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まきぴよ
その日の仕事終わり、目黒の家で二人きり。テレビを消した静かなリビングで、佐久間はソファに座る目黒の隣に陣取っていた。
「ねえ、めめ。今日さ、楽屋でずっとスマホ見てたでしょ。何してたの?」
佐久間がニヤリと笑いながら、目黒の肩に腕を回す。いつものように、少し余裕のある
「お兄さん」の顔をして、目黒をからかってやろうという魂胆だった。
けれど、返ってきた反応は、佐久間の予想を遥かに超えていた。
「……これ、見てたの」
目黒が少し耳を赤くして、スマホの画面を差し出す。そこには、二人が以前一緒に撮ったオフショットや、佐久間が笑っている動画のスクリーンショットが大量に保存されていた。
「えっ、ちょ、これ……」
「……佐久間くんが楽しそうにしてるの見てると、落ち着くから。ずっと見返しちゃってた」
目黒はそう言うと、気まずそうに視線を泳がせた後、意を決したように佐久間をじっと見つめた。
その瞳は潤んでいて、捨てられた子犬のような、どうしようもなく愛くるしい光を宿している。
さらに追い打ちをかけるように、目黒が佐久間の服の裾をぎゅっと掴んだ。
「……ねえ、佐久間くん。今日はもう、帰さないから。……ダメ?」
少し上目遣いで、消え入りそうな声。
いつもはクールで「漢」な目黒が、自分だけに向けた、あまりにも無防備で甘えん坊な姿。
「…………っ!!」
その瞬間、佐久間の脳内で何かが弾けた。
心臓がバックバクと警報を鳴らし、あまりの可愛さに視界がチカチカする。
「……佐久間くん? 顔、真っ赤だよ? 大丈夫?」
心配そうに顔を覗き込んでくる目黒。その距離、わずか数センチ。
目黒の甘い体温と、柔らかい表情のフルコンボを食らった佐久間は、ついに限界を迎えた。
「……む、無理……めめ、可愛すぎて無理……死ぬ……俺、今、昇天したわ……」
佐久間はそのまま、ソファに突っ伏して悶絶した。
「可愛い」という言葉だけでは足りない。もはや凶器に近いその破壊力に、佐久間の精神は宇宙まで飛んでいきそうだった。
「え、佐久間くん!? どこ行くの、戻ってきて!」
慌てる目黒をよそに、佐久間は顔を覆ったまま、心の中で「一生守る……!」と神に誓っていた。
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