのに
自分の存在を自分自身が否定してしまう
いつからだろう。
楽しいと言う感情が無くなったのは
いつからだろう。
死にたいと考えるようになったのは
そんな事を考えていると
社員達が部長によってフロントに招集された。
『今日からこの部署に
新規採用の子が来るからよろしく〜
教育係は…… 』
いつも通りのゆっくりとした口調。
教育係を誰にしようか迷っているのか口を噤んだまま動かない
部長をまじまじと見ていると目が合ってしまった
『教育係は……ないこくん、頼んだよ』
急にそう言い笑顔で肩を叩いてくる部長。
勿論、断る訳にもいかず
「任せてください。」
と部長に微笑みかける。
部長は安心したように頷くと
『それじゃ、解散〜!』
と言った。
その言葉と同時に社員はもちろん、部長もすぐにフロントから去っていった
1人取り残された俺は、
とりあえずその新規採用の子とやらに
会おうと出口に向かった…が
その必要は無さそうだ。
見るからに見慣れない髪色、見た目、顔つき。
恐らくこの子が新規採用された子だろう
「ぁ…えっと…?」
俺が居る事に気がつくと、
彼はぺこりとお辞儀をしながら
次の言葉を探すように目を泳がせた
🍣「初めまして、ないこって言います!君の教育係になったから、これからよろしくね」
すかさず俺は軽く自己紹介をし、彼の次の言葉を待つ。
彼は俺の目をしっかりと見ると
ぱぁっと効果音がつきそうなくらいにこりと微笑んだ。
「初めまして!この度御社…?弊社?に
入社させて頂く事になりましたっ!
りうらと申します!」
元気に自己紹介をする新人くん。
燃えるような赤髪に爽やかイケメンと呼ばれそうな顔つき。
弟みたいに可愛がられるであろう身長。
見るからに分かるであろう俺と君の違い
誰にでも愛されそうな性格の君と
愛される為に作り上げた嘘の性格の俺。
その現実が自分の心に重くのしかかった。
それが君との出会いだった。
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