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私の名前は大淀キョウカ。実家へ向かうために車を走らせる元艦娘です。
数年前。敵勢力「深海棲艦」との戦いが終戦。私達の勝利という結果で終わりました。
平穏が訪れ、私も実家に行く余裕が生まれました。
「よし、ついたついた」
私の実家は、海というものとは無縁の、内陸部に位置していました。
私は家の扉を開け、中に入ります。しばらく空けていましたが、隣人が掃除をしてくれており、中は綺麗でした。
私は仏壇へといき、手を合わせます。遺影には、私の父親が写っていました。
お母さんは人間時代の私を産んですぐにこの世を去ってしまったため、お父さんは一人で私の面倒を見てくれていました。
「……ただいま、お父さん」
すると、玄関の方から声がする。
「キョウカちゃん! 帰ってきてたの?」
隣人の方だ。私は玄関へと向かう。
「お久しぶりです。今の仕事が落ち着いたので、今のうちに帰っておこうと思いまして」
「そうなの? いつでもいてくれていいのよ? 私もうあなたの顔見るとつい昔のこと思い出しちゃうのよ〜」
「ははは。いれる限りはここにいようと思います」
昔からの知り合いと話すと、なぜここまで懐かしい気持ちになるのか。
すると、隣人が思い出したように口を開いた。
「そうだ。外に用事があったら、今のうちに済ませておくべきよ」
「え? なんでですか?」
その時、隣人さんの顔が少し曇った。
「なんか最近、ぐちゃぐちゃに食べられた鳥や野良猫が見つかるらしくてね。それで、念の為暗くなる前に家に帰るよう連絡があったのよ」
「な、なんですかそれ。私そういうの苦手です」
この時、私は野犬か熊の類の仕業かと思っていた。だが、この後それは違うことを痛感させられる……。
あの後、私は買い出しのため離れたスーパーに行っていた。帰るときは、寄り道しながらだった。これが良くなかった。
「暗くなっちゃったな……」
辺りは暗くなっていた。
(夜は危ないんだったっけ……)
私は隣人の言葉を思い出した。今車が走っている場所は、実家までそう遠くない。
「まあ、熊なら車で逃げれるし」
その時だった。前方に影が見えた。道路の真ん中で立ち止まっている。
「うわっ!!」
私は急ブレーキする。影はそれでも動かない。
「な、なになに!?」
前に何かがいるのか。私は車のライトの威力を上げた。そこにいたのは……。
「きゃあああ!!」
目の前にいたのは、まさに化け物だった。私は思わず車を急発進させてしまい、化け物に突っ込んでしまった。
化け物は車体の下の方に引きずり込まれた。下からぐちゃぐちゃと音がする。
「ひぃぃ!」
私は涙目になりながらも車を走らせる。やがて、音がしなくなった。私はバックミラーで後ろを見る。
しかし、後ろの道路には肉片も血もついていなかった。
でももうそんな事はどうでも良かった。早く家に逃げることしか考えられなかった。
やがて、クルマが実家に到着した。
私は車から降りると、車体の確認もせず、玄関に走った。
扉を開け、中に入るとすぐに布団に潜りこんだ。体が震える。
「〜ッ! 〜ッ!」
とてつもなく怖かった。
私は海で異形の深海棲艦達を見てきた。しかし、それとはまた違った雰囲気を感じた。
「○される」と直感的に感じたのだ。
私は夜明けが来るまで布団の中に隠れていた。恐怖、緊張により一睡もできなかった。
朝。
私は震えながら外に出た。家の周りには何もいない。私は車を見にいく。化け物を引いてしまったので、何かなっているかもしれない。
しかし……。
「あ、あれ?」
車は、ぶつかった跡も血痕もついていなかったのだ。あの時、ぐちゃぐちゃ音がしていたので、血一滴くらいついていてもおかしくないのだが。
その後、車をべたべた触る異様な私を見た隣人に心配された。
私はあの夜の事を隣人に話したのだが、化け物の件についてはあまり信じてくれなかった。ただ、私の形相が迫真過ぎたのだろう。真剣に最後まで聞いてくれた。
本来なら何日かここに留まるつもりだったが、この体験で恐怖してしまい、今日中に今の家に帰ることにした。
あの日、私が見たものの正体ははっきりしていない。というか、知りたくない。関わりたくない。
ただ、これだけは言える。
今も
視線を感じるのだ。